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日本初!PCLNG地上式タンクの防液堤をプレキャスト工法で構築
「日立LNG基地Ⅱ期LNG貯槽建設他工事」の工期を大幅に短縮
鹿島(社長:押味至一)は、液化天然ガスを貯蔵するPC(Prestressed Concrete)LNG地上式タンクの防液堤※1を構築するプレキャスト(PCa)部材、「P3wall®」(ピー・スリー・ウォール)※2を開発しました。P3wallは工場で製作するため、現場の天候に左右されず安定した品質が確保できるとともに、PCLNGタンク本体の建設工期を大幅に短縮することが可能になります。
このP3wallを、株式会社IHI(社長:満岡次郎)と鹿島が共同で受注した「日立LNG基地Ⅱ期LNG貯槽建設他工事」に適用します。本プロジェクトは、東京ガス株式会社(社長:内田高史)が茨城県日立市においてLNG受入基地の整備を進める一環の工事です。
PCLNGタンクの防液堤にプレキャスト工法を適用するのは、日本で初めてです。
※1 防液堤 : 貯蔵する液体(危険物)が万一内側の鋼製槽から漏液した場合に流出を防止する壁式の構造物。
現在は、敷地の有効利用などのため、内側の鋼製槽と一体的に構築することが一般的。
※2 P3wall : Precast Prestressed Concrete Wall Panels for LNG Storage Tank
開発の背景
LNG受入基地の建設プロジェクトにおいては、早期稼働のためPCLNGタンクの建設工期短縮が求められます。鹿島は、タンクの工期短縮には防液堤へのPCa工法の適用が有効であると捉え、部材の開発を進めるとともに、室内試験および実物大の組立て実験を行い、その性能と実現性を検証・確認しました。
P3wallの概要と特長
PCLNG地上式タンクは、機械工事担当のメーカーが施工する内側の鋼製部分と、土木工事担当の建設会社が施工する外側のコンクリート部分(基礎版・PC防液堤)により構成されています。
PC防液堤はこれまで場所打ちコンクリートで構築されていましたが、P3wallを用いてPCa化することで、タンク全体の建設工期を短縮します。
- 国内最大規模容量タンク(23万KL)の場合、従来の場所打ちコンクリートと比較して防液堤の工期が約4ヵ月短縮できます。
- P3wall円周方向の目地にはコンクリートを打設、鉛直方向の目地には充填材を注入し、P3wallを一体化します。この打設・注入時に型枠となる打設用ライナーはあらかじめ装着しているため、タンク内部での型枠設置作業等が不要になります。これにより土木工事・機械工事の作業が完全に分離でき、双方の輻輳作業が解消され、機械工事の工程短縮にもつながります。
今後の展開
今後PCLNG地上式タンクの防液堤の構築にP3wallを用いた工法を積極的に提案していくとともに、タンク以外の幅広いコンクリート構造物のPCa化にも展開していく方針です。
工事概要
工事名 | : 日立LNG基地Ⅱ期LNG貯槽建設他工事 |
工事場所 | : 茨城県日立市留町字北河原2985-5(日立港区第五埠頭) |
原発注者 | : 東京ガス株式会社 |
発注者 | : 東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社 |
設計者 | : IHI・鹿島建設共同企業体 |
施工者 | : IHI・鹿島建設共同企業体 |
工期 | : 2018年4月~2021年6月 |
工事諸元 | : PCLNG地上式タンク工事(1基・23万KL)、地盤補強工事、外構工事、構内電気工事、 配管架構基礎工事、付帯設備工事 |
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