[2022/10/24]
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水災害に対するトータルエンジニアリングサービスを提供開始
~鹿島グループの総合力により、水災害を想定したBCPをサポート~
鹿島(社長:天野 裕正)は、近年、激甚化・頻発化する水災害に対して、企業の水災害を想定したBCPを支援するトータルエンジニアリングサービスの提供を開始します。本サービスは「リスク評価」「対策立案」「対策工事」「運用支援」から構成されており、鹿島グループが有する技術力を結集して合理的な対策を提供し、水災害を想定したお客さまにとって最適なBCPをサポートします。
背景
近年、世界的な気候変動に伴い、日本国内でも毎年のように大規模な水災害が発生しています。日本の建築物には、地震や風、火災に対しては建築基準法により安全基準が定められていますが、水災害に対しては基準が定められていません。このため企業においては、自治体が定めるハザードマップを参考に、周辺状況や建物用途を考慮した上で、自主的に水災害対策を検討する必要があります。
ハザードマップは、河川堤防を整備するために設定された計画規模降雨(再現期間100~200年)によるものに加え、近年、人命を守るために設定された想定最大規模降雨(再現期間1,000年以上)によるものが整備されています。
水災害に対するトータルエンジニアリングサービスの提供
鹿島グループは、各自治体や企業に向けた水災害に対するトータルエンジニアリングサービスの提供を開始します。主なサービスは以下のとおりです。
(a) 立地特性調査
鹿島とグループ会社の株式会社イー・アール・エス(東京都港区、代表取締役社長:古澤靖彦)が連携して、該当敷地における浸水深をハザードマップで確認するほか、地形特性や対象となる建物の止水性や保有資産の状況などを調査、評価します。
浸水の要因には、河川の水が堤防から溢れたり、堤防の決壊箇所から流出することで生じる外水氾濫と、河川水位の上昇や急激な降雨により河川外に降った雨を排水出来ないことで生じる内水氾濫があります。浸水深の設定には、自治体が公表しているハザードマップを用いるほか、重要度に応じて外水氾濫や内水氾濫を解析により評価してリスクを自ら設定することもできます。評価に際しては増加傾向にある近年の降雨量を考慮したり、今後の気候変動を考慮した気象解析による降雨量を用いることもできます。
(a) 止水ラインの検討
重要度に応じて、洪水による浸水を防ぐ止水ラインを設定します。重要機器だけを「移設」する(ⅰ)のか、建物1棟を守る(ⅱ)のか、敷地全体を守る(ⅲ)のか、お客さまの要望に応じて止水ラインを設定します。止水ラインに応じた止水板・防水扉・下水管からの逆流を防止するためのバルブなどの設備を適切に選定します。
例えば台風襲来時の対応として、浸水を防ぐための土のう作製や止水板設置、バルブの閉鎖、災害後の設置設備の撤去までを時系列上にプロットします。これを基に、配置できる人員を勘案して実行可能かで、災害時に有効な行動タイムラインを考案します。
(c) お客さまに応じた最適な計画選定の支援
策定した対策案について、保護できる範囲、選定した止水方法の信頼性や操作性、意匠性、工事期間、工事費に加えて、運用時の保守性などを評価し、お客さまの計画選定を支援します。
止水ラインを敷地外周とした場合、止水壁が近隣へ圧迫感を与えないよう、ガラススクリーン止水壁等を採用することにより圧迫感を軽減します。平時は施錠されているが、浸水時には自動開錠され水の流入を防ぎながら敷地の内外を往来できる、避難口システム(特許出願中)も提案します。これらのハード面での配慮のほか、住民感情等のソフト面の配慮も欠かせません。
止水対策の実施設計は、敷地の測量、排水設備などの詳細な調査を行った上で、最大限の止水効果を発揮するよう、工期とコストを勘案の上、実施します。工事は安全に、騒音を低減させて行うなど近隣へ配慮して進めます。
対策工事後も、グループ会社の鹿島建物総合管理株式会社(東京都新宿区、代表取締役社長:山本和雄)をはじめ、鹿島グループが一体となり、お客さまに寄り添った運用支援を行います。対策立案の際に考案した行動タイムラインは、毎年のBCP訓練で見直すことでスパイラルアップさせます。災害発生後も検証・見直しを行い、より実効性の高いものにしていきます。
今後の展開
プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。