[2024/01/09]
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牛のげっぷ中のメタンガスを抑制する海藻の量産培養手法を開発
鹿島(社長:天野裕正)は、牛のげっぷに含まれるメタンガス排出量低減に寄与する海藻「カギケノリ」の量産培養手法を開発しました。メタンガスはCO2に次いで地球温暖化の原因となっている気体です。カギケノリは牛などの反すう動物の餌に混ぜることで、胃の中で発生するメタンガスを抑制する効果を持つ海藻です。今回、カギケノリの形状を自然に近い状態である直立形状から球状に変えることで、人の管理のもと陸上の水槽で安定的に量産できる技術を確立しました。
当社は今後も、地球温暖化対策に加え、脱炭素社会の実現に向けて様々な分野の技術開発に取り組み、カーボンニュートラルの実現に貢献していきます。
開発の背景
牛や羊などは反すう動物と呼ばれ、食べた物を部分的に消化した後に、もう一度口の中に戻して咀嚼するという食べ方をします。これらの動物は4つの胃を持っていますが、第1胃と呼ばれる胃にいる微生物がメタンガスを作り出し、動物のげっぷを通して大気中に放出されます。その量は全世界の温室効果ガスの約4%(CO2換算)※1を占め、さらにメタンガスの温室効果は、CO2の28倍※2にもなるため、地球温暖化を引き起こす原因のひとつとされています。また、反すう家畜の数は世界的に増加しており、げっぷを通して放出されるメタンガスは今後さらに増えると見込まれるため、その抑制が求められています。
近年、海産紅藻類のカギケノリを反すう家畜の餌に混ぜて給餌することで、げっぷ中のメタンを低減できる※3ことが研究によって明らかになりました。しかし、カギケノリの量産技術はまだ確立されておらず、多くの企業や団体が研究を進めています。
※1 農研機構HPより https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/nilgs/144910.html
※2 国際気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書より
※3 カギケノリには、牛などの胃にいるメタン生成細菌を減らす化学物質(ブロモホルム)が含まれている。餌に混ぜることで、発酵作用と消化機能への影響を最小限に留め、メタンの発生を防ぐことができる
量産培養手法の開発
鹿島技術研究所の葉山水域環境実験場(神奈川県三浦郡葉山町)では、これまでの海洋環境保全の研究で蓄積したノウハウを基に、カギケノリの量産培養手法を開発しました。
本手法では、まず、自然海域で採取したカギケノリの直立藻体(自然のままの姿)から、異物を取り除いて洗浄します。次に、この直立藻体を小さく切断し、水中に浮遊させながら培養することで、量産培養に適した球状体の藻体を形成させます(特許出願済み)。当社はその球状藻体を用いて、室内容器(2ℓ)から屋外水槽(1,000ℓ)までの量産培養に成功しました。
今回、カギケノリの最適な量産培養条件(水温、塩分、光量と明暗周期)、ならびに培養に必要となる栄養塩配合の知見を得たことにより、藻類の培養効果が高く事業化の採算に合う量産培養が可能となりました。
今後の展開
鹿島は今後カギケノリについて、さらに経済的合理性の高い量産培養手法を検討していきます。併せて、様々な機関と連携することで、カギケノリの大量生産を実現し、脱炭素社会への移行に貢献してまいります。
プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
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