[2019/04/25]
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現場の「見える化」を支援するハンディ型モニターを開発・実用化
~成瀬ダム堤体打設工事で初適用、有効性を確認~
鹿島(社長:押味至一)は、サイテックジャパン株式会社(東京都大田区、社長:丹澤孝)と共同で、現場における実際の画像にCIMモデルを精度よく重ね合わせて表現し、施工計画の作成や安全管理などに活用するハンディ型モニター※を開発・実用化しました。本ツールを、秋田県で当社が施工を進める成瀬ダム堤体打設工事において初めて適用し、その有効性を確認しました。
※:Trimble Early Experience Program(トリンブル早期体験プログラム)のプレリリース版を使用しています
開発の背景
成瀬ダム堤体打設工事では、工事用道路造成から基礎掘削、材料採取・仮置き、プラント設備設置、堤体打設までの全ての計画をCIMモデル化し、施工計画作成の効率化・合理化を図っています。
より良い施工計画の作成や安全管理を行うためには、机上の検討だけではなく、現場において発注者、元請社員および作業員が構造物の完成形を明確にイメージし、共有することが効果的です。また、i-Constructionが推進するICT土工の導入により、現場測量を不要とする土工事が標準となりつつありますが、一方で土工の仕上りを示す目印(丁張)が無いため、施工が計画通りに行われているかを直感的に判断することが難しいという新たな課題も出てきています。
これまで、CIMモデルを現場の映像に重ね合わせて表現するツールとしては、各人が装着して視認するゴーグルタイプのものがありましたが、複数人が同時に画面を見ながら情報共有し、打合せや確認に活かせるようなツールが求められていました。
特長と仕様
本ツールは、市販のAR(拡張現実)対応スマートフォンにGNSS(グローバル衛星測位システム)受信アンテナを取り付けるとともに、専用アプリをインストールすることで、CIMモデルを現場の実際の画像上に表現するものです。GNSSを受信できる環境であれば、特別な通信設備などを追加することなく、すぐに使用できます。
GNSSによって正確に自らの位置を把握したモニター上にはCIMモデルが表示され、現地形との整合性や支障物の有無などを、複数人がその場で同時に確認できます。小型・軽量のハンディタイプで持ち運びも容易であり、さらにはインターネットを経由して工事事務所や本・支店など、遠隔地とのリアルタイムな情報共有も可能です。
成瀬ダム堤体打設工事では、ICT土工による基礎掘削の切り出し位置と堤体構造物の位置の確認、右岸斜面に計画したベルトコンベア基礎の位置確認などに本ツールを用い、有効に機能することを確認しました。
ハンディ型モニターの仕様
寸法 | : GNSSアンテナ直径13cm、高さ26cm |
重量 | : 本体750g |
精度 | : 水平方向10mm、高さ方向20mm (GNSSアンテナ単体精度) |
今後の展開
豪雪地帯での施工となる成瀬ダム堤体打設工事では、雪に埋もれた構造物や資材を本ツールで「見える化」し、安全な除雪作業に活かすとともに、堤体打設が本格化する2020年には、導入予定の次世代建設生産システム「A4CSEL®」(クワッドアクセル)や自動スライド型枠といった、自動化施工技術の施工管理に活用していく予定です。さらに、出来形をはじめとした検査への適用を目標に、本ツールの高度化に向けた開発を進めます。
鹿島は本ツールを、ダム工事だけでなく、埋設物や支障物の多い都市部の工事など、他の工種にも適用範囲を広げていく方針です。
工事概要
工事名 | : 成瀬ダム堤体打設工事(第1期) |
工事場所 | : 秋田県雄勝郡東成瀬村椿川地内 |
工期 | : 2018年5月9日~2022年12月9日 |
発注者 | : 国土交通省東北地方整備局 |
施工者 | : 鹿島・前田・竹中土木特定建設工事共同企業体 |
諸元 | : 台形CSGダム、堤高114.5m、堤頂長755m、堤体積4,850,000m3 |
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