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プレスリリース

[2020/03/04]

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超高強度と軽量化を両立したプレキャスト・ワッフル型UFC床版を国内初適用


阪神高速道路株式会社
鹿島建設株式会社

 阪神高速道路株式会社(社長:幸 和範、以下阪神高速道路)と鹿島建設株式会社(社長:押味至一、以下鹿島)は、2011年から共同開発を進めてきたプレキャスト・ワッフル型UFC※1床版(以下ワッフル型UFC床版)を、阪神高速道路1号環状線の信濃橋入口に初適用し、1月29日に供用を開始しました。適用箇所は、同入口のうち国道172号(本町通)を跨ぐ部分に新設した橋長37m、幅員5.75mの合成桁橋です。軽量なワッフル型UFC床版を適用したことで、床版の重量を当初計画していた場所打ちのコンクリート床版から54%削減、主桁構造の簡素化や架設クレーンの小型化を図ることができました。両社は、本工事で得た同床版の設計・製作および施工に関する知見を活かしつつ、技術の更なる向上を図り、今後の新設工事やリニューアル工事などへの適用を目指します。

※1 Ultra-high strength Fiber reinforced Concrete
   水結合材比が15%程度、圧縮強度が150N/mm2以上で極めて緻密な鋼繊維補強コンクリート

ワッフル型UFC床版を使用した阪神高速道路1号環状線 信濃橋入口

ワッフル型UFC床版を使用した阪神高速道路1号環状線 信濃橋入口

ワッフル型UFC床版開発の経緯

 都市部で高速道路橋を計画する際には、橋脚の位置や基礎の規模が制約されることや、非常に短い期間での施工を求められることが多々あります。このような場合、一般的にはコンクリート床版に比べて軽量な鋼床版が採用されますが、鋼床版には様々な要因による金属疲労亀裂やそれに伴う舗装の損傷などのリスクがあります。
 そこで、阪神高速道路と鹿島は、鋼床版に替わる軽さと高い耐疲労性を兼ね備えたコンクリート系の道路橋床版として、ワッフル型UFC床版の開発に取り組んできました。ここで用いているUFCは、鹿島が2006年に開発した「サクセム®」であり、これまでに羽田空港D滑走路の桟橋部などに適用した実績があります。阪神高速道路と鹿島が共同開発したUFC床版は、この技術を応用したものです。両社は、床版のリニューアル工事に用いる平板型UFC床版も共同開発しており、2018年に阪神高速道路15号堺線の玉出入路リニューアル工事に適用しています。

ワッフル型UFC床版の特長

 UFCには、通常のコンクリートの約5倍という高い圧縮強度(180N/mm2)を活かして、より大きなプレストレス(圧縮力)が導入できます。さらに、UFCは鋼繊維の補強効果により高い引張強度が得られるため、鉄筋が不要となります。その結果、床版の極限までのスリム化が可能となり、軽量化を実現しました。
 ワッフル型UFC床版は、床版の下面にワッフルのような多数のくぼみを設けることでさらなる軽量化を図るとともに、2方向にPC鋼材を配置し、プレテンション方式で2方向にプレストレスを導入しています。

信濃橋入路橋のパース

信濃橋入路橋のパース


ワッフル型UFC床版

ワッフル型UFC床版

 通常のプレキャスト工場の緊張設備ではPC鋼材を1方向にしか緊張できないため、今回、新たに2方向に緊張できる架台を構築しました。併せて、床版下面をワッフル型の形状とするための型枠を柔軟性のあるウレタン製として、UFCの収縮による製作時の床版のひび割れを防止しました。

2方向プレテンション床版用製作架台

2方向プレテンション床版用製作架台


ワッフル型UFC床版用の型枠

ワッフル型UFC床版用の型枠

ワッフル型UFC床版の効果

 今回適用した合成桁橋においては、当初設計の場所打ちコンクリート床版をワッフル型UFC床版に変更することで床版の重量が約54%削減でき、主桁を3本から2本に減らすことが可能になりました。

コンクリート床版とワッフル型UFC床版の断面比較図


 また、同じ橋に一般的なプレキャストPC床版を採用した場合、床版の架設には120tのラフタークレーンが必要ですが、軽量なワッフル型UFC床版を採用したことで60tラフタークレーンでの架設が可能となりました。これにより既存道路への影響を、全面通行止めから半分の車線規制にとどめることができました。

60tクレーンによるワッフル型UFC床版の架設

60tクレーンによるワッフル型UFC床版の架設

今後の展開

 超高強度で高い耐久性を有し、なおかつ鋼床版に近い超軽量化を実現したワッフル型UFC床版は、今後の橋梁工事など新たな都市高速道路の構築に大きく寄与することが期待されます。リニューアル工事の工期短縮が実現できる平板型と併せ、普及展開を図ってまいります。

工事概要

工事名  : UFC床版の構造合理化及び施工に関する共同研究
工事場所  : 大阪府大阪市西区西本町2丁目付近
発注者  : 阪神高速道路株式会社 建設事業本部
施工者  : 鹿島建設株式会社
工期  : 2017年12月~2020年3月


(参考)
超高強度繊維補強コンクリート(UFC)を用いた軽量・高耐久な道路橋床版を開発 別ウィンドウが開きます
(2013年8月30日プレスリリース)
超高強度繊維補強コンクリート(UFC)道路橋床版が土木学会技術評価証を取得 別ウィンドウが開きます
(2015年10月5日プレスリリース)
国内初!「超高強度繊維補強コンクリート(UFC)道路橋床版」を適用 別ウィンドウが開きます
(2018年11月26日プレスリリース)

プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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