[2021/06/15]
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新たな自在ボーリング技術「NaviX(ナビックス)工法」を開発
硬質地盤・障害物に対応し、曲線半径10mの急曲線削孔を実現
鹿島(社長:押味至一)とケミカルグラウト株式会社(社長:立和田裕一、本社:東京都港区、以下ケミカルグラウト)は、新たな自在ボーリング技術「NaviX®工法」を開発しました。本工法は、両社が開発した地中障害物を何度でも迂回して三次元的に削孔制御できる曲りボーリング技術「CurveX®(カーベックス)工法」を、高周波振動による削孔機構と特殊な削孔装備によって進化させたものです。本工法を用いることで、これまで削孔できなかった硬質地盤や障害物への対応、さらには曲線半径10mの急曲線削孔が可能となり、施工の自由度が飛躍的に向上します。
開発の背景
近年、首都直下型地震や南海トラフ地震に備えたインフラの耐震化(地盤補強)工事の促進などに伴い、N値※が 30 を超えるような硬質地盤など、これまでになかった多様な地盤条件下での薬液注入や地盤凍結による地盤補強のための削孔ニーズが増えています。これに対して、CurveX工法では、N値30以下の比較的軟質な地盤までしか削孔ができず、対応可能な技術開発が求められていました。
また、液状化対策工事の対象となるような埋立地盤には、大きな礫(石)やコンクリートの塊の存在が懸念され、これらが障害となって削孔に時間を要したり、最悪の場合、削孔を継続できず、削孔ロッドを一旦引き抜き再度削孔を行うなどの措置が必要でした。
※原位置における土の硬軟、締まり具合を知る指標
NaviX工法の特長と概要
本工法(NaviX)のCurveX工法からの改良点(赤字)は以下の通りです。
・硬質地盤・障害物の削孔(※1,2)
削孔ロッドに高周波振動を与えることで、地盤削孔能力が向上しました。また、硬質地盤・障害物削孔に対応した先端ビットを新たに開発し、軟質から硬質地盤、障害物が存在する地盤まで、あらゆるタイプの地盤の削孔が可能となりました。 |
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耐摩耗性能を向上させた特殊な細径の削孔ロッドを採用することで、CurveX工法では30mであった曲線半径を10mに縮径でき、急曲線への対応を可能としました。
併せて、従来30度であった施工機のマスト起倒角度(削孔ロッドの地盤への入射角度)を45度まで大きくできるようになり、より多くの施工条件に対応できるようになりました。
ボタン操作ひとつで、削孔ロッドの供給、接続を自動で行うことができます。また削孔ロッドの抜管時には、ロッドの洗浄・格納も自動で行います。 これら自動化設備の充実により、従来2名必要だったロッド接続作業員は不要となり、ボーリングマシンオペレータ1人で作業を完結できます。 併せて、位置検知センサーの挿入・計測自動化も実現し、一連の削孔作業を総合的に省力化しました。
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NaviX工法の性能確認
実証施工では、CurveX工法では不可能であった N値80程度の硬質な砂礫地盤において、線形を修正しながら50mを削孔し、目標地点に到達可能なことを確認しました。また、N値30程度の地盤を90m削孔し、その先に設置した厚さ400㎜のプレキャストコンクリート板の貫通削孔が可能なことも確認しました。 さらに、急曲線施工に関しては、曲率半径10mの削孔も可能なことを確認しました。
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今後の展開
今後、実現場への適用を進める中で収集した各種データを活用することで、削孔の自動化による作業の安全性および生産性の更なる向上を目指すとともに、超長距離でも精度よく削孔できる技術の開発を推進し、新分野への応用展開も視野に、技術の高度化を図ります。
(参考)
曲がりボーリング式薬液注入工法「カーベックス工法」
プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。