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プレスリリース

[2018/12/26]

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瞬間破砕による杭頭処理技術「カット&クラッシュ工法®」を開発

第3者性能評価を取得、40本の杭頭処理に適用

 鹿島(社長:押味至一)は、2011年に開発した微少発破による既存基礎の解体工法「鹿島マイクロブラスティング(MB)工法」を応用し、瞬間的な破砕により新設杭の杭頭を処理する「カット&クラッシュ工法」を開発しました。このほど日本建築総合試験所の性能評価を取得するとともに、都内で施工中のLIXIL WING新棟計画新築工事に適用、合計40本の杭頭処理を完了し、環境負荷の低減や生産性の向上に大きく寄与しました。

カット&クラッシュ工法で破砕した杭頭(試験体)

カット&クラッシュ工法で破砕した杭頭(試験体)

開発の背景

 新築建物の杭を造成する際、杭コンクリートの均質化を図るため、800mmから1000mm程度余分に打ち上げて余盛りをつくり、コンクリート硬化後、この余盛り部分を砕いて除去する作業(杭頭処理)が必要です。従来のハンドブレーカなどを用いた除去作業は、恒常的な騒音が長期間発生するほか、粉じんの発生により作業環境も悪化するなど、多くの課題があります。あらかじめ存置部と余盛部の間に薬剤をセットして硬化後にひび割れを生じさせ、余盛部を上から引き抜いて除去する方法もありますが、大型の重機が必要になるなど、施工条件によっては適用が難しくなります。
 そこで鹿島ほか2者※1が共同開発した、微少量の爆薬を用いて既存構造物を局所的に発破する「鹿島MB工法」を応用することで、杭頭処理を短時間で効率的に行うべく、開発をすすめてきました。

※1 国立研究開発法人産業技術総合研究所、カヤク・ジャパン株式会社(東京都墨田区、社長:中野伸寿)

カット&クラッシュ工法の概要

 カット&クラッシュ工法は、従来の杭頭処理作業では恒常的に発生していた騒音を、発破時の一瞬だけにして環境負荷を低減する、環境配慮型工法です。まず杭体存置部と余盛部を水平切断し、次に余盛部を破砕する二段階の発破を瞬時に行います。
 水平切断では、存置部と余盛部の間に外側から中央に向かって穿孔して非火薬破砕剤※2を装填します。非火薬破砕剤を用いることで発破時の衝撃波が生じず、杭体存置部に損傷を与えません。また余盛部の破砕では、あらかじめ鉄筋カゴ内側にらせん状の管を仕込んでおき、コンクリート打設後、らせん状の管と鉛直に穿孔した孔に、それぞれ爆薬を装填します。
 0.05秒の間をおいた二段階の発破後、余盛部は人頭大にまで破砕されますが、防爆シートなどによって養生しているため、粉じんにより作業環境が悪化することはありません。破砕されたコンクリートは容易に除去が可能で、大型の重機も不要です。

※2 酸化還元反応の急激な燃焼により発生する蒸気膨張圧を用いて破砕する薬剤で、火薬類には該当しない

カット&クラッシュ工法の概念図

カット&クラッシュ工法の概念図

第3者性能評価

 杭の試験体を作製し、カット&クラッシュ工法を用いて余盛部を破砕した後、杭体存置部のコンクリート圧縮強度やクラックの有無、主筋の引張強度や付着強度などを検査しました。結果としていずれにも問題は見られず、杭体存置部の健全性を確認しました。2017年10月、この結果を基に日本建築総合試験所による性能評価を取得、本工法を用いた杭の品質が客観的に評価されました。

現場への適用

 東京都江東区で施工中のLIXIL WING新棟計画新築工事にて、カット&クラッシュ工法を適用しました。工事敷地は周辺を住宅に囲まれており、杭頭処理時の騒音発生が懸念されましたが、φ2.0~2.5mの杭40本全てに適用した結果、発破時の一瞬の騒音は発生したものの、全体的な環境負荷は大幅に低減されました。また、従来のハンドブレーカによる作業と比較して作業工程が2割以上削減でき、生産性向上効果も併せて確認できました。

在来工法とカット&クラッシュ工法による杭頭処理作業の騒音発生イメージ

在来工法とカット&クラッシュ工法による杭頭処理作業の騒音発生イメージ

カット&クラッシュ工法で破砕した杭頭(左:発破後、右:ガラ除去後)

カット&クラッシュ工法で破砕した杭頭(左:発破後、右:ガラ除去後)

今後の展開

 杭頭処理作業時の環境負荷を大幅に低減するカット&クラッシュ工法を、今後も幅広く適用して実績を重ねるとともに、さらなる施工性の向上やコスト低減などに向けた検討をすすめてまいります。

(参考)
騒音・振動の少ない基礎の解体工法「鹿島MB工法」を開発 別ウィンドウが開きます(2011年10月27日プレスリリース)

「パイルMB工法」を開発、大型既存杭の解体工事に実適用 別ウィンドウが開きます(2017年7月27日プレスリリース)

プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

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