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プレスリリース

[2018/12/05]

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伸縮可能な鉄筋かごを用いた「ストランド場所打ち杭工法」を初適用

~低空頭条件での場所打ち杭工事の生産性向上を実現~

 鹿島(社長:押味至一)は、低空頭条件での場所打ち杭工事に、伸縮可能な鉄筋かごを用いた「ストランド場所打ち杭工法」を初めて適用しました。本工法で用いる鉄筋かごは、縦軸方向の鋼材に通常の鉄筋に代えて柔軟性をもつストランド(ワイヤー)を使用し、特殊な金具で帯鉄筋と結合することによって「折りたたみ」が可能となっています。工場で組み立てて縮小した鉄筋かごを現場で伸展することで、既存施設内の改修工事など、上部に空間がない場所における鉄筋かごの運搬や建て込みを容易にし、生産性を向上する画期的な工法です。
 今回、工事への初適用にあたっては、東日本旅客鉄道株式会社(社長:深澤祐二、以下JR東日本)のご指導・ご協力のもと施工しました。なお本工法は、鉄道ACT研究会のPR工法に登録されています。

※「現場組立て方式」と「現場伸展方式」の2タイプがあり、今回初適用したのは現場伸展方式

伸縮可能な鉄筋かごを用いる「ストランド場所打ち杭工法」

伸縮可能な鉄筋かごを用いる「ストランド場所打ち杭工法」

開発の背景

 近年、都市再生計画に伴う鉄道構造物の複々線化、連続立体化、駅改良といった工事において、低空頭や狭あいな場所における場所打ち杭の施工が増加しています。従来このような場所では、杭長分の鉄筋かごの運搬や建て込みが不可能であるため、短く分割した鉄筋かごを機械式継手などで接続しながら施工しています。しかしながら接続作業にはコストと時間がかかるため、この課題解決が強く望まれており、2005年に鹿島が開発した「ストランド場所打ち杭工法」の作業性をさらに向上させる改良に着手しました。

工法の概要

 本工法は、伸縮可能な鉄筋かごを用いる他に類を見ない工法です。鉄筋かごはあらかじめ工場で組み立て、縮小した状態で杭孔まで搬入、設置します。結束を解除して吊り具を緩めることで、鉄筋かごの自重により孔内に伸展し、建て込みを完了します。鉄筋かごの縮小時の長さは伸展時に比べ約1/4~1/6程度、またストランドが鉄筋に比べて軽量であることなどから総重量も1/2~2/3程度となり、鉄筋かごの運搬、建て込み作業の労力が大きく軽減されます。
 本工法の改良にあたっては、縦軸方向のストランドと帯鉄筋との結合部に90°回転可能な特殊な結合部回転金具を新たに開発しました。この金具を組み込むことで、縮小している際は帯鉄筋に沿ってらせん状に巻かれているストランドが、伸展する際には帯鉄筋と直行するようにまっすぐに伸びていきます。この結合部回転金具の採用により、従来に比べて鉄筋かごの縮小・伸展がスムーズになるなど、工事の適用に向けた大きな効果がありました。

鉄筋かごの伸縮実験

鉄筋かごの伸縮実験

本工法の施工ステップ(出典:鉄道ACT研究会)

本工法の施工ステップ(出典:鉄道ACT研究会)

工事への初適用

 本工法を、JR渋谷駅改良(北)工事に初めて適用しました。空頭3.5mの狭あいな場所に、杭径1.2m、杭長7.9mの仮設杭を施工しましたが、従来の工法では1本あたり5日間程度かかると想定された鉄筋かご建て込み作業をわずか5時間で完了、生産性が大幅に向上しました。また、鉄筋かごは1.25mと約1/6の長さに縮小した状態で搬入され、台車に載せて駅構内を容易に運搬できました。

駅構内の運搬作業(撮影協力:JR東日本)

駅構内の運搬作業(撮影協力:JR東日本)

杭孔内に伸展を完了

杭孔内に伸展を完了

今後の展開

 鹿島は本工法を今後も積極的に適用し、施工のさらなる効率化や適用対象の拡大に向けた検討をすすめるとともに、様々な場所打ち杭工事の生産性向上に向けた技術開発を続けてまいります。

工事概要

工事名  : JR渋谷駅改良(北)工事
発注者  : 東日本旅客鉄道株式会社
工事場所  : 東京都渋谷区
工期  : 2015年8月~2028年(予定)
施工者  : 鹿島・清水建設共同企業体


(参考)
動画でみる鹿島の土木技術「ストランド場所打ち杭工法」 別ウィンドウが開きます

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その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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