[2025/09/01]
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エレクタ付き2ノズル自動吹付け機を実工事に初導入
~自動吹付け・建込みガイダンス技術の普及展開~
鹿島(社長:天野裕正)は、山岳トンネル自動化施工システム「A4CSEL for Tunnel」(クワッドアクセル・フォー・トンネル)のうち、吹付け・建込み作業の自動化・遠隔技術を搭載した「エレクタ付き2ノズル自動吹付け機」を横浜高速鉄道株式会社(社長:森秀毅、横浜市中区)発注の「みなとみらい21線車両留置場建設工事(土木工事)」に導入して施工を開始し、今後本運用を行います。
自動吹付けシステムと建込みガイダンスシステムを搭載した本機で施工することで、肌落ち災害の危険がある切羽近傍に人が立ち入ることなく、オペレータ1名で2つのノズルを使った効率的な自動吹付け作業と遠隔操作での支保工の建込みが可能になりました。これにより、生産性と安全性の飛躍的な向上を両立する自動化技術の普及展開に向けて、新たなステージへの挑戦が始まりました。
吹付機の全景
機械オペレーション状況
開発の背景と経緯
「A4CSEL for Tunnel」のコンセプト
現場への導入と効果
本機に搭載した自動吹付けシステムは、単純な単心円形状の掘削断面だけではなく、馬蹄形や扁平断面などにも対応しており、従来のシステムに比べ、適用可能なトンネル形状の種類が大幅に拡大しています。また、新たに開発したシミュレータでは、作業を3D座標空間上で再現できるため、事前に任意の断面形状における吹付けおよび建込み動作の検証をすることが可能となります。
本機で施工することにより、自動吹付けの出来形や動作データを蓄積し、シミュレータを用いて作業前の動作検証および実績の分析・評価が可能となるため、次の施工サイクルに向けた改善を迅速に行うことができます。
切羽全景
シミュレータ
また、支保工の建込み作業に、建込みガイダンスシステムを適用することに加え、高強度吹付けコンクリートの採用により金網の設置作業が不要となり、吹付け・建込み作業において、人が切羽近傍に立ち入ることなく、肌落ち災害の危険がない安全な作業環境が実現可能となりました。
自動吹付け状況
遠隔建込み状況
自動吹付けシステムの概要
自動吹付けシステムは、本機に搭載した3Dレーザスキャナによる切羽形状の測定結果を基にして吹付け計画を自動生成し、その計画に基づき、ノズルの動作を制御します。本システムは、エレクタおよび左右のノズルの挙動を互いに監視し、衝突を防ぐ“衝突防止機能”のほか、左右のノズルが接近すると、互いに稼働速度を調整しあう競合防止機能を実装しています。これらにより、2つのノズルを効率的に動かすことができ、2つのノズルを使った吹付け作業をオペレータ1名で行うことが可能になります。また、シミュレータによって、作業前の動作検証や作業後の実績分析を行うことで、データに基づく、最適な自動吹付けおよび遠隔建込み作業が実現可能となりました。
建込みガイダンスシステムの概要
建込みガイダンスシステムは、支保工の建込み目標位置に対するエレクタブームの各リンク角度やブーム伸縮量といった目標姿勢を計算し、その計算結果に基づいてエレクタブームを操作することにより、設計通りの位置に支保工を建込むことを実現したシステムです。本システムに加え、天端継手締結用のワンタッチジョイントと固定用アンカーを設置した専用の支保工を使用することで、従来、オペレータ2名と切羽近傍で作業する技能者3~4名が必要だった支保工の建込み作業をオペレータ1名で行うことが可能になります。今後の展開
鹿島は今後、他の山岳トンネル工事においても、本システムを搭載した自動吹付け機の導入を推進し、さらなる安全性および生産性向上に貢献してまいります。工事概要
工事名 | : | みなとみらい21線車両留置場建設工事(土木工事) |
場所 | : | 神奈川県横浜市中区元町一丁目~新山下二丁目 |
諸元 | : | 横坑(換気坑)=306m、単線トンネル=228m×2本、複線トンネル=99m、併設トンネル=262m×2本 |
特設サイト「A4CSEL for Tunnel」

山岳トンネルの自動化施工システム「A4CSEL for Tunnel」が完成!

(2024年7月31日プレスリリース)
国内初!山岳トンネル工事で2ノズル吹付け機を自動化

(2024年06月10日プレスリリース)
吹付けコンクリートの自動化を初めて実トンネルで実現

(2023年01月12日プレスリリース)
2ノズル吹付け機(ツインショット工法)の開発と展開

(2012年12月20日プレスリリース)
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