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プレスリリース

[2021/05/19]

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国内初!UFC道路橋床版を高速道路本線の床版取替工事に適用

床版架設工程を半減し、通行止め期間を大幅に短縮

阪神高速道路株式会社
鹿島建設株式会社

 阪神高速道路株式会社(大阪市北区、代表取締役社長:吉田光市、以下阪神高速道路)と鹿島建設株式会社(東京都港区、社長:押味至一、以下鹿島)は、「UFC※1道路橋床版」を、阪神高速12号守口線本線の床版取替工事(以下本工事)に適用しました。UFC道路橋床版を適用した高速道路本線の床版取替工事は国内で初めてとなります。更に、2018年の阪神高速15号堺線玉出入口の床版取替工事と比べ床版架設の工程を半減し、通行止め期間を大幅に短縮しました。両社は、本工事で得られた高速道路本線における床版取替工事の知見を活かし、高度成長期に建設され老朽化が進行している床版の大規模なリニューアル工事に向けた検討を進め、技術の更なる向上を図ります。

※1 超高強度繊維補強コンクリート(Ultra-high strength Fiber reinforced Concrete)
   蒸気養生を行い、水結合材比が15%程度、圧縮強度が150N/mm2以上で極めて緻密な鋼繊維補強コンクリート

UFC道路橋床版を用いてリニューアルした阪神高速12号守口線本線

UFC道路橋床版を用いてリニューアルした阪神高速12号守口線本線

UFC道路橋床版開発の経緯

 高速道路の床版取替工事において、高度成長期に建設された鉄筋コンクリート床版を現行の設計基準で設計された新しい床版に取替える際、床版が厚く重い構造となるため、床版を支える鋼桁、橋脚、基礎構造等に補強が必要となる場合があります。この課題を解決するため、阪神高速道路と鹿島は、2011年からUFCを用いた軽量かつ耐久性の高いUFC道路橋床版の開発に取り組んできました。
 2018年には、玉出入口においてUFC道路橋床版を適用した床版取替工事を行い施工方法の課題を抽出、幅員が広く通行止めの影響が大きい高速道路本線への適用を目指して、更なる工程短縮に向けた検討を進めてきました。

UFC道路橋床版を適用した高速道路本線の床版取替工事の工程短縮実現に向けた取組み

 本工事では以下の技術を適用し、工程の短縮を実現しました。

◆ 旋回可能な専用架設機による作業の効率化
 本工事で採用した専用架設機はその場で旋回できるため、本線上に設置した専用架設機でトラック荷台のUFC道路橋床版を直接受け取り旋回、所定の位置まで運搬して架設することでUFC道路橋床版の架設作業を効率化し、工程を短縮しました。

UFC道路橋床版の架設作業の手順


◆ 貫通孔を半減できるスタッド構造による作業の効率化および耐久性向上
 UFC道路橋床版と鋼桁は、ずれ止めスタッドを鋼桁に設置し、UFC道路橋床版に設けた貫通孔から間詰材を充填することで一体化します。一般的には床版架設時の床版とスタッドの干渉を避けるため、床版架設後に床版の貫通孔からずれ止めスタッドを設置する工法が採用されます。本工事では、一般的なものより短いずれ止めスタッドを予めUFC床版と鋼桁に設置し、間詰材として用いた高強度なUHPFRC※2を介して一体化することで、貫通孔を半分程度に削減できるずれ止め構造を採用しました。本構造により、作業の効率化による工程の短縮ならびに床版への雨水等の浸入低減に伴う耐久性の向上を実現しました。

UFC床版と鋼桁のずれ止めの模式図

UFC床版と鋼桁のずれ止めの模式図

ずれ止めスタッドの設置(玉出入口)

ずれ止めスタッドの設置(玉出入口)

貫通孔の数を減らしたUFC道路橋床版

貫通孔の数を減らしたUFC道路橋床版

※2 Ultra High Performance Fiber Reinforced cement-based Composites
   場所打ちで施工し、水結合材比が15%程度、圧縮強度が120N/mm2以上で極めて緻密な繊維補強セメント系材料

◆ 橋軸方向の目地にUHPFRCを適用し目地幅を低減
 本工事では、幅員の広さに対応するため中央分離帯の位置で床版を2分割しました。これに対し、床版同士の接合部となる橋軸方向の目地に高強度のUHPFRCを適用することで、通常のコンクリートよりも鉄筋継手の長さを短く、目地幅を4割程度低減することができ、工程の短縮を実現しました。更に、目地幅を小さくすることで床版幅を大きくできるため、幅員方向に分割して床版取替工事を行う際、車両が通行できる幅をより広く確保できるというメリットもあります。


橋軸方向の目地の継手構造(UHPFRC充填前)"

橋軸方向の目地の継手構造(UHPFRC充填前)

今後の展開

 通行止めの影響が大きい高速道路本線の床版取替工事では、通行止め期間の短縮や車両を通行させながら床版を取替える幅員方向分割施工が求められます。今後、本工事で得られた成果を老朽化が進行している床版の大規模なリニューアル工事へ適用するための検討を進め、技術の更なる向上を図ります。

工事概要

工事名  : コンクリート床版大規模更新工事(2019-2-守)
工事場所  : 大阪市北区南森町2丁目付近
発注者  : 阪神高速道路株式会社 管理本部
施工者  : 鹿島建設株式会社
工期  : 2020年3月~2021年4月


(参考)
超高強度繊維補強コンクリート(UFC)を用いた軽量・高耐久な道路橋床版を開発 別ウィンドウが開きます
(2013年8月30日プレスリリース)
超高強度繊維補強コンクリート(UFC)道路橋床版が土木学会技術評価証を取得 別ウィンドウが開きます
(2015年10月5日プレスリリース)
国内初!「超高強度繊維補強コンクリート(UFC)道路橋床版」を適用 別ウィンドウが開きます
(2018年11月26日プレスリリース)

プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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