[2024/03/28]
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成瀬ダムで試験要員を9割削減しつつ、CSG材全量の品質管理を実現!
~材料の粒度分布と含水率から表面水量をリアルタイムで全量算出~
鹿島(社長:天野裕正)は、ダム工事等で使用する材料の表面水量を全量管理するシステム(以下、本システム)を開発し、材料の品質管理業務の省力化を実現しました。本システムは、当社が2021年に開発した「AI画像粒度モニタリング®システム」と近赤外線水分計による含水率の全量管理技術を組み合わせたものです。今般本システムを、当社JVが秋田県で施工を進める国土交通省発注の成瀬ダム堤体打設工事のCSG※1製造に試験導入し、CSG材※2の粒度分布と含水率の変動監視を行いました。その結果、従来法による試験と比較して、同等の測定精度を確保しつつ、試験業務に係る人員を約9割削減でき、なおかつ供給するCSG材全量の品質を間断なく管理できることを確認しました。
これにより、本システムの有効性が示されたことを受け、同ダム工事におけるCSG材の品質管理に本システムが採用されました。
※1 Cemented Sand and Gravel: 現地発生材(石や砂れき)とセメント、水を混合してつくる材料
※2 所定の最大粒径以下で選別された現地発生材(石や砂れき)。コンクリートの骨材に相当
開発の背景
成瀬ダムのような台形CSGダムの建設における材料の品質管理では、供給するCSG材の粒度と含水率を1~2時間に1回の頻度でサンプリング試験し、CSG材が所定の規格内にあることを確認する必要があります。しかし、昼夜に亘ることが多いこれらの業務には相当数の人員と時間を要するため、試験員の負担軽減が課題でした。
そこで鹿島は、材料の品質管理業務の省力化と、材料全量の品質を間断なく管理できるシステムの実現を目指して技術開発を進め、このたび、同ダム工事のCSG製造に本システムを試験導入し、その有効性を確認しました。
なお、本システムの基となった「画像粒度モニタリング®システム」は、2010年に当別ダム(北海道石狩郡)に初導入し、その後も複数のダム工事で使用しています。
本システムによる全量管理の概要
- 材料の粒度分布を全量管理する「AI画像粒度モニタリングシステム」
- 材料の含水率を全量管理する「近赤外線水分計」
成瀬ダム工事では、ベルトコンベア上にカメラを設置して、土粒子の静止画を連続撮影し解析しました。
成瀬ダム工事では、「AI画像粒度モニタリングシステム」と同様、ベルトコンベア上に近赤外線水分計を設置し間断のない測定と含水率の算出を実現しました。
本システムの導入成果
成瀬ダム工事において、3系統のCSG製造設備に「AI画像粒度モニタリングシステム」と近赤外線水分計を設置し、CSG材の粒度分布および含水率の変動監視を実施しました。その結果、品質管理業務に係る人員を約9割削減しつつ、平均300m3 ※3/hで連続供給されるCSG材全量の品質を間断なく管理できることを確認しました。
※3 標準的な小学校の25mプール(長さ25m×幅12m×深さ1.2m)約1杯分に相当
CSGの品質を管理する上で重要な指標の一つが、CSG材の表面水量です。この表面水量は、測定した粒度分布と含水率から算出します。今回、同ダム工事において、本システムによる測定結果から算出されたCSG材の表面水量は、従来法による試験と同等の測定精度を有することを確認しました。
また、近赤外線水分計による含水率の全量管理技術も採用されることが決まり、2024年4月の実運用開始後は「AI画像粒度モニタリングシステム」同様に試験員の負担軽減が見込まれます。
今後の展開
鹿島は今後、本システムを造成工事など、ダム以外の工事にも広く展開していきます。
また、本システムによる測定結果から算出した表面水量を基に、給水量を自動調整するシステムを構築することで、CSG製造の品質管理のさらなる省力化を図り、建設現場の働き方改革をより一層推進していきます。
工事概要
工事名 | : 成瀬ダム堤体打設工事(第2期) |
工事場所 | : 秋田県雄勝郡東成瀬村椿川地内 |
発注者 | : 国土交通省東北地方整備局 |
施工者 | : 鹿島・前田・竹中土木特定建設工事共同企業体 |
工事諸元 | : 台形CSGダム、堤高 114.5m、堤頂長 755m、堤体積 485万m3、貯水量 7,850万m3 |
工期 | : 2023年6月~2026年12月 |
(参考)
プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
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