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プレスリリース

[2018/05/09]

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業界初、水面浮体型ドローンでサンゴ礁のモニタリング

-慶良間諸島国立公園のサンゴ礁で実証-

 鹿島(社長:押味至一)は、着水が可能で水面下の生物環境や地形情報を迅速に調査できる、水面浮体型のドローン「SWANS」(スワンズ)※1を開発しました。
 鹿島は、生物多様性の維持に向け、2013年に開発したサンゴ群集の人工基盤「コーラルネット®※2を活用し、沖縄県慶良間諸島海域においてサンゴ再生に向けた環境保全活動を継続しています。このたび、同海域にてSWANSを適用し、サンゴの分布状況やコーラルネットによる再生状況のモニタリングを効率的に行いました。サンゴ礁域のモニタリングにドローンを活用するのは業界初の試みです。

※1 SWANS : System of Water and Aerial Nearshore Survey
※2 サンゴの人工基盤と生息環境評価技術を開発、現地試験により再生効果を確認 別ウィンドウが開きます
  (2013年12月5日プレスリリース)

水面浮体型ドローンSWANSの着水状況

水面浮体型ドローンSWANSの着水状況


SWANSで撮影したサンゴ群集

SWANSで撮影したサンゴ群集

開発の背景

 沿岸浅海域におけるサンゴの分布調査では、高水温などによる白化現象やオニヒトデの大量発生、赤土流出などによるサンゴの衰退を評価するため、広範囲に調査できる技術開発が求められています。
 従来の調査ではダイバーによる観察や写真撮影が一般的ですが、波などの気象状況に左右されるため、広範囲の調査には時間を要します。また、沿岸には岩礁などの障害物が多く、船では調査地点に容易に近づけない場合もあります。一方、ドローンを用いた観測は短時間で広域の撮影が可能であるものの、上空からの観測だけではサンゴの種類や健全性の判別までは難しい点が課題でした。
 そこで鹿島は、着水が可能な水面浮体型のドローンSWANSを開発し、上空、水中両方の撮影によって、迅速かつ正確なモニタリングを可能にしました。

SWANSの特長

 SWANSは、浅海域における水生生物や地形の調査を目的に開発した、防水性能をもつドローンです。機体のローター部4ヵ所と中央部に浮力を持たせることで、水面への安定した着水を可能にしました。機体下部のドームポート内に搭載したカメラで上空からの俯瞰映像や水中の映像を撮影、GPSによる位置情報とともにリアルタイムで伝送・記録します。また、超音波式のセンサも搭載しており、サンゴの成育評価に必要な水深および海水温の計測を併せて行うことができます。

SWANSの飛行状況

SWANSの飛行状況

SWANSの主な仕様

SWANSの主な仕様

慶良間諸島海域での実証試験

 SWANSの実証試験は、慶良間諸島海域のコーラルネットを用いたサンゴ再生エリアを含め、約5,000㎡のサンゴ礁で行いました。上空からの俯瞰映像から暗礁部を確認し、操作者が定めたポイントまで飛行・着水後、水面上を移動させながら撮影を行いました。着水後の水中撮影により、サンゴの分布状況やその種類(属レベル)の判別までできることを確認しました。また映像記録を撮影地点の位置情報とともに蓄積していくことで、コーラルネットを活用したサンゴ再生エリアの継続的なモニタリングも可能になります。

上空からの画像

上空からの画像


着水後の水中画像

着水後の水中画像

 SWANSによる調査手法では、GPSによる位置情報の活用によって、事前にコドラート(方形枠)やラインなどの目印を人力で海底に設置する潜水作業が不要となるため、調査時間を大幅に短縮するとともに、安全性も向上しました。

今後の展開

 今後はSWANSを用いた詳細な調査によりサンゴの海底マップを製作することで、コーラルネットの効果的な配置計画を行い、サンゴ群集の再生に活かしていきます。また、撮影映像と追加搭載する各種センサから得られるデータを用いた、海底地形の3次元化や水質や流速などの海洋観測技術への応用についても検討しています。

 鹿島は環境省から国際サンゴ礁年2018のオフィシャルサポーターとして任命されており、これらの技術をサンゴ礁の保全活動に積極的に展開していきます。

国際サンゴ礁年2018ロゴマーク

国際サンゴ礁年2018
ロゴマーク

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