[2020/09/07]
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超大断面シールドトンネル工事における
内部構築部材のプレキャスト化による生産性向上
~東京外かく環状道路 本線トンネル(南行)東名北工事で実現~
鹿島(社長:押味至一)は、シールド工事の全自動施工にむけた技術開発に取り組んでおり、これまでに「シールドマシン・設備の自動運転」技術として、KaCIM’SとKSJSをすでに開発・適用しています。
今回は、「プレキャスト部材の搬送・組立自動化」について、東京都内で施工中の外径約16mという日本最大級の大断面シールドトンネル工事で、セグメントによる一次覆工完了後にトンネル内部に構築する構造物の部材をプレキャスト化するとともに、これらを上下に分離して効率的かつ迅速に搬送することで、シールド掘進と内部構築の同時施工を可能としました。これにより作業人員の大幅な削減と施工効率を最大限高めることができました。
今後、自動化が進むシールドトンネル工事において、プレキャスト部材適用に加えて内部構築施工の自動化も推進し、更なる生産性の向上を図ります。
シールドトンネル工事における内部構築部材の施工に関する課題
シールドトンネル工事では、トンネルの壁面となる一次覆工をセグメントで構築した後に、用途に応じて道路などの内部構築部材を施工します。従来から一次覆工のセグメントはプレキャスト化されていましたが、内部構築部材は一般的に場所打ちコンクリートで施工していました。そのため、鉄筋・型枠組立、コンクリート打設等の煩雑な作業を坑内で行うことになり、近年長距離化するシールドトンネル工事においては、工事期間の長期化や施工管理に多大な労力を要することが課題でした。また、セグメント外径の大きい超大断面のシールドトンネルでは、内部構築の部材数量も必然的に多くなり、坑内での部材の搬送が課題でした。
シールド掘進と内部構築の同時施工概要
部構築部材であるインバート・中壁・床版をプレキャスト化することで、トンネル坑内での躯体構築作業を最小限としました。また、これらの部材を施工の進捗に合わせて床版の上下で分離搬送することにより、シールド掘進と内部構築の同時施工が可能となり、生産性の大幅な向上を実現しました。
本工法の特徴
- トンネル下部に設置するインバートのプレキャスト化 当社が開発したインバートのプレキャスト化技術の適用と、セグメントおよびインバート部材をトンネル切羽部へ同時に搬送することで、セグメント組立とインバート設置の同時施工を実現しました。
- トンネル側壁の構築に「美(うつく)シール®工法」を採用 当社が開発した同工法を採用することで、養生日数を確保しつつ早期の型枠脱型が可能となります。これにより、型枠台車を短いサイクルで次の型枠設置に使用できるようになり、工程の短縮を実現しました。
- 構築を完了した床版の上下空間を活用した部材搬送 部材の搬送に際し、床版上部では専用搬送車両にて中壁および床版を、下部ではバッテリーロコにてセグメントおよびインバート部材を、それぞれ分離搬送することで作業の効率化を実現しました。
- 専用据付台車の使用 プレキャスト化した中壁および床版を専用据付台車で設置し、据付作業の省力化を実現しました。
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今後の展開
今後は、シールドトンネル内部に構築するすべての部材のプレキャスト化ならびにプレキャスト部材の自動設置技術の開発を進めていきます。
鹿島は引き続き、安全で高品質なシールド工事の全自動施工実現に向け、技術開発を進めていきます。
工事概要
工事名 | : 東京外かく環状道路 本線トンネル(南行)東名北工事 |
工事場所 | : 東京都世田谷区大蔵~東京都武蔵野市吉祥寺南町 |
発注者 | : 東日本高速道路株式会社関東支社 |
施工者 | : 鹿島・前田・三井住友・鉄建・西武JV |
工事諸元 | : 掘進延長 9,155m、セグメント外径 φ15,800mm、掘削外径 φ16,100mm |
工期 | : 2014年4月~2021年3月 |
(参考)
コンクリート表層品質向上のための「美(うつく)シール工法」を開発
(2014年4月24日プレスリリース)
シールド工事の掘進管理を“見える化”するKaCIM’Sを開発・適用
(2019年10月30日プレスリリース)
シールド工事の掘進管理全般をサポートする「KSJS」を開発・適用
(2020年1月15日プレスリリース)
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その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。