[2020/09/16]
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鉄筋コンクリート造建物の柱梁の耐震性能を向上させる
ヒンジリロケーション梁工法を開発
~本年10月着工の新築工事に初適用~
鹿島(社長:押味至一)は、鉄筋コンクリート造(RC造)の建物を対象に、梁端部の主筋にフック付きの補強筋を添えることで梁の曲げ性能を向上させ、かつ、大地震時の柱梁接合部の損傷を低減させる、RC造ヒンジリロケーション(塑性化位置のスパン中央方向への移動)梁工法を開発しました。
本工法は、2018年12月に建築技術性能証明※を取得しており、一般の建物への適用が可能です。本年10月に着工する当社単身寮の新築工事に、本工法を初適用します。
※ 性能証明番号 GBRC性能証明 第18-12号/(一財)日本建築総合試験所
RC造ヒンジリロケーション梁工法
開発の背景
従来のRC造の柱梁架構では、地震エネルギーを部材の塑性化(計画的な損傷)によって吸収するように設計されています。その塑性化位置は梁部材の端部である柱ぎわに計画されます。建物に大きな地震が繰り返して作用すると、この損傷は梁端部の柱ぎわに留まらず、柱の内側にも進展し、柱梁接合部に比較的大きな損傷が及ぶことがあります。柱梁接合部は補修困難な箇所であり、大地震に対して、地震後の継続使用や早期復旧の観点からも、損傷を避ける必要があります。
本工法の概要と特長
今回開発したRC造ヒンジリロケーション梁工法は、大地震時において、梁に塑性化が生じる位置を端部柱ぎわからスパン中央方向に移動させ、梁の曲げ性能を向上させるとともに、補修の困難な柱梁接合部の損傷を低減する工法です。
RC造梁の端部主筋に180度フック付き補強筋を添えて補強することで、塑性化位置をスパン中央方向に移動させること(ヒンジリロケーション)が可能となります。
RC造ヒンジリロケーション梁工法の概要
- 梁の塑性化位置のスパン中央方向への移動(ヒンジリロケーション)
- 各地震時の柱梁接合部の損傷低減
- 梁の曲げ性能の向上(従来工法比10%程度向上、曲げ性能が同等の場合は鉄筋量は同等)
- 梁主筋は高強度鉄筋(SD490級)にも対応可能
ヒンジリロケーション梁工法の効果確認実験の状況 ※設計想定の約4倍の大変形時
今後の展開
今後、建物に「安全・安心」「サスティナビリティ」の付加価値を与える当社独自の工法※として、集合住宅を中心にRC造建物への適用を展開していきます。
※ 特許第6703901号(2020.6.3付)「鉄筋コンクリート造柱・梁架構における梁の配筋構造」
工事概要
工事名 | : (仮称)南長崎単身寮新築工事 |
工事場所 | : 東京都豊島区南長崎六丁目3番(以下未定) |
発注者 | : 鹿島建設株式会社 |
設計・監理 | : 鹿島建設株式会社 建築設計本部 |
施工 | : 鹿島建設株式会社 東京建築支店 |
建物用途 | : 共同住宅、事務所 |
延床面積 | : 4,177m2 |
構造 | : 鉄筋コンクリート造 地上5階 |
工期 | : 2020年10月~2022年2月(予定) |
(仮称)南長崎単身寮
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