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プレスリリース

[2023/02/16]

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業界初 光ファイバで鋼製支保工のひずみを計測

~リアルタイムの応力把握で山岳トンネル施工中の地山変状トラブルを完全回避~

 鹿島(社長:天野裕正)は、岐阜県で施工中の中央新幹線中央アルプストンネル(山口)工事において、山岳トンネルの施工中に鋼製支保工の全周が地山から受ける応力を、高性能の光ファイバを用いてリアルタイムに計測することを業界で初めて実現しました。
 これにより、計測結果を基にした的確な支保パターンの変更に活用し、補強を迅速に行うことが可能となるため、支保の耐力不足による地山変状などのトラブルを完全に回避できるようになります。

ケーブル状の光ファイバセンサを貼った鋼製支保工の設置状況

ケーブル状の光ファイバセンサを貼った鋼製支保工の設置状況

開発の背景

 山岳トンネルの施工において、断層部などトンネルの安定性が懸念される箇所では、鋼製支保工のひずみを計測し、作用する応力を把握することで支保の安定性を確認します。一方で、測定に必要なひずみゲージは、鋼製支保工への設置に特殊な加工を要するため、これまでは、実際に断層部などに遭遇し鋼製支保工に大きな変状が懸念されるようになってから設置準備を始めていました。しかしながら、計測機器の準備、設置作業の調整などには1週間程度の期間が必要なため、その間は支保の応力の状況が不明なまま掘削を進めざるを得ませんでした。このため、支保パターンの変更や補強の要否を的確に判断できず、地山の変状などのトラブルが発生するといった課題がありました。

※抵抗値変化により物体のひずみを測定するセンサ

概要と成果

 今回、ケーブル状の光ファイバセンサを貼った鋼製支保工を地山に設置して、高性能の光ファイバ計測器にて支保工のひずみを計測しました。その結果、支保工が地山から受ける応力をリアルタイムに精度よく把握できることを実証しました。また、従来のひずみゲージは円周方向に3箇所程度を計測するものでしたが、光ファイバセンサは、支保全周の応力を把握できることを確認しました。
 具体的には、光ファイバセンサを貼った鋼製支保工をあらかじめ用意しておき、断層部などに遭遇した際に即座に設置することで、地山からの応力をリアルタイムに把握します。ケーブル状の光ファイバセンサは安価なため、コストの負担も大きくありません。また、光ファイバセンサは支保全周にわたって応力を把握できるため、最大の応力が生じている場所がピンポイントで分かります。このため、より的確な支保パターンの選定や補強が迅速に実施でき、地山変状などのトラブルを完全に回避することが可能となります。

鋼製支保工にケーブル状の光ファイバセンサを貼付

鋼製支保工にケーブル状の光ファイバセンサを貼付

鋼製支保工のひずみ計測値から換算した応力(計測開始から9日目)

鋼製支保工のひずみ計測値から換算した応力
(計測開始から9日目)

今後の展開

 今後、断層などがあり大きな支保応力の発生が懸念されるトンネル工事現場にケーブル状の光ファイバセンサを常備し活用することで、建設工事の安全性のさらなる向上を目指します。
 併せて、トンネル以外の工事にも光ファイバセンサを使用することで、より良質なインフラの構築に貢献してまいります。

工事概要

工事名  : 中央新幹線、中央アルプストンネル(山口)
工事場所  : 岐阜県中津川市
発注者  : 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構
施工者  : 鹿島・日本国土開発・吉川中央新幹線、中央アルプストンネル(山口)特定建設工事JV


(参考)
業界初 光ファイバでダム堤体コンクリートのひずみ挙動検知に成功 別ウィンドウが開きます
(2023年2月1日プレスリリース)

新たな高性能の光ファイバ計測


プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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