[2024/12/03]
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低炭素型コンクリート「ECMコンクリート®」を成瀬ダム堤体へ本格導入
~ダム建設工事においてCO2排出量の削減に貢献~
鹿島(社長:天野裕正)は、国土交通省成瀬ダム工事事務所の協力のもと、成瀬ダム堤体打設工事(秋田県東成瀬村)において、低炭素型コンクリート「ECM(エネルギー・CO2ミニマム)コンクリート」(以下、ECMコンクリート)※1計1,526m3を、ダム堤体と造成岩盤コンクリートの一部に導入しました。これにより、本ダムの建設工事に伴い発生するCO2排出量を73t削減しました。
なお、ECMコンクリートの大規模なダム堤体への導入は国内で初めてです。
※1 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)プロジェクトにおいて、当社を含む1大学7社で共同開発した低炭素型コンクリート
成瀬ダム堤体のECMコンクリート打設箇所
導入の背景
建設業に関わるCO2排出量は全産業の約4割を占めると言われており、建設業各社はCO2排出量削減に寄与する技術の開発、普及・展開を進めています。大規模なダムの建設工事では大量のコンクリートを使用するため、低炭素型のECMコンクリートを導入することで大幅にCO2排出量を削減できます。また、ダム