ホーム > 企業情報 > プレスリリース > 残コン・戻りコンゼロとCO2削減を建設現場で同時に実現

プレスリリース

[2022/04/26]

784KB

残コン・戻りコンゼロとCO2削減を建設現場で同時に実現

建設現場内で液化炭酸ガスを利用したシステムを確立

 鹿島(社長:天野裕正)は、東京大学大学院工学系研究科 野口教授の指導のもと、建設現場で発生する残コンクリート※1(以下、残コン)および戻りコンクリート※2(以下、戻りコン)を、建設現場内でCO2(液化炭酸ガス)を利用してゼロにするシステム(以下、本システム)を確立し、実証実験を行いました。
 本システムは、大規模現場では一般的に設置されている濁水処理装置に、簡易な振動式ふるいなどを追加することで構成するものです。本システムによって、残コン・戻りコンを再利用可能な粗骨材とCO2を吸収・固定して中和された処理土、そしてpHと濁度を下げ放流可能な水に分離できます。
 さらに、一連の分離・処理過程において液化炭酸ガスを使用することで、残コン・戻りコンのセメント分にCO2を吸収・固定させることができるため、残コン・戻りコンの削減と同時にCO2の削減を達成できる一石二鳥のシステムです。

※1 残コンクリート :現場で荷下ろしされた後、アジテータ車に残ったコンクリート
※2 戻りコンクリート:アジテータ車から荷降ろしされずに出荷元の生コンクリート工場に戻される
           コンクリート

残コン・戻りコン処理システムの稼働状況

残コン・戻りコン処理システムの稼働状況

開発の背景

 建設業の工事現場で様々な理由から発生する残コン・戻りコンは、これまで大半が再利用されることなく処分されてきました。これらのコンクリートの無駄を減らすため、戻りコンの有償化や特殊な混和材を利用した100%リサイクル技術が開発されるなど様々な取組みが行われていますが、削減が進まないことが課題です。
 また、地球温暖化を要因とした気候変動により自然災害が激甚化する傾向にあり、その一因とされるCO2 の排出量を減らすことは、世界的に喫緊の課題となっています。
 こうした中、当社ではこれらの課題を建設現場内で同時に解決できる技術の開発を目指しました。

実証実験の概要

 今回、千葉県市川市の建設現場で行った実証実験では、濁水処理装置に散水装置付きの振動式ふるいと、その直下に撹拌機を有する水槽を追加設置しました。その結果本システムを適用することで、残コン・戻りコンから再利用可能な粗骨材とCO2 を吸収・固定して中和された処理土(炭酸カルシウムと細骨材の混合物)が得られ、排水のpHと濁度を下げて放流可能な水になるまで処理できる一連の流れを確認できました。

分離した粗骨材ほか

■本システムにおける一連の流れ

  1. アジテータ車から散水装置付き振動式ふるいに生コンクリートを投入
  2. 生コンがふるい上を通過する過程で固液分離
  3. ふるい下部の水槽にモルタル分が落下
  4. 散水により洗われた粗骨材を排出
  5. 水槽内のモルタル分を攪拌
  6. 懸濁水状となり既存の濁水処理装置へ送出
  7. 炭酸ガスで処理することでCO2を吸収・固定して中和された処理土(炭酸カルシムと細骨材の混合物)とpHが放流基準値以下となった処理水に分離
  8. 処理水を放流

建設現場内 残コン処理システムのフロー

建設現場内 残コン処理システムのフロー

今後の展開

 今後は、散水装置付き振動式ふるいによる分離能力の向上などにより、建設現場への適用を進めていきます。
 将来的には、本システムで使用する液化炭酸ガスに建設現場で排出される重機などの排ガスを用いるなど、更なるCO2削減を実現することで、脱炭素社会への移行に貢献していきます。

(参考)
動画で見る鹿島の土木技術 カーボンニュートラル(CN)
残コン・戻りコンゼロとCO2削減を建設現場で同時に実現

プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

ホーム > 企業情報 > プレスリリース > 残コン・戻りコンゼロとCO2削減を建設現場で同時に実現

ページの先頭へ

ページの先頭へ