Concept
昨今の医療現場では、
国が進める医療DXや働き方改革などの波を受け、また、働き手不足などによる業務改善の必要性から、
デジタル化・スマート化が求められています。
鹿島は、様々なデジタル技術を活用し、竣工後も進化し続ける空間づくりを推進。
大学などの外部機関とも連携しながら、スマートホスピタルの実現に向け、研究と実証に取り組んでいます。

Partner

順天堂大学との共同研究
パーソナル・アダプティブ・スマートホスピタル共同研究講座
順天堂大学医学部附属
順天堂東京江東高齢者医療センター
高齢者医療センターを舞台に、超高齢社会における医療環境の課題解決に対応するテーマとして、新たなデジタル技術を活用した高齢者に優しい病院づくりを検討しています。
鹿島にとっては医学的見地から自社技術を効果検証し今後の病院設計に活かすノウハウを獲得すること、高齢者医療センターにとっては患者満足度向上やスタッフの業務負荷軽減、経営改善を期待しています。
- 大学名
- 順天堂大学(東京都文京区本郷2-1-1)
- 講座名称
- パーソナル・アダプティブ・スマートホスピタル共同研究講座
- 開設期間
- 2023年7月1日(土)から3年間
- 病院名称
- 順天堂大学医学部附属順天堂東京江東高齢者医療センター
- 所在地
- 東京都江東区新砂3丁目3番20号
- 設計
- 磯崎新アトリエ
- 施工
- 鹿島建設
Action
患者一人ひとりに合わせた優しい医療の実現へ
従来の病院建築は、積極的に変化を加えることが難しく、
患者が建物に合わせなければならない状況でした。
しかし、多様な人が利用する病院は、
本来ならば、患者の身体的・精神的特徴や、
入退院前後の社会・生活環境なども
考慮した空間となることが理想です。
そこで、患者一人ひとりに合わせた医療を行う
パーソナライゼーションという考えの下、
病院の建物も患者一人ひとりに合わせた空間とすることを
「ホスピタルアダプテーションTM」と呼び、
実現に向けて共同研究に取り組んでいます。
目指す姿
従来
取り残される
目指す姿
出さない
顔が見え、寄り添う
Theme & Technology
医療・福祉施設における様々な課題に対し、鹿島建設の技術で解決を目指しています。
「そと部屋®」を利用した
認知症対策・予防
室内の安全性・プライバシー・利用のしやすさと、屋外の心地よさ・開放感を両立する環境制御技術「そと部屋®️」。
認知症病棟への応用について検証しています。

「そと部屋®」を利用した
認知症対策・予防
- 課題
- 刺激の少ないデイルームで過ごす認知症患者は、何もせず漫然と過ごしていることが多い。
- 仮説
- 屋外環境のような音や光などの心地よい刺激が、認知症の進行、行動・精神症状の緩和に影響を与える。
- 検証
-
デザイン検討を行った上で、認知症病棟のデイルームの一角に「そと部屋®」を設置。
睡眠時間や行動量の変化を測った。【鹿島オフィスでの事前検証】そと部屋®

メタバースを活用した
情報発信と地域医療連携の推進
鹿島の考えるメタバースは、リアル空間とバーチャル空間の融合です。
従来リアル空間を中心に行っていた、病院・入院患者と、通院・在宅患者、連携先病院・施設などとの地域医療連携について、
バーチャル空間とも融合した安心で満足度の高いコミュニケーションに挑戦しています。

