[2020/08/20]
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複数のグラウンドアンカーの張力をリアルタイムに連続計測できる
光ファイバを用いた張力管理システムを開発
安全・安心なインフラ構築と維持管理に活用
鹿島(社長:押味至一)は、沖電気工業株式会社(社長:鎌上信也)と共同で、広範囲に設置された複数のグラウンドアンカーの張力を、1台の計測機でリアルタイムに把握できるシステムを開発しました。本システムではグラウンドアンカーのストランド※に組み込んだ光ファイバのひずみ分布を計測することで、地山内部の変状や経年劣化などに起因するグラウンドアンカーの張力分布の変動を常時把握することができます。本システムによって、地山が大きく変動し始める予兆を張力の変化により検知することで適切な対策を実施することが可能となり、法面の維持管理に大きく貢献します。
この度、当社が施工中の掘削工事において仮設用グラウンドアンカーに本システムを適用し、その有効性を確認しました。
※ストランド…地盤や構造物にプレストレスを導入するために使用される鋼より線
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開発の背景
当社は、光ファイバを用いてストランドの張力分布を把握する技術(PC張力計測システム)を、2017年に4社※共同で開発しました。このPC張力計測システムでは、ストランドに組み込んだ光ファイバを測定のたびに一本ずつ計測機に接続して計測を行う必要がありました。このため、複数のグラウンドアンカーの張力を連続的に計測することは難しく、大雨や地震などによる法面の変状の影響やグラウンドアンカーの劣化等を実用上、リアルタイムで面的に検知できないことが課題でした。
※鹿島、住友電気工業株式会社、ヒエン電工株式会社、株式会社エスイーによる共同開発
システムの概要と特長
今回開発したシステムは、PC張力計測システムを改良したものです。従来は、グラウンドアンカーから延伸した光ファイバを一本ずつ直接計測機に接続していましたが、本システムでは切り替え装置を介して計測機に接続することにより、複数のグラウンドアンカーのリアルタイムでの張力計測が可能となります。
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適用事例
当社が施工する掘削工事において、仮設用グラウンドアンカー7本(各ストランド長約20~40m)に本システムを適用し、2019年9月から2020年3月までの約6ヵ月間にわたり、グラウンドアンカーの張力を連続計測しました。
今後の展開
複数のグラウンドアンカーの張力分布の経時的な変化をリアルタイムに把握できる本システムは、施工時の挙動監視だけでなく高速道路をはじめとした様々な法面の維持管理にも大きく寄与するものと考えています。
鹿島では本システムの展開を図るとともに、光ファイバによる計測技術を用いた研究開発を一層促進し、施工管理や維持管理への適用を進めることで安全・安心なインフラの構築を目指してまいります。
PC構造物の施工管理、維持管理に資する「光ファイバーを用いたPC張力計測システム」を開発
(2016年10月27日プレスリリース)
グラウンドアンカーに光ファイバーを用いたPC張力計測システムを活用
(2017年11月16日プレスリリース)
プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。