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プレスリリース

[2025/09/04]

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高速道路高架橋の耐震補強にUHPFRCを初適用

RC橋脚基部の一部に適用することで、耐震性能が飛躍的に向上

 鹿島(社長:天野裕正)は、中日本高速道路株式会社発注の「長野自動車道(特定更新等)岡谷高架橋改良工事(平成30年度)」(以下、本工事)におけるRC(鉄筋コンクリート)橋脚の耐震補強に、超高性能繊維補強セメント系複合材料(UHPFRC※1)を適用しました。高速道路高架橋の耐震補強にUHPFRCを用いたのは、今回が初めてです。
 大規模地震への備えとして、従来の耐震補強工法と併用し、地震で損傷しやすいRC橋脚基部のかぶりコンクリートの一部にUHPFRCを適用することで、橋脚の断面積や自重を大きく増やすことなく耐震性能を飛躍的に高めることができます。
 鹿島は今後、高速道路をはじめとする橋梁の耐震補強工事にUHPFRCの適用を広く進めることで、社会インフラの強靭化に貢献してまいります。

※1 Ultra High Performance Fiber Reinforced cement-based Composites
水結合材比が15%程度で極めて緻密なセメント系材料を繊維で補強したもの(世界的な名称)
本工事の耐震補強で適用したUHPFRCの規格値は、圧縮強度150N/mm2

図版:長野自動車道 岡谷高架橋の工事状況(2025年7月時点)

長野自動車道 岡谷高架橋の工事状況(2025年7月時点)

適用の背景

 地震国である日本では、度重なる大規模地震からの教訓を経て、耐震基準が段階的に改正・強化されてきました。構造物の設計および施工は慎重な安全検討の下で行われますが、建設またはその後の耐震補強当時に適用された耐震基準が異なることで、現行の基準で必要とされる耐震性能を満足していない構造物が存在します。
 本工事においても、地震時の安全性および復旧性を最新基準レベルに強化することを目的として、RC橋脚の外面に高強度鉄筋を配置してコンクリートを巻き立てる従来の耐震補強工法が採用されました。これに加えて、中央構造線に隣接する岡谷高架橋の架橋条件を考慮し、大規模地震に対する復旧性を更に向上させるために、RC橋脚基部のかぶりコンクリートの一部をUHPFRCで構築する工法(以下、本工法)を試験的に併用することになりました。

本工法の概要と特長

 本工法は、高速道路などの橋梁の耐震補強として、RC橋脚基部のかぶりコンクリートの一部をUHPFRCで構築するものです。大規模地震が発生した場合でも、UHPFRCを適用した部位の損傷が抑制されるため、橋脚に大きな変形が生じても地震の揺れに対する抵抗性を保持できます。また、UHPFRCによる補強部分を地震で損傷しやすいRC橋脚基部のかぶりに限定できるため、補強範囲を最小限に抑えつつ、橋脚の断面積や自重を大きく増やすことなく耐震性能を飛躍的に高めることが可能です。

図版:本工法の概要

本工法の概要

本工事での適用

 本工事は、耐震補強を実施する全19基のRC橋脚に対し、橋脚の周囲を鉄筋コンクリートで巻き立てる従来の耐震補強工法と併用して、橋脚基部のかぶりコンクリートの一部をUHPFRCで構築するものです。2024年に1基目、2025年8月末までに計2基の耐震補強が完了しています。

図版:本工事での適用

本工事での適用

図版:補強後の状況

補強後の状況

今後の展開

 鹿島は今後、大規模地震への備えとして、より高い安全性および復旧性が求められる高速道路をはじめとした橋梁の耐震補強工事へ本工法を広く展開するとともに、更なる技術開発を進めてまいります。

工事概要

工事名  :  長野自動車道(特定更新等)岡谷高架橋改良工事(平成30年度)
工事場所  :  長野県岡谷市川岸東~成田町
発注者  :  中日本高速道路(株)
施工者  :  鹿島建設(株)・(株)富士ピ―・エス特定建設工事共同企業体
工事諸元  :  岡谷高架橋他4橋のPC箱桁橋の改良工事ほか
工期  :  2022年11月~2029年10月

(参考)
超高性能繊維補強セメント系複合材料(UHPFRC)を用いた道路橋床版のリニューアル工法を開発
(2020年12月23日プレスリリース)

国内初!高速道路を通行止めせずにUHPFRCで大規模修繕
(2024年8月30日プレスリリース)

プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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