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プレスリリース

[2019/10/17]

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五感に訴えるウェルネス空間「そと部屋®」を開発

~実証オフィスにおいて健康性および知的生産性の向上効果を確認~

 鹿島(社長:押味至一)は、緑などの自然の要素を室内空間に取り込むバイオフィリックデザインに、光や音などの能動的な環境制御を融合させた五感に訴えるウェルネス空間「そと部屋」を開発しました。「そと部屋」は室内の安定性と屋外の心地よさを両立し、地下や高層ビルなど屋外にアクセスしにくい空間のレイアウトでも高い開放感をもたらします。このたび、当社技術研究所研究棟(東京都調布市)で実証実験を行い、健康性および知的生産性の向上効果を確認しました。
 今後、オフィスなど健康への配慮が求められる建物の新築やリニューアル、運用管理などに幅広く展開し、健康で快適な空間の創造に向けた様々なニーズに対応していきます。

※バイオフィリックデザイン:自然とのつながりを意図したデザインを表す総称で、バリエーションは幅広く、室内緑化はその一つとして位置付けられる

「そと部屋」のコンセプト

「そと部屋」のコンセプト

開発の背景

 近年、経済産業省から健康を保持・増進する行動を誘発する「健康経営オフィス」が推奨され、アメリカでは使用者の健康に配慮した建物を評価する「WELL認証」が広まっています。さらに、SDGs やESGの観点からも、オフィスワーカーの健康性や知的生産性に配慮した「ウェルネス空間」の設計に対するニーズが高まっています。
 

ウェルネスとイノベーションに向けた空間づくり

 鹿島は、健康と最先端のイノベーションを求める顧客や社会のニーズに応えるため、屋上庭園や吹き抜け空間、天井の高い開放的な空間デザインを推進する一方、平面プランによらずにウェルネス空間を実現する能動的な環境制御技術の開発に取り組んできました。今般、バイオフィリックデザインに、空からの光を室内に模擬する天井装置「スカイアピアー」と、屋外のリアルタイムの音風景を快適に内部に取り込む音場制御装置「サウンドエアコン」を融合させた五感に訴えるウェルネス空間「そと部屋」を開発、同研究棟に適用しました。天候や季節の影響を受けない室内に、自然のゆらぎを適度に取り込んだ開放的な空間を実現しています。

※技術協力:ヤマハサウンドシステム株式会社(東京都中央区、代表取締役:武田信次郎)

・バイオフィリックデザイン
 緑やアクアリウム、木製の家具など、自然の要素を近景・中景・遠景にバランスよく配置することで、視覚・触覚・嗅覚の効果に加え、生物と親しむことによるやすらぎや刺激の効果を高める工夫を行っています。これらの設計・施工・メンテナンスについては、当社のグループ会社である株式会社イリア※1、かたばみ興業株式会社※2、株式会社ランドスケープデザイン※3と連携して研究開発を進めています。

技術研究所研究棟の「そと部屋」

技術研究所研究棟の「そと部屋」

・模擬天空天井「スカイアピアー」
 一般的な窓採光では、明るい窓に対して室内面が暗く見えるため大きな開放感が得られません。「スカイアピアー」は、空の見え方の特徴である「開口色」を出現させる天井装置で、天井を天空と錯覚させる奥行きのある光で空間を包みます。天井を適度な明るさで覆うため、窓採光によって生じるコントラストを低減し開放感を高めながらも、屋外のようにパソコンの作業画面が見えづらくなることはありません。また、天井面の下側に設置するため、天井裏のスペースを必要としません。

※一般的な色は「物体色」といい、物体の存在と共に、その表面の色として知覚されます。それに対し、空の見え方は異なり、物体の存在が感じられず、色と明るさのみが知覚され、これを「開口色」といいます。

「スカイアピアー」の概要

「スカイアピアー」の概要 ※クリックで拡大します別ウィンドウが開きます

・リアルタイム・サウンドスケープ「サウンドエアコン」
 窓を開けたときに感じる屋外との一体感、開放的な心地良さは、地域に根差した音風景を室内に取り込むことで生じる効果の一つでもあります。エアコンが空気の温湿度を快適に制御するように、「サウンドエアコン」は屋外の音風景を快適に制御し、リアルタイムに室内へ取り込みます。屋外の音風景が持つ本来の粗々しさは抑制しつつ、心地よい部分は強調することで、より快適な屋外との一体感を演出し、開放感とリラックス効果を高めます。

「サウンドエアコン」の概要

「サウンドエアコン」の概要 ※クリックで拡大します別ウィンドウが開きます

 「そと部屋」は、大規模工事を必要としないためリニューアルにも対応でき、オーダーメイドも可能です。同研究棟では、既存のコミュニケーションスペース(約100m2)を「そと部屋」に改修しました。異分野の研究員が行き交いイノベーションを誘発するコミュニケーションスペースとしての機能を一層強化し、研究員のストレス軽減と知識創造をサポートしています。

ウェルネス効果の検証

 実証実験(第一期2018年7月~2018年10月、慶應義塾大学伊香賀俊治教授および産業医科大学柳原延章名誉教授と共同実施)では、「スカイアピアー」を設置した「そと部屋」で活動した際の生理面(疲労、自律神経活動の測定)、心理面(リラックス、ストレス等に関するアンケート)、知的生産性(単純作業、創造的作業のパフォーマンス)を定量的に評価し、ウェルネスに及ぼす影響を把握しました。

 結果、「そと部屋」での休憩は、自席での休憩と比べて、生理面においてリラックス効果を表す副交感神経活動が大きく、同研究棟に設置されている「屋上庭園」での休憩(10月)と同様の効果があり、心理面のアンケートにおいても、ストレスが減少していることが確認できました。また、休憩後に行った創造的作業では、知的生産性の向上効果が大きいことも確認できました。これらのことから、「そと部屋」では年間を通して安定して、「屋上庭園」と同様のリラックス効果および知的生産性の向上効果を期待できることが分かりました。
 

健康性に及ぼす影響(自律神経活動の測定による)

健康性に及ぼす影響(自律神経活動の測定による)
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知的生産性に及ぼす影響(言語連想マップによる)

知的生産性に及ぼす影響(言語連想マップによる)
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今後の展開

 現在、「スカイアピアー」に加え、「サウンドエアコン」を設置した「そと部屋」で第二期の実証実験を実施中です。健康性および知的生産性の定量的な評価を行うことで、設計提案内容に関するエビデンスを蓄積していきます。併せて、IoT センサによる環境・行動・生体情報の見える化とそのサービスなど、スマートビルディングへの取り組みを積極的に推進し、健康で快適な空間づくりにおける様々なニーズに対応していきます。

※1 株式会社イリア(東京都港区、社長:田澤良一)
※2 かたばみ興業株式会社(東京都港区、社長:高野博信)
※3 株式会社ランドスケープデザイン(東京都港区、社長:植野糾)


プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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