ホーム > 企業情報 > プレスリリース > トンネル覆工用高流動コンクリートを唐丹第3トンネルに初適用

プレスリリース

[2017/10/02]

586KB

トンネル覆工用高流動コンクリートを唐丹第3トンネルに初適用

覆工コンクリートの打込み作業の省人化と品質向上を確認

 鹿島(社長:押味至一)は、トンネル覆工に最適な高流動コンクリートを開発し、岩手県釜石市で施工中の「国道45号 唐丹第3トンネル工事」に初めて適用し、良好な成果を得ました。
 高い自己充填性を有する高流動コンクリートは、締固め作業が不要のため、覆工コンクリートの打込み作業の省人化はもちろんのこと、締固め不足に起因する品質低下の懸念を解消できます。
 今回開発したトンネル覆工用高流動コンクリートの適用により、生産性と品質の向上を実現しました。

従来の覆工用コンクリート: 点検窓から打設厚30cmにバイブレータで締め固めている

従来の覆工用コンクリート: 点検窓から打設厚30cmにバイブレータで締め固めている

覆工用高流動コンクリート: 締固め作業が不要である

覆工用高流動コンクリート: 締固め作業が不要である

開発の背景

 通常、トンネル覆工コンクリートの施工では、スランプ15cm程度のコンクリ-トを、移動式型枠(セントル)内の30cm程度の狭小な空間に打込み、バイブレータを用いて、人力による締固め作業が行われています。その場合、特に天端部については作業が難しく、締固めが不十分になることで、覆工背面での空隙の発生やひび割れといった、初期欠陥が発生する懸念がありました。
 鹿島は、増粘成分一液型の高性能AE減水剤を用い、一般的な生コン工場で製造できる覆工用中流動コンクリート(スランプフロー350~500mm)を2011年に開発、実用化しています。高い材料分離抵抗性と充填性を有し、軽微な締固め作業で緻密なコンクリートができます。しかし、打込み作業のさらなる省力化、省人化を目指して、これまでと同等の品質を確保しながら一切の締固め作業を必要とせず、かつ低コストの覆工用高流動コンクリートの開発に取り組みました。

トンネル覆工用高流動コンクリート

 今回開発した高流動コンクリートは、以下のようなトンネル覆工コンクリートの施工上の特徴を踏まえ、スランプフローを一般的な高流動コンクリートよりも小さい500~600mmに設定しています。

  • 無筋もしくは単鉄筋程度の構造で流動しやすく、高流動コンクリートを適用する対象としては、比較的充填が容易である
  • セントルへの負荷を考慮して、型枠に作用する側圧を低減する必要がある

 本コンクリートは、土木学会「高流動コンクリートの配合設計・施工指針【2012年版】」に示される、自己充填性「ランク3」に該当します。
 また、コンクリートの収縮ひび割れの発生リスクを低減すべく単位セメント量を350kg/m3以下とする一方、流動性を確保するため増粘成分一液型高性能AE減水剤を用いていますが、その添加量を最適化し、適切なコンクリート性能および配合バランスを見出しました。その結果、従来の高流動コンクリートの課題であったコストは中流動コンクリートと同程度となり、初期強度発現の遅延についても最小限に止めることができました。さらに、鹿島のトンネル覆工コンクリート養生技術であるTAF・TrAF工法と組み合わせれば、品質向上効果を最大限発揮できます。

覆工用高流動コンクリートのスランプフロー

覆工用高流動コンクリートのスランプフロー


覆工用高流動コンクリートの位置づけ

覆工用高流動コンクリートの位置づけ

※指針の定義:高流動コンクリートの自己充填性のレベルはランク2が標準、ランク3は配筋量の少ないまたは無筋コンクリートが対象

トンネル覆工用高流動コンクリート

 今回開発したトンネル覆工用高流動コンクリートを、岩手県釜石市で施工中の「国道45号 唐丹第3トンネル工事」に適用しました。
 コンクリートの打込みにおいては、良好な施工性と充填性が確認できました。硬化後の覆工コンクリート表面は、天端部の流動跡が非常に少なく、顕著な表面気泡等もない仕上がりとなりました。また自己充填型であるため、締固め不足に起因するひび割れや欠けなどが抑制され、施工目地部に発生が懸念される「うき・はく離・はく落」についても解消されました。
 なお、コンクリートの表層品質の評価指標となる透気試験の結果も、覆工用中流動コンクリートと同じ「優」のランクになることを確認しています。

天端の覆工コンクリート比較

天端の覆工コンクリート比較

コンクリートの表層品質評価(透気係数)

コンクリートの表層品質評価(透気係数)

今後の展開

 建設業が抱える将来の担い手不足という課題解決のために、コンクリート打込み作業の自動化・無人化技術へのニーズは、今後さらに高まるものと考えられます。トンネル覆工コンクリートの打込み作業を、品質を確保しながら自動化していくためには、今回開発した低コストで締固め不要な高流動コンクリートが不可欠です。鹿島はこれからも、山岳トンネル工事における自動化・無人化技術の開発を進め、さらなる生産性向上を推進します。

工事概要

工事名  : 国道45号 唐丹第3トンネル工事
発注者  : 国土交通省 東北地方整備局
工事場所  : 岩手県釜石市唐丹町~釜石市甲子町
工期  : 2014年3月~2018年3月
施工者  : 鹿島建設株式会社
工事諸元  : トンネル延長2,998m 設計掘削断面積109.0~126.3m2 内空断面積94.9m2
   釜石南IC 盛土量130万m3

※参考
トリプルアーチフォーム(TrAF)工法® 、唐丹第3トンネルに初適用! 別ウィンドウが開きます   (2017年8月3日プレスリリース)

プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

ホーム > 企業情報 > プレスリリース > トンネル覆工用高流動コンクリートを唐丹第3トンネルに初適用

ページの先頭へ

ページの先頭へ