[2025/09/09]
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リアルタイム3Dスキャンにより現場状況の“今”を3次元で見える化
~画像と点群データを合成した新しいデジタルツインを実現~
鹿島(社長:天野裕正)は、日立産業制御ソリューションズ(本社:東京都台東区 取締役社長:上田元春)と共同で、現場状況の3次元モデルをリアルタイムで更新・確認できるシステム「リアルタイム3Dスキャン」(以下、本システム)を開発しました。本システムは、現場を見通せる位置に複数のカメラとLiDAR※を常設し、取得した画像データと点群データをクラウド上で解析・合成することで色付きの3次元モデルを作成するものです。
本システムを、国土交通省関東地方整備局発注の「R2 国道20号八王子南BP館第二トンネル工事」(以下、館第二トンネル工事)に導入した結果、現場状況を事務所など離れた場所からリアルタイムかつ3次元モデルで把握でき、これにより作業内容の確認や工程調整といった施工管理業務が大幅に効率化できることを確認しました。
※ レーザー光を照射してその散乱や反射光から距離などを計測
開発の背景
施工管理業務は、作業の進捗や正しい手順で作業されているかを確認することが基本です。刻々と変化する建設機械・資機材の位置も含め、現場状況を正確に把握し、今後の作業を予定通り行うことができるかを確認することも重要です。そのため、当社ではデジタルツイン技術の開発、活用を推進し、建設機械、車両、人などの動きについてはGNSS測位をはじめとするセンシング技術により、リアルタイムの見える化を実現してきました。一方で、施工中の構造物や足場、仮囲い、資機材などについては、造成工事を中心にドローンの活用により3次元での見える化が進んでいましたが、飛行条件の制限により点群データやオルソ画像(図面と重畳できる精度の航空写真)を生成するのに時間を要するといった課題がありました。本システムの概要
本システムは、カメラとLiDARのセットを現場の複数箇所に設置して同時撮影を行い、取得した画像と点群データをデータ解析用クラウドに転送し、以下の3つのステップを高速処理します。<ステップ1> 画像と点群データの結び付け
<ステップ2> 高精度なモデル生成のためのクリーンアップ
<ステップ3> 色付きの3次元モデルとオルソ画像の生成
これにより、事務所にいてもリアルタイムで現場の状況を確認することができ、3次元モデル上で寸法や重機作業の範囲などを確認することも可能となりました。なお、データ処理はデータ解析用クラウド上で行われるため、現場で専用端末を用意する必要はありません。
本システムを用いたデータ処理フロー
現場実証と効果
その結果、刻々と変わる覆工板上の開口部や施工配置などの現場状況をリアルタイムに把握・共有できるようになり、工事関係者間での作業内容の確認や工程調整をより効率的に行うことができるようになりました。また3次元モデルでは、従来の定点カメラやドローンの写真では困難であった距離測定もできるため、クレーンの揚重計画を始めとした施工計画の生産性向上にも寄与しています。
事務所での現場確認状況
今後の展開
鹿島は今後、本システムを施工管理の様々な業務に展開するべく、今回の現場で培った知見を活かし、システムの改良を進めます。将来的には当社が開発した「Field Browser®」と本システムの統合をすることで施工管理の一元化、デジタルツインを進化させ、施工管理業務の効率化と安全性の更なる向上に寄与していきます。工事概要
工事名称 | : | R2 国道20号八王子南BP館第二トンネル工事 |
工事場所 | : | 東京都八王子市館町 |
発注者 | : | 国土交通省関東地方整備局 |
施工者 | : | 鹿島建設株式会社 |
工事諸元 | : | 躯体構築工(コンクリート打設:19,523m3、鉄筋工:2,724t)、掘削工、山留仮設工他 |
工期 | : | 2021年3月~2026年3月 |
(参考)
人、モノ、建設機械、環境等の現場情報を一元管理し、建設現場の高度な「見える化」を実現

(2020年9月24日プレスリリース)
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