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プレスリリース

[2021/01/14]

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分散ファンによる省エネ空調システム「OCTPUS」を開発

(仮称)横濱ゲートタワープロジェクトに初導入

 鹿島(社長:押味 至一)は、ダイキン工業株式会社(社長:十河 政則)と共同で、分散ファンによる最適風量制御空調システム「OCTPUS(オクトパス)」(商標登録出願中)を開発しました。本システムは、大規模なオフィスビルなどで採用されるセントラル空調方式において、空調ゾーン毎にファン付風量制御装置(FPU)を設置、空調機(AHU)と連携させることで空調風量制御を最適化し、省エネルギーを実現します。この度、本システムを、みなとみらい21中央地区58街区で当社らが開発を進めるオフィスビル「(仮称)横濱ゲートタワープロジェクト」に初導入しました。
※OCTPUS : Optimal Controlled Terminal fan Powered Unit System


OCTPUS概念図

OCTPUS概念図

開発の背景

 建物運用時の消費エネルギーにおいては、空調用エネルギー、特に空調機から空気を搬送する際に消費するエネルギーが全体の約15%と大きな割合を占めます。オフィスビルなどの空調設備には、室内の発熱量の変化に応じて風量を制御するVAV(Variable Air Volume)システムが主に採用されています。VAVシステムは、OA機器や人体の発熱など熱負荷の大きい空調ゾーンによって空調機の給気圧力が決まり、熱負荷が小さいゾーンでは設備内のダンパを閉じることで風量制御を行います。その際、ダンパの摩擦抵抗による空気搬送エネルギーの損失が課題でした。

システムの概要

 OCTPUSは、空調ゾーン毎に分散設置されるFPUと空調機内の給気ファンを連携して制御することで、ゾーン毎の熱負荷に合わせて必要最小風量の空気を最適な温度で供給するシステムです。FPUの運転により分岐ダクト経路毎に送風制御を行うため、エネルギーロスを防ぐことができます。

VAVシステムとOCTPUSの風量調整方法の比較

VAVシステムとOCTPUSの風量調整方法の比較

システムの特長

■省エネルギー
 VAVシステムでは、ゾーン全体を1台の空調機で送風しており、制御下限風量を最大風量の30%程度までしか絞ることができません。OCTPUSでは、空調機とFPUの両方を制御できるため、処理すべき熱量が少ない場合には、空調機を停止しFPUのみで給気することも可能です(特許共同出願中)。これにより制御下限風量を10%程度まで絞ることができ、省エネルギーを実現します。一般的なオフィスビルをモデルとしたシミュレーションでは、VAVシステムに比べて、年間空気搬送エネルギー消費量を最大約44%削減可能と試算されています。

FPUのみによる運転

FPUのみによる運転


OCTPUSの省エネルギー効果

OCTPUSの省エネルギー効果

■快適性向上
 VAVシステムは、発熱量が少なく最小限の送風量で済む場合でも、制御下限風量が30%程度あるため、低い給気温度で送風し続けると室内を冷やし過ぎることになります。これを防ぐため、一般的には給気温度を上げて送風しますが、その場合、冷却による除湿が不十分となり、室内相対湿度が高めとなります。OCTPUSは、制御下限風量を10%程度まで絞れるため、低い給気温度を維持しやすく、除湿能力に優れ、快適な湿度環境を実現します。シミュレーションでは、室内の相対湿度を50%付近の快適な範囲に維持できることを確認しています。


冷房時室内相対湿度比較

冷房時室内相対湿度比較

■省スペース
 従来は1台の空調機で送風するため、大型の空調機が必要となり、それを設置する機械室が必要でした。OCTPUSは、FPUが給気圧力を分担することで空調機のファンサイズが小さくなるため、機械室スペースを削減できます。導入建物における試算では、1フロア当たりのオフィス面積は約1%増大しました。

(仮称)横濱ゲートタワープロジェクトへの導入

 オフィス基準階の大部分となる5~19階にOCTPUSを全面的に導入し、総数で約1,200台のFPUを設置します。これにより建物の省エネルギー、利用者の快適性向上、オフィス面積の増大を実現します。

FPUの設置とダクト接続状況

FPUの設置とダクト接続状況

今後の展開

 省エネルギー・快適性向上・省スペースを求めるオフィスビルなどの空調システムとしてOCTPUSを積極的に提案し、本システムの普及と建物運用エネルギーの削減を図ってまいります。また、IoTセンサとの組み合わせによるウエルネス空間への展開も検討してまいります。

工事概要

工事名  : (仮称)横濱ゲートタワープロジェクト建設工事
工事場所  : 横浜市西区高島一丁目2番他(58街区)
発注者  : 鹿島建設株式会社、住友生命保険相互会社、三井住友海上火災保険株式会社
設計者  : 鹿島建設株式会社
施工者  : 鹿島・鉄建・小俣建設共同企業体
建物用途  : 事務所、店舗、プラネタリウム、駐車場等
延床面積  : 約84,000m2
構造  : 地下RC造、地上S造(制震構造)、地下1階、地上21階
工期  : 2019年4月~2021年9月(予定)

プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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