[2024/12/19]
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CSGの締固め品質管理手法「Geo-DX Compaction™」を成瀬ダムに導入し、試験要員を7割削減
~さらに現場密度の面的管理が可能に~
鹿島(社長:天野裕正)は、CSG※1等の新たな締固め品質管理手法として、地盤の電気抵抗を利用し現場密度※2を算出する「Geo-DX Compaction」(以下、本手法)を開発しました。本手法は、試験業務を省力化すると同時に、広域かつ面的な現場密度をリアルタイムにデータ取得できるものです。
今般、本手法を当社JVが秋田県で施工中の成瀬ダム堤体打設工事(以下、成瀬ダム)におけるCSGの締固め品質管理に導入した結果、従来法による試験と同等の精度を確保しつつ、試験業務に係る人員を約7割削減でき、なおかつ施工面全域にわたる現場密度の可視化を実現しました。
鹿島は今後、CSG等の締固め品質管理の更なる省力化と、工事の生産性および安全性向上のために、本手法による計測の自動化を目指します。また、本手法を造成工事など、ダム以外の工事にも広く展開していきます。
※1 Cemented Sand and Gravel: 現地発生材(石や砂れき)とセメント、水を混合して製造する材料
※2 現場で締め固められた盛土や路盤などの密度
開発の背景
ダムや造成工事におけるCSG等の締固め品質管理では、人力による試験孔の削孔や試料採取を必要とするRI法※3などの試験を所定の頻度で実施し、施工箇所の現場密度が規格内にあることを確認しています。しかし、人力での削孔や試料採取は負担が大きく、また、試験器具は重いため、点在する試験孔間の運搬にも労力を要することから、試験の省力化と生産性向上が望まれていました。そこで鹿島は、CSG等の締固め品質管理の省力化による生産性向上を目指して本手法を開発し、台形CSGダムである成瀬ダムに導入しました。
※3 放射性同位元素(Radio Isotope)を利用し、土の密度と水分量を測定する方法
Geo-DX Compactionの概要
本手法は、地盤の電気抵抗を利用し現場密度を算出するCSG等の締固め品質管理手法です。試験対象の地盤に4つの電極が取り付けられた計測装置を接地・牽引し、地盤の電気抵抗を連続計測、その結果を利用して現場密度を算出します。これにより、広域かつ面的なデータがリアルタイムに取得でき、施工面全域の締固め品質管理を実現しました。なお、計測深度は、電極間隔を変えることで自由に調整可能です。
成瀬ダムへの導入経緯
成瀬ダムでは、CSGの締固め品質管理手法として、従来法と併用しながら2022年に本手法を試験導入し、計測精度の向上や牽引方法の改良を重ねてきました。その後、2023年に、同一エリア内で本手法と従来法による試験を実施した結果、その誤差は約±0.05t/m3と僅かであり、本手法により算出した現場密度は従来法による試験と同等の精度を有することを確認しました。
これを受け、従来法の代替として、2024年に本手法が成瀬ダムにおけるCSGの締固め品質管理として採用され、実運用を開始しました。
導入の結果
成瀬ダムでは、計測深度が75cm(1リフト※4)となるように電極間隔を調整し、CSGを打設した40リフトを対象に、本手法による締固め品質管理を実施しました。その結果、従来法で試験孔の削孔などに要していた3名の試験員を、本手法では計測装置を牽引するバギーの運転者1名に削減し、CSGの締固め品質管理業務の省力化を実現しました。また、従来法では、広域な施工面に対して、試験孔数点の現場密度しかデータ取得できませんでしたが、本手法では、連続計測した地盤の電気抵抗をもとにリアルタイムに現場密度を算出できるため、これをヒートマップで可視化し、施工面全域にわたる締固め品質の面的管理を実現しました。
※4 ブルドーザーによる25cm/層の敷き均しを3層分施工した際の地盤の厚さ
今後の展開
鹿島は今後、本手法による計測の自動化を目指し、CSG等の締固め品質管理の更なる省力化と、工事の生産性および安全性向上を図ることで、建設現場の工場化をより一層推進していきます。また本手法は、今回用いたCSGのみならず盛土工事全般に導入できるため、造成工事などにも広く展開していきます。
工事概要
工事名 | : 成瀬ダム堤体打設工事(第2期) |
工事場所 | : 秋田県雄勝郡東成瀬村椿川地内 |
発注者 | : 国土交通省東北地方整備局 |
施工者 | : 鹿島・前田・竹中土木特定建設工事共同企業体 |
工事諸元 | : 台形CSGダム、堤高 114.5m、堤頂長 755m、堤体積 485万m3、貯水量 7,850万m3 |
工期 | : 2023年6月~2026年12月 |
(参考)
動画でみる鹿島の土木技術「ダム」
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