特集カーボンニュートラル技術
2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、脱炭素社会の実現に向け、
セメント製造時に多量のCO2を排出する建設業において、
カーボンリサイクル技術によるCO2の削減は早急な課題です。
CO2を吸い込むコンクリート
CO2-SUICOM
(シーオーツースイコム)
世界初!CO2排出量ゼロ以下
CO2-SUICOMは、カーボンネガティブ(※1)を実現するコンクリートです。スイコム1m3で18kgのCO2を吸い込むことができますが、これは、20mまで成長した杉の木一本が1年間で吸い込むCO214kgを上回っています。国内では、すでに、この10年間で、東京外環自動車道や舗装ブロック、建築工事(居住マンションバルコニー部)など14件(75m3)での使用実績があり、7,500kgのCO2を吸い込んだことになります。
ビニール袋での実験
CO2を吸い込む仕組み
スイコムは、鹿島技術研究所、中国電力、デンカ、ランデスの四社共同で開発し、2008年より商品化した技術です。製造時に、CO2を多く排出するセメントを他のものに置き換えるという従来技術に加えて、CO2を吸収、固定する特殊混和材であるγ-C2S(ガンマシーツ―エス)を使用することで、コンクリートのCO2排出量ゼロ以下(カーボンネガティブ)を実現しています。セメントは、水と反応することで固まりますが、このガンマシーツーエスは、水ではなく、CO2と反応して硬化するという特徴があります。つまりセメントを固める過程において、CO2を吸い込み固定化することができるのです。
土木学会賞受賞 NEDO(※2)採択
この日本で開発した特殊混和材によりCO2を吸収固定する技術は、世界で初めてCO2排出量ゼロ以下を実現した技術として、土木学会環境賞を受賞するなど、学会でも注目を集めています。
また、NEDO受託研究(※3)として、現場での生コン打設、また、コンクリートの大量打設へと適用範囲を広げることを急務と考え、技術開発を進めています。