[2015/09/29]
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洋上風力発電設備に用いる基礎の施工法を開発
海上作業構台「Kプラットフォーム コンボ」による、2形式の基礎施工法を確立
鹿島(社長:押味至一)は、洋上風力発電設備の海上作業構台「Kプラットフォーム コンボ」を開発し、先に発表しましたが、このたび、着床式洋上風力発電設備で想定される、モノパイル、トリポッドの2つの基礎形式について、Kプラットフォーム コンボを用いた施工条件と施工手順、コスト、工期等を検証し、新たな洋上風力発電設備に用いる基礎の施工法として確立しました。
開発の背景
着床式洋上風力発電設備の基礎形式には、(1)モノパイル、(2)トリポッド(3本杭)、(3)ジャケット(4本杭)、(4)
重力式の、大きく4つの種類があります。洋上風力発電の開発で先行する欧州においてはモノパイル形式が一般的ですが、軟弱地盤や岩盤が混在する複雑な日本の海底地盤条件には必ずしも最適とは言えず、また風車の大型化に伴って杭径や杭長が巨大化し、施工機械の制約から日本では対応が困難になっていること等の課題がありました。
鹿島は、港湾区域内向けの洋上風力発電設備の作業構台として開発したKプラットフォーム コンボを用いた、日本の地盤条件に適合すると想定されるモノパイル形式、トリポッド形式の施工方法について、それぞれ検証を行いました。
Kプラットフォーム コンボによるモノパイル、トリポッドの施工方法
【モノパイル】
モノパイル形式の基礎とは、1本の大口径杭を支持地盤に打ち込み、風車を支える形式の基礎です。砂、シルト、粘土層など、やや堅牢な地盤に適用が可能です。モノパイル形式の基礎構造は比較的シンプルであるものの、直径が5m超、重量700トン以上というような、非常に大きな杭を正確に支持地盤に打設することが要求されます。
Kプラットフォーム コンボを用いた検証では、長さ60m程度の杭を構台に乗せて搬送し、構台に設置したクレーンにより吊り込むことで、杭を継ぐことなく打設できることがわかりました。
【トリポッド】
トリポッド形式の基礎とは、3本の杭で支持力を分散し、風車を支える形式の基礎です。軟弱な地盤から硬質な地盤まで適用範囲が広いことが特徴で、3本の杭で風車を支えるため、モノパイル形式よりも杭を細く、短くすることができます。大口径の長尺杭を打設できないことも想定される複雑な日本の地盤においては、小径の杭を採用可能で、様々な補助工法が適用できるトリポッド形式は、モノパイル形式に比べて有利な基礎形式となる場合があります。
Kプラットフォーム コンボを用いて、トリポッド形式の基礎に必要なパーツの運搬・設置から風車の組立まで一連の工程を検証し、コスト、及び施工性の評価データを取得しました。
今後の展開
Kプラットフォーム コンボは、洋上風力発電設備の基礎の施工のみならず、風車組立にも適用できるため、洋上風力事業の建設段階から最終的な撤去作業まで、トータルでサポートすることができます。また、作業目的に応じたアタッチメントを搭載した複数のKプラットフォーム コンボを組み合わせることで、より効率的な施工も可能となります。
鹿島はKプラットフォーム コンボを用いた洋上風力発電設備の建設、メンテナンス、解体までを見据えた各種施工法の検討を進め、洋上風力発電設備のライフサイクルをトータルで支援する技術を整備、確立していく方針です。
※洋上風力発電用の海上作業構台「Kプラットフォーム コンボ」の開発
(2015年8月19日プレスリリース)
プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。