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プレスリリース

[2022/04/08]

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世界最長規模の張出し架設長を有するプレキャストセグメント橋で
3次元計測技術による出来形管理を実施し、生産性を大幅に向上

 鹿島(社長:天野裕正)は、西日本高速道路株式会社(社長:前川秀和)発注の四国横断自動車道 吉野川大橋工事(徳島南部自動車道 吉野川サンライズ大橋)において、架設前のセグメント形状を3次元デジタルカメラにより全方向から計測し、架設線形を高精度に予測する出来形管理を実施しました。
 これにより、プレキャストセグメント橋として世界最長規模の張出し架設長を有する本工事においても、架設段階での出来形管理が容易となり、生産性の大幅な向上につながりました。

セグメントの架設状況

セグメントの架設状況

プレキャストセグメント橋の特徴

 プレキャストセグメント橋は、予め工場または現場に隣接するヤード等で製作したコンクリート製の箱桁セグメントを現場で繋ぎ合わせて一体化する橋梁で、場所打ちコンクリートによって施工する橋梁に比べて工期を短縮できます。この工法では事前にセグメントを製作した後、現地にて順次架設していくため、架設線形はセグメント製作段階でほぼ決定されます。そのため、架設途中での線形の修正が極めて困難という特徴があります。また、架設線形を調整できるのは、基準セグメント(第1セグメント)の据付時のみとなるため、基準セグメントの据付方向を精度よく設定することが重要となります。

本工事における特徴と課題

 本工事の支間長は130mで、張出し架設工法によるプレキャストセグメント橋としては世界最長級となります。1支間あたりのセグメント数は41個となり、2か所の製作ヤードで合計490個のセグメントを製作しました。
 本工事のセグメント製作で採用している「ショートライン・マッチキャスト方式」は、従来セグメント製作直後に橋面を測量することで架設線形を予測し、基準セグメントの据え付け方向を決定していました。しかし、本工事のようにセグメント高に対してセグメント長が短く、張出し架設のセグメント数が多い場合は、従来の予測方法では精度が低下するという課題がありました。そのため、一般的なプレキャストセグメント橋より高い精度で架設線形を予測し、基準セグメントの据付方向を決定する必要がありました。

※先に製作したセグメント(OLDセグメント)の端面を型枠にして、次のセグメント(NEWセグメント)を作る方式

プレキャストセグメント橋の特徴

プレキャストセグメント橋の特徴

ショートライン・マッチキャスト方式によるセグメント製作のイメージ

ショートライン・マッチキャスト方式によるセグメント製作のイメージ

3次元計測技術を活用した架設線形予測

 本工事では、より高精度な架設線形の予測を実現するために、3次元デジタルカメラを活用しました。予測精度の向上にはセグメント接合面に設けた計測点を正確に取得することが重要となります。そこで、従来の橋面の測量だけでなく、セグメント単体形状を3次元デジタルカメラにより計測して座標を取得し、それらを繋ぎ合わせることで架設線形予測の高精度化を図りました。

3次元デジタルカメラによる計測

3次元デジタルカメラによる計測

セグメントの計測結果

セグメントの計測結果

3次元で取得した座標

3次元で取得した座標

取得した座標を繋いで架設線形を予測

取得した座標を繋いで架設線形を予測

本工事での適用結果

 3次元計測技術を活用した架設線形予測値は、実際の架設線形の実測値と概ね一致しており、その誤差は最大でも3㎜程度であることを確認しました。従来の測量方法に比べて高精度に架設線形を予測し、基準セグメントを精度よく据え付けることができたことで、本工事における出来形管理はセグメント架設段階で線形を修正することなく要求される橋面高さを確保し、生産性向上につながりました。

架設線形予測と実橋の架設線形結果(計画高に対する差)

架設線形予測と実橋の架設線形結果(計画高に対する差)

今後の展開

 近年、建設現場における生産性を向上するため、国土交通省が推奨するi-Constructionにおいてもプレキャスト部材をこれまで以上に活用する施策が進められています。当社は、本工事で活用した3次元デジタルカメラによる出来形管理を、プレキャストセグメント橋だけでなくプレキャスト部材を活用した様々な工種に展開することも検討し、さらなる生産性と品質の向上に繋げていきたいと考えています。

工事概要

工事名  : 四国横断自動車道 吉野川大橋工事
場所  : 徳島県徳島市
発注者  : 西日本高速道路株式会社 四国支社
施工者  : 鹿島・三井住友・東洋特定建設工事共同企業体
橋梁諸元  : PC15径間連続箱桁橋 橋長1,696.5m、幅員9.3m
工期  : 2016年2月~2022年7月

プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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