[2018/11/26]
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国内初!「超高強度繊維補強コンクリート(UFC)道路橋床版」を適用
鹿島建設株式会社
阪神高速道路株式会社(社長:幸 和範)と鹿島建設株式会社(社長:押味至一)は、2011年より共同で開発を進めていた「超高強度繊維補強コンクリート(UFC※1)道路橋床版」を、阪神高速道路15号堺線の玉出入路リニューアル工事へ試験的に適用し、11月12日に供用を開始しました。両社は、本工事で得られたUFC床版の製作および施工に関する知見を活かし、今後のリニューアル工事への実用化に向けた検討を進め、技術のさらなる向上を図ります。
※1 Ultra-high strength Fiber reinforced Concrete
水結合材比が15%程度、圧縮強度が150N/mm2以上で極めて緻密な鋼繊維補強コンクリート
UFC床版開発の経緯
高度成長期に建設された高速道路橋では、供用年数の経過とともに、老朽化した鉄筋コンクリート(RC)床版を取り替えるリニューアル工事が進められています。
一方で、近年の車両の大型化に伴って改訂された現行基準に従うと、リニューアル工事の際は、重荷重に耐えられる、耐久性の高い床版に取り替えることが求められます。この標準的な取替え用床版を使用した場合、既設床版より厚く重い構造となることから、床版を支える鋼桁、橋脚、基礎構造等に補強が必要となる可能性があります。
これらの背景から、阪神高速道路と鹿島は、道路橋床版の取替え用として、UFCを用いた軽量かつ耐久性の高い床版の開発に取り組んでいます。
UFC床版によるリニューアル工事の特長
◆ UFCの材料特性を活かした薄肉化と軽量化※2既設RC床版の厚さ180mmに対し、現行基準に従った標準的な取替え用PC床版の厚さは250mmと厚くなりますが、UFC床版は超高強度かつ高い耐久性を有するため、150mmまでの薄肉化が可能となり、床版取替えに伴う道路面の高さの変更が不要です。
また、既設RC床版の重量を100とした場合、標準的な取替え用PC床版の140に対してUFC床版の重量比は80と軽量になるため、床版を支える鋼桁の補強を少なくすることができます。
※2 今回の玉出入路の場合
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橋軸方向にプレストレスを導入する床版の構築では、PC鋼材を緊張するためにジャッキの設置スペースが必要となります。このスペースには、緊張作業終了後にジャッキを撤去して場所打ちコンクリートを施工するため、端部に継ぎ目が生じます。
今回の平板型UFC床版の設置にあたっては、PC鋼材の緊張作業をスパン中央部の床版下部から二方向に行う、新たな工法を採用しました。これは、UFCの優れた材料特性を活かし定着構造をコンパクト化することで可能となった工法であり、継ぎ目のないオールプレキャスト化により、さらなる耐久性の向上が図れます。
今回のリニューアル工事は、高速道路本線と側道とに挟まれた斜路での施工であり、狭隘なヤード内での作業を効率化するため、橋軸方向に移動するコンパクトな専用架設機を開発し、適用しました。
その結果、床版の荷受け、運搬、据付けにクレーンを用いる一般的な作業方法と比べて、クレーンの旋回による本線通行車両の規制等が不要となり、高い効率に加えて安全な床版架設を実現しました。
今後の展開
超高強度で高い耐久性をもち、かつ床版の軽量化を実現したUFC床版は、これからの高速道路のリニューアルに大きく寄与することが期待されます。
今後は、今回適用した平板型だけでなく、部材厚を最小化し床版の重量を鋼床版とほぼ同等まで軽量化したワッフル型も併せ、普及展開を図ってまいります。
工事概要
工事名 | : 平板型UFC床版の施工に関する共同研究 |
工事場所 | : 大阪市西成区玉出西2丁目付近 |
発注者 | : 阪神高速道路株式会社 大阪管理局 |
施工者 | : 鹿島建設株式会社 |
工期 | : 2017年12月~2019年1月 |
(参考)
超高強度繊維補強コンクリート(UFC)を用いた軽量・高耐久な道路橋床版を開発
(2013年8月30日プレスリリース)
超高強度繊維補強コンクリート(UFC)道路橋床版が土木学会技術評価証を取得
(2015年10月5日プレスリリース)
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