[2019/07/17]
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自動化目前!ロックボルト工の一連作業を完全機械化
穿孔・モルタル注入・ロックボルト挿入を一台で行うロックボルト打設専用機を開発
鹿島(社長:押味至一)は、フランスの機械メーカーであるRobodrill(ロボドリル)社と共同で、山岳トンネル工事におけるロックボルト工の穿孔からモルタル注入、ロックボルト挿入までの一連作業を完全機械化するロックボルト打設専用機を開発し、高知県で施工中の日下川新規放水路工事に適用しました。
本専用機の適用により、作業員の肉体的負担の大きいロックボルトの挿入作業が減り、肌落ちの危険性のある切羽近傍での作業がゼロになります。また、ガイダンスシステムを搭載しているため、従来、人力で行っていた座標測量が不要となり、人員の削減、測量時間の短縮につながります。そのため、安全性の向上に加え、生産性、品質のより一層の向上も期待できます。
開発の背景
2018年に当社は、人力作業が主体のロックボルト工の機械化第一弾として、大狩部トンネル工事(北海道新冠郡)において、モルタル注入とロックボルト挿入作業の機械化施工を実現しました。その後、安全性の確保、生産性および品質の向上を目的にさらなる機械化の進展を図り、最終的にはロックボルト工全般の自動化を目指して開発をすすめています。
こうした中、今回は機械化の第二弾として、穿孔、モルタル注入、ロックボルト挿入までの一連の作業を、1本のブームで連続して行うことができる専用機を開発しました。
ロックボルト打設専用機の特長
本専用機は、汎用のホイールローダをベースに、前方にロックボルト工打設専用ブーム1本と、装薬作業などを行うバスケットを実装した作業用ブーム2本、後方に油圧パックを搭載し、さらに穿孔位置と打設角度を示す相対座標によるガイダンスシステムを装備しています。これにより、センターブーム1本で穿孔からモルタル注入、ロックボルト挿入までの一連の作業を完全に機械化します。その結果、苦渋作業であった高所でのロックボルトの装填作業が減り、切羽近傍での作業はゼロとなり作業員の安全が確保されます。また、ガイダンスシステムを用いることで、測量作業の人員減・時間短縮にもつながります。
ロックボルト工打設専用ブームには、穿孔用ガイドセル、モルタル注入用ガイドセル、ロックボルト挿入用ガイドセルを搭載し、それぞれのガイドセルが同心円上で動作します。
一度機械をセットすればブームを動かすことなく、穿孔からロックボルト挿入までの一連作業が可能で、ロックボルトホルダーは1回の補給で最大9本(ガイドセル:1本、チェンジャー:8本)搭載できます。
既に打設したロックボルト頭部の位置を、ロックボルト工打設専用ブームの穿孔用ガイドセルで3点ピックアップすることにより、次に打設するロックボルトの穿孔位置と打設角度を、キャビン内の画面でオペレータにガイダンスするシステム(特許出願中)を開発し、装備しています。このため、専用機本体の絶対座標をトータルステーションなどの機器を用いて測量する作業がなくなり、キャビン内にいる1名のオペレータによるブーム操作のみで、相対的な穿孔位置と打設角度を短時間に確定することが可能となりました。
日下川新規放水路工事での実証
本専用機を高知県で施工中の日下川新規放水路工事に適用した結果、機械の操作性に問題なく、オペレータ1名によるロックボルト工の一連作業が可能であることを確認しました。 また、ロックボルトを持ち上げ、孔に手で押し込む苦渋作業が無くなったことで作業環境が飛躍的に改善したとともに、ロックボルト1本当たりの打設効率が従来の1.3倍に向上しました。 |
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今後の展開
鹿島は、本専用機を山岳トンネル工事に積極的に展開していくとともに、ロックボルト工の自動化に向け、ロックボルト工打設専用ブームのフルオート制御や、モルタル自動計量注入システムとの連動などを図り、より一層の施工の安全および効率化を目指します。
さらには、ロックボルト工も含めたトンネル掘削全般の完全自動化の実現に向け、技術開発を加速していきます。
工事概要
工事名 | : 平成29-32年度 日下川新規放水路工事 |
発注者 | : 国土交通省 四国地方整備局 高知河川国道事務所 |
工事場所 | : 高知県高岡郡日高村 |
工期 | : 2018年1月~2021年3月 |
施工者 | : 鹿島建設株式会社 |
工事諸元 | : NATM、トンネル延長2,850m、幅員7.0m、掘削断面積55m2 |
(参考)
ドリルジャンボを用いたロックボルト工の機械化施工を実現!
(2018年7月3日プレスリリース)
プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。