[2019/02/26]
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2種の耐火被覆材を効率よく活用したハイブリッド耐火被覆工法を開発
「鹿島スマート生産ビジョン」で目指す耐火被覆ロボットの実用化に大きく前進
鹿島(社長:押味至一)は、鹿島フィット株式会社(東京都港区、社長:永野隆彦)、株式会社万象ホールディングス(福島県双葉郡富岡町、社長:吉川孝則)と共同で、鉄骨造建物の耐火被覆工事に「巻付け」と「吹付け」の2通りの工法を併用するハイブリッド耐火被覆工法を開発、このたび1時間から3時間耐火までの国土交通大臣認定を取得するとともに、都内で施工中の建築工事において、梁の耐火被覆作業に試適用しました。「鹿島スマート生産ビジョン」で目指す耐火被覆ロボットの実用化に向け、本工法のさらなる実証をすすめます。
開発の背景
鉄骨造建物では、火災時の崩壊を防止するために鉄骨表面に耐火被覆処理を施す必要があり、ロックウールをセメントスラリーと混合した被覆材を鉄骨に吹付ける工法が一般的です。しかし、吹付作業時には被覆材による粉じんが発生するため、防じんマスクなどの保護具を装着しての作業は負担が大きく、また建設就業者の高齢化が進む中で、今後耐火被覆作業における人手不足が予想されています。
先般策定した「鹿島スマート生産ビジョン」では、「作業の半分はロボットと」をコアコンセプトの一つに位置づけ、繰り返しの作業や苦渋を伴う作業、自動化により効率や品質にメリットが得られる作業などを対象に、自動化・ロボット化を推進しています。耐火被覆作業は人にとって苦渋を伴う作業と位置付け、将来のロボット化に向けた取り組みを進めています。
ハイブリッド耐火被覆工法の特長
本工法の特長は以下のとおりです。
- 耐火被覆の吹付けで難度が高く、脱落の恐れがある下フランジには、吹付けではなく高耐熱ロックウールフェルトを巻き付け、ウェブと上フランジには高耐熱粒状綿※という新たな被覆材を吹付ける、2通りの工法を組み合わせて用います。
- 従来の被覆材では、被覆部に必要な密度を確保するため、吹付けた後に鏝(こて)を用いた押さえ作業が必要ですが、高耐熱粒状綿は通常のロックウールより密度が高いため、鏝押さえ作業が不要になります。また被覆の厚さも薄く出来るため、作業の省力化や材料コストの低減が図れます。
- 下フランジをロックウールフェルト巻にすることにより、下フランジの吹付け作業で特に多く発生する被覆材の飛散がなくなり、作業環境が改善されます。
- 本工法の採用により、下フランジは人手による巻付け、ウェブと上フランジはロボットによる吹付けといった作業分担が可能となり、耐火被覆吹付ロボットの実用化に向け大きく前進します。
国土交通大臣認定の取得と現場での試適用
本工法は、2018年9月に1時間耐火、2018年11月に2時間耐火、さらに2019年2月には3時間耐火の国土交通大臣認定を取得するとともに、都内で施工中の建築工事において、10本の梁(H-800×300×16×32、長さ約15m)の耐火被覆作業に本工法を試適用しました。本工法を用いた将来の耐火被覆吹付ロボットの実用化に向け、様々なデータ収集ができました。
今後の展開
このたび開発したハイブリッド耐火被覆工法の現場試適用により、「鹿島スマート生産ビジョン」の実現に向け大きな前進がありました。さらなる生産性向上と作業環境の向上を図るべく、開発した耐火被覆吹付ロボットの実証と改良を進め、人とロボットの協働による耐火被覆作業を目指します。
建築の生産プロセスを変革する 「鹿島スマート生産ビジョン」 を策定
(2018年11月12日プレスリリース)
プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。