[2022/09/13]
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AIでコンクリート構造物の表層品質を評価するアプリを開発
データに基づいてコンクリート構造物の品質および生産性の向上を実現
鹿島(社長:天野裕正)は、コンクリート打設後の表面状態の検査および品質管理を支援するツールとして、コンクリート構造物の表層品質をAIが評価するアプリを開発しました。
当社は、コンクリート構造物の品質を確保・向上するためのシステム「コンクリート・アイ®」の構築を進めています。「コンクリート・アイ」は、生コンクリートの現場受入れ時の性質や状態、コンクリート打継面の処理状態、打設後の表層の品質など、各段階における「コンクリートの状態」をリアルタイムで「見える化・データ化」し、それを分析することで、コンクリート品質の改善活動(PDCAサイクル)に反映するシステムです。
このたび開発したアプリは、コンクリート・アイを構成する要素技術のうち、コンクリート打設後の表面状態の検査および品質管理を支援するツールです。本アプリは、コンクリート構造物の表面の写真からAIが品質を評価する機能を有し、誰でも一定の精度でコンクリートの品質を評価することができます。また、評価結果はリアルタイムでクラウドに集積されるため、施工条件や環境条件などのデータと連携した表層品質向上のPDCAサイクルを回すことができます。これにより、コンクリート構造物の品質の確保と向上に大きく貢献します。
開発の背景
橋梁やトンネルなどのコンクリート構造物を構築する大部分の工事では、長期にわたり大量のコンクリートを打設します。これらの現場では、コンクリート打設のたびに表層品質向上のPDCAサイクルを回し、改善を図っています。しかしながら、打設後のコンクリートの品質を評価・分析するためには、硬化前のコンクリートの性質や状態、環境温度などの入力や書類の保管に多くの労力が必要で、データ連携による施工へのフィードバックが困難でした。
評価の手順
本アプリを用いることで、現場で・誰でも・簡単にコンクリート構造物の表層品質を評価できます。評価の手順は、以下のとおりです。
(2) コンクリート表層品質を6つの項目(打重ね線、表面の色つや、表面気泡、沈みひび割れ、ノロ漏れ、砂すじ)に分けて、1点から4点まで0.5点刻みでタブレットに評価を入力。評価は、点数入力の際に表示されるグレード分けされたサンプル画像と撮影した写真を比較できるため、容易に判定可能。
(4) 評価結果はクラウド上に自働保存されるため、同一現場のコンクリート品質の評価推移などを即座に確認可能。また、帳票の出力もワンタッチで可能。
(5) コンクリートの受入れ時のフレッシュ性状データや環境データなどを、コンクリート・アイで自働連携。
将来的には、自働連携したデータをAIが分析し、次のコンクリート打設における改善や工夫を技術者に提案できる機能を搭載する予定です。
現場への適用
本アプリを、水処理施設の建設現場に適用しました。本アプリでコンクリートの表層品質を評価し、そのデータに基づいた分析から、打込み順序と層厚の変更により打重ね時間間隔を短くするなど表層品質向上のPDCAサイクルを回しました。その結果、アプリ適用前と比較して打重ね線の項目が高い評価となり、品質が大幅に向上しました。
今後の展開
今後、本アプリをより多くのコンクリート構造物の構築工事に適用することで、全国の現場へ広く展開していきます。また、本アプリを活用してコンクリート構造物のさらなる品質向上を目指すとともに、品質向上に資する各種工夫の蓄積、高品質のコンクリートを施工するための新工法の開発などを、より一層推し進めていく方針です。
コンクリート構造物の表層品質評価手法の開発と品質向上への取組み
(2013年4月23日プレスリリース)
コンクリート構造物の表層品質評価手法の現場適用
(2014年1月30日プレスリリース)
プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。