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プレスリリース

[2020/12/23]

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超高性能繊維補強セメント系複合材料(UHPFRC)を用いた
道路橋床版のリニューアル工法を開発

コンクリート床版と鋼床版、双方に効果的な補修・補強を実現

 鹿島(社長:押味至一)は、中日本高速道路株式会社(社長:宮池克人、以下、NEXCO中日本)と共同で、超高性能繊維補強セメント系複合材料(UHPFRC※1)を用い、コンクリート床版と鋼床版の2種類に適用可能な道路橋床版のリニューアル工法を開発しました。
 本工法は、鋼繊維を多量に混入したUHPFRCを現場で製造・打設して補強・補修を行い、薄層でありながら、高耐久な床版を構築するものです。UHPFRCは超高強度であるため、コンクリート床版・鋼床版のどちらのリニューアルにおいても、床版増厚の量を最小限に抑えることができます。そのため、道路橋床版自体の重量を減らすことができ、橋梁下部工の補強が不要となります。

※1 Ultra High Performance Fiber Reinforced cement-based Composites
水結合材比が15%程度で極めて緻密なセメント系材料を繊維で補強したもの(世界的な名称)

コンクリート床版にUHPFRCを打設している状況(実証実験)

コンクリート床版にUHPFRCを打設している状況(実証実験)

開発の経緯

 NEXCO中日本が管理する高速道路約2,000kmのうち、供用から30年以上を経過した道路は約6割を占め、近年、大型車の増加による過荷重の繰返し疲労や凍結防止剤による塩害で老朽化が進んでいます。
 現在、コンクリート床版橋のリニューアルは、床版上面のコンクリートの劣化部を除去後、SFRC※2を打ち込み、耐荷力を高めるために床版厚を大きくするのが一般的です。また、鋼床版橋の場合は、アスファルト舗装の一部または全層をSFRCに打ち替え、疲労耐久性を確保する対策などが講じられています。
 一方で、これらの対策は床版の重量が大きくなるため、橋梁下部工の追加補強や床版増厚に伴う路面高の追加調整工事が発生します。また、近年は補修部分の再劣化といった課題が報告されています。
 そこで、海外では既に実用化されている、UHPFRCによる道路橋床版のリニューアル工法に着目し、2016年から新たなリニューアル工法の共同開発に着手しました。

※2 Steel Fiber Reinforced Concrete
一般的な強度レベルのコンクリートを鋼繊維で補強したもの

本工法の概要

 本工法は、コンクリート床版橋に対しては、床版上面のコンクリートの劣化部を除去した後に上面からUHPFRCを打ち込み、床版の厚さを変えないでリニューアルし、鋼床版橋に対しては、アスファルト舗装の一部(基層)をUHPFRCに打ち替えてリニューアルする工法です。
 施工現場近くのプラントや現場に設置した仮設プラントでUHPFRCを製造し、現場打ちで工事を進めます。通常UHPFRCは高い流動性を有し、セルフレベリング性も高いですが、現場で流動性を調整できる鹿島独自の技術により、道路勾配最大12%でも成形することができます。また、増厚せずに劣化部または舗装と打ち替えた場合は、既存路面との高さ調整も不要です。超高強度かつ耐久性に優れたUHPFRCの特性により、SFRCよりも打込み厚さを薄くしながらも耐荷力や疲労耐久性を効率的に高められ、凍結防止剤による塩分や水の侵入からも床版を守ります。さらに、補修・補強前後の橋梁上部工は重量がほとんど変わらないことから、橋梁下部工を補強するなどの追加工事の省略も可能です。

コンクリート床版と鋼床版のリニューアル前とリニューアル後の比較図

今後の展開

 超高強度かつ耐久性に優れたUHPFRCを用いた現場打ち施工による補修・補強技術は、高速道路のリニューアルに大きく寄与することが期待されます。
 鹿島は今後も、実施工を想定した施工細目の検討や施工手順のマニュアル整備を進め、実適用に向けた準備を行ってまいります。

(参考)
動画でみる鹿島の土木技術「リニューアル」 別ウィンドウが開きます

プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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