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プレスリリース

[2019/08/08]

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ロックボルト引抜き試験のワンマン化を実現

より早く、より安全で確実な引抜き試験機を開発

 鹿島(社長:押味至一)は、株式会社ケー・エフ・シー(大阪市北区、社長:高田俊太)と共同で、山岳トンネルの品質管理試験で用いるロックボルト引抜き試験機を新たに開発しました。従来型の試験機と比べて、軽量化・コンパクト化を図り、油圧ポンプの電動化により作業を省人化し、さらには、デジタル化することで正確かつ確実なデータの取得と自動記録を可能としました。これにより、一人で、短時間に、安全に、確実な引抜き試験を行うことができます。
 このたび、宮古盛岡横断道路 新区界トンネル工事(岩手県宮古市)において新型の試験機の実証試験を行い、その有用性を確認しました。

新たに開発した試験機によるロックボルト引抜き試験の様子

新たに開発した試験機によるロックボルト引抜き試験の様子

開発の背景

 山岳トンネル工事では、トンネル掘削に併せて、周辺地山に一定間隔でロックボルトを打設することで地山の安定性を向上させます。その品質管理として、ロックボルトの引抜き試験を行い、ロックボルトの変位量の測定、定着度合いを確認します。この試験は、国土交通省の管理基準ではトンネル延長50mに1回(一般的な月進で2週間に1回程度)の頻度で定常的に行うもので、1回あたりの計測箇所はトンネル側壁や天端など均等な距離を置いた3箇所で実施します。
 試験の実施にあたっては、打設したロックボルトに引抜き用の試験機を取り付け、油圧ポンプで段階的に荷重をかけます。従来型の試験機は、部品数が多く、総重量も30kgと重いため、試験箇所への持ち運びや狭い高所作業車上での組立作業に多大な労力が必要でした。また試験時は、1人が手動油圧ポンプを用いてロックボルトに人力で荷重をかけながら、もう1人が変位量を読み取って記録する2人1組での作業が基本であり、作業の安全性や生産性の向上が課題でした。

新型試験機の特長

ロックボルト引抜き試験のワンマン化を実現した新型試験機の特長は以下のとおりです。

  1. 総重量を30kgから13kgにしたことで、運搬時や試験機設置・撤去時の作業負担を大幅に軽減。
  2. 複数パーツを一体化することで、煩雑な組立作業が不要。
  3. 試験荷重を与える油圧ポンプを手動から電動にすることで、変位量測定時の人力作業が不要。
  4. デジタル処理した計測値は、無線通信でタブレット端末に自動的に記録されるため、ヒューマンエラーのない確実なデータの取得が可能。
  5. 試験(試験機設置・試験・写真撮影・撤去)に要する時間は、従来の平均約8分から約3分に大幅に短縮。
  6. 計測データは、タブレット端末で変位履歴をタイムリーにグラフ表示して確認でき、試験後には専用アプリで簡単に管理帳票の作成が可能。

従来型新型試験機(総重量13kg)

新型と従来型の試験機との比較

新型と従来型の試験機との比較

今後の展開

 今回開発した新型の試験機は、現在、日下川新規放水路工事(高知県高岡郡日高村)、博士トンネル(会津美里町工区)工事(福島県大沼郡)にて実適用し、すでに運用を開始しています。
 今後は、運用しながら課題を抽出し、より使いやすく、さらに軽量化するなどの改良を進めることで、トンネル工事における安全性、生産性の向上に寄与していきます。



プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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