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プレスリリース

[2025/11/17]

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橋梁の損傷・健全度診断を支援するWebシステム「BMStar®_AI」を開発・運用

橋梁の定期点検をAIがサポート

 鹿島(社長:天野裕正)は、青森県と共同で、橋梁点検をAIが支援するWebシステム「BMStar_AI」(ビーエムスター・エーアイ)を開発し、同県が管理する橋梁の定期点検で運用しています。BMStar_AIは、損傷箇所の画像をAIが識別することによって、橋梁の損傷範囲・程度の検出・区分評価および健全度診断を支援するシステムです。これにより、橋梁を点検する専門技術者(以下、点検技術者)の経験値や技量によるばらつきの少ない、より正確な診断が可能となり、点検精度が向上します。
 鹿島は今後、本システムの普及展開を通じて、維持管理事業を取り巻く社会課題である点検技術者の担い手不足を補うとともに、技術力向上を支援することで、橋梁管理者による維持管理事業の推進に貢献してまいります。

図版:BMStar_AIによる橋梁定期点検イメージ

BMStar_AIによる橋梁定期点検イメージ

開発の背景

 日本全国には約73万橋の道路橋があり、このうち建設後50年を経過する橋の割合は、2023年時点で約37%、2030年には約54%、さらに2040年には約75%を超えます。修繕費用を抑えながら橋梁の長寿命化を図るためには、定期点検で橋梁の損傷・健全度を的確に診断し、「大きく損傷する前に修繕し、できる限り長く使う」予防保全型維持管理を継続することが重要です。しかし近年、点検技術者の減少や経験・技術力不足などによる、メンテナンス機能の低下等の社会課題に直面しており、対応が求められています。
 2006年に鹿島と青森県は、橋梁アセットマネジメント支援システム(以下、BMStar)※1を共同開発し、現在も青森県にて継続運用しています。そこで、近年急速な発展を遂げているAIとBMStarに蓄積された点検データなどを高度利活用し、橋梁点検を支援するWebシステムを開発することで、維持管理事業を取り巻く社会課題の解決を目指しました。

※1 橋梁維持管理事業に必要な全業務を一貫して支援するシステム
(点検・健全度評価から劣化予測、維持管理コスト(LCC)算定、維持管理目標設定、予算シミュレーション、中期予算計画算定、中期事業計画ならびに長寿命化修繕計画策定、計画進捗管理、事後評価まで)

BMStar_AIの概要と特長

 BMStar_AIは、点検技術者が撮影した橋梁の損傷箇所の画像をAIが識別することにより、橋梁の損傷範囲・程度の検出・区分評価および健全度診断を支援するWebシステムです。BMStarに長年にわたり蓄積されてきた熟練点検技術者による橋梁点検データをAIの教師データとしているため、点検技術者の経験値や技量によるばらつきの少ない、より正確な診断が可能です。
 橋梁の定期点検において、現地でスマートフォンやタブレットでBMStar_AIを開き、損傷箇所を撮影すると、診断結果が表示されます。コンクリート橋の場合、撮影画像からAIが、ひびわれ、剥離・鉄筋露出および漏水・遊離石灰の損傷を検出・区分評価※2し、橋梁の健全度診断の結果を即座に表示します。一方、鋼橋の場合は、損傷箇所の画像からダイレクトに健全度診断を行い、結果を表示します。
 また、カメラ等で撮影した複数枚の画像を一括で読み込み、診断することも可能です。
 なお、本システムによる、剥離・鉄筋露出および漏水・遊離石灰の検出と区分評価は国土交通省の「橋梁定期点検要領(令和6年7月)」、健全度診断は青森県の評価基準に基づいて行われます。

※2 AIによる区分評価は、剥離・鉄筋露出および漏水・遊離石灰のみ

損傷診断(損傷検出・区分評価)結果イメージ

損傷診断(損傷検出・区分評価)結果イメージ
※クリックで拡大します別ウィンドウが開きます

健全度診断イメージ

健全度診断イメージ
※クリックで拡大します別ウィンドウが開きます

 BMStar_AIのうち、剥離・鉄筋露出および漏水・遊離石灰の検出・区分評価機能については、国土交通省の点検要領に基づいているため、全国のコンクリート橋の定期点検に適用可能であり、鹿島のグループ会社であるリテックエンジニアリング株式会社(社長:田中篤、東京都港区)から販売を開始しています。

今後の展開

 鹿島は今後、BMStar_AIの普及展開を通じて、点検技術者の担い手不足を補い、技術力向上を支援するとともに、地方自治体における安定した橋梁維持管理事業の推進に貢献してまいります。

(参考)
ブリッジマネジメントシステム「BMStar®」 青森県で維持管理コストを大幅削減 別ウィンドウが開きます
(2013年11月27日プレスリリース)

プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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