メタバースを活用した
情報発信
- 課題
-
- デザイン性が高く広々とした空間が高齢者医療センターの魅力だが、外部へのPRが不十分。
- 建物入口(1階)から入った患者に対して2階外来への行き方を案内する必要があり、1階総合窓口業務の負担が大きい。
- 仮説
-
- 建物の3Dスキャン画像を撮影し、ホームページに掲載することで外部にPRできる。
- 来院前はホームページ上の3Dスキャン画像、来院時は施設案内アバターによる案内があれば、患者がスムーズに目的の場所へたどり着け、窓口業務の負担も減る。
- 検証
-
3Dスキャン画像
建物内のありのままの様子を見る
施設案内アバター
AI音声案内システム
チャットGPTとアバターによるAI音声案内システム。受付の窓口業務の負荷を軽減。
メタバースを活用した
地域医療連携の推進
- 課題
- 患者の転院先探しにおいて、見学の時間調整が難しく、パンフレットでは情報量に限界がある。
- 仮説
- 転院先施設を3Dスキャン画像で見学し、新たな方法で情報収集。
- 検証
-
転院先として件数が多い3施設(回復期リハビリテーション病院、医療療養型病院、介護老人保健施設)を3Dカメラで撮影し、3Dスキャン画像を作成。
ソーシャルワーカーが患者・家族に転院先について説明する際、3Dスキャン画像を使用。回復期リハビリテーション病院 医療療養型病院 介護老人保健施設

転院先イメージがついた。不安が軽減された。

ワーカー
患者にとって有益で良かった。患者とのコミュニケーションが取りやすかった。
メタバースを活用した患者教育
- 課題
- 患者の自宅での生活が十分に把握できず、食事・運動・睡眠の実態がわかりづらい。
- 仮説
- メタバース上で集まった在宅患者に運動指導を行えば、生活習慣改善と身体的・社会的フレイル予防に繋がる。
- 検証
-
メタバース上で医師が遠隔運動指導を行い、患者のウェアラブルデバイスからデータを収集して効果を測定。
メタバース空間を利用した遠隔リハビリ
複数の患者さんの行動を遠隔で把握
AI+デジタルツインによる
転倒・転落予防
院内で最も多いインシデント「転倒・転落」。
転倒、ふらつき等、危険な行動を検知し、実在する病院を模した環境「デジタルツイン」内にアラートを発出し、突発的に発生する事象の予防を目指します。
AI+デジタルツインによる
転倒・転落予防
- 課題
- 院内インシデントで最も多い「転倒・転落」。離床センサーも設置し対策してるが、スタッフの数に限りがあり、対応が追い付いていない。
- 仮説
- AI+デジタルツインにより危険個所や転倒パターンが明らかになり、対策に役立つ。
- 検証
-
鹿島オフィスでの事前検証を経て、認知症病棟のデイルーム・廊下にカメラを取り付け、検証を実施。【鹿島オフィスでの事前検証】
行動認識AI
転倒、ふらつきなど危険行動を検知してアラート。
高齢者特有の転倒の動きを取り入れることも検討した。デジタルツイン上での検知・発報
行動認識AIが転倒などを検知したら、デジタルツイン上で転倒箇所が表示され、転倒時の映像が表示される仕組みを構築。

転倒時の映像によって、転倒時の状況把握や今後の対策ができる。転倒が確実に検知できれば有意義。
Voice
順天堂大学医学部附属 順天堂東京江東高齢者医療センター
院長
宮内 克己 様

鹿島との共同研究により、患者のニーズに合った新しい医療アプローチが実現できました。特に遠隔リハビリやメタバース技術の導入で、高齢者の寝たきり予防や認知症予防に大きな可能性を感じています。私たち医療の視点と建設会社ならではの視点が合わさることによって、従来の医薬品中心の研究とは異なる領域の幅広い課題解決を実現できると思います。
副院長・診療部長
植木 理恵 様

鹿島との連携で、患者の安心や転倒防止には、病院の物理的環境が重要であることを再認識しました。スタッフの負担軽減や患者の安全性向上に向け、AIや監視技術の活用が有効であると感じています。この研究をとおして、医学的視点だけでなく、建築やデジタル技術を融合した新しい病院づくりに貢献できることを嬉しく思います。
消化器内科 科長/教授
浅岡 大介 様

鹿島との共同研究によって、遠隔リハビリやメタバースなどを医療現場に導入できたことは大きな成果です。異業種連携だからこそ、自分たちだけでは出来ないことを実現することができたと思います。より多くの施設や社会全体に広げられるよう、実用化・社会実装を目指し、引き続き鹿島と共に挑戦していきます。