[2017/01/11]
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建設機械の自動化システム「A4CSEL®」に自動ダンプトラックを導入
日本初、運搬と荷下ろし作業を自動化し、大分川ダム堤体コア部で導入試験
鹿島(社長:押味至一)は、建設機械の自動化技術による次世代の建設生産システム「A4CSEL」(クワッドアクセル)*を2015年に開発し、振動ローラとブルドーザの自動施工を実現しましたが、このほど大分川ダム堤体盛立工事に自動ダンプトラックの導入試験を行い、ダンプトラックの「運搬」と「荷下ろし作業」の自動化に初めて成功しました。
鹿島が目指す次世代建設生産システムは、従来のリモコン等による建設機械の遠隔操作とは異なり、人間は予め複数の建設機械に対しタブレット端末で指示を出すだけで、あとは機械が自動的・自律的に運転・施工を行うものです。建設業の課題である将来の熟練技能者の減少や作業員不足への対応、土木工事全般の生産性並びに安全性の向上に大きく貢献できるシステムとして、今後、適用機種を増やしながら、建設工事の更なる自動化を進めます。
*Automated/ Autonomous/ Advanced/ Accelerated Construction system for Safety, Efficiency, and Liability
開発の背景
建設業では、技能者の高齢化や若手就業者の減少等による熟練技能者の減少が喫緊の課題となっています。また建設機械と作業員の混在作業が多く、労働安全性の向上も大きな課題です。
これらの課題に対し鹿島では、一人で複数の建設機械をコントロールし、機械が得意である繰返し作業は自動化することをコンセプトとした、次世代の建設生産システムの実現を目指して研究開発を進めてきました。2015年には、独自開発の自動振動ローラとコマツ(社長:大橋徹二)との共同開発の自動ブルドーザによる施工を福岡県五ケ山ダム堤体工事のRCDコンクリートの施工に初適用しました。この次世代の建設生産システムを「A4CSEL」と名づけ、研究開発を継続しています。
大分川ダムでの自動化重機適用状況
(1)自動ダンプトラックと自動ブルドーザの連動作業
今回新たに開発した自動ダンプトラックは、55t積級の汎用ダンプトラック(コマツ製)に、GPS機器や制御PC、自動化機器等を搭載して、予め指示された位置までの運搬や指定位置でのダンプアップ(荷下ろし作業)を自動で行うものです。
大分川ダムの堤体コア材盛立部において、自動ダンプトラックと自動ブルドーザを連動させ、運搬/荷下ろし/まき出し/整形という一連の作業の自動化の導入試験を行いました。コア材を積載した自動ダンプトラックが指示された位置まで自走し、コア材をダンプアップします。自動ブルドーザは自動ダンプトラックからの退出信号を受信すると、自動的にまき出しと整形作業を開始します。この作業を繰り返し行うものです。
(2)自動振動ローラによるコア材の転圧作業
自動ダンプトラックと自動ブルドーザによるコア材のまき出しと整形作業の後、同じく堤体コア盛立施工部にて、自動振動ローラによる転圧作業を行います。ダム堤体の転圧範囲の形状は、埋設計器などがあり単純な矩形ではありませんが、新たに開発した手法により、変形形状にも柔軟に対応しながら、複数台の振動ローラが同時並行して転圧作業を行うことが可能となりました。
今後の展開
今回、振動ローラの転圧作業とブルドーザのまき出し作業に加え、盛立部におけるダンプトラックの運搬/荷下ろし作業の自動化に成功したことにより、ダム工事における建設機械自動化システムの一連の流れを確認しました。今後は油圧ショベルの自動化にも取り組む予定で、適用機種を増やしつつ、造成工事やダム工事の自動化システムを完成させる方針です。
鹿島ではこれまでの実績やノウハウをもとに、これまでの常識を覆す建設工事の自動化について今後も研究開発を進め、施工の生産性向上、安全性向上に努めます。
工事概要
工事名 | : 大分川ダム建設(一期、二期)工事 |
工事場所 | : 大分県大分市大字下原地先 |
発注者 | : 国土交通省九州地方整備局 |
施工者 | : 鹿島・竹中土木・三井住友特定建設工事共同企業体 |
工期 | : 2013年9月~2019年3月 |
工事諸元 | : ロックフィルダム、堤高:91.6m、堤頂長:496.2m、堤体積378万m3 |
※参考
プレスリリース:建設機械の自動化による次世代の建設生産システムを開発 (2015年5月14日)
鹿島の土木技術 ICT 「A4CSEL 建設機械の自動化による次世代の建設生産システム」 (動画あり)
プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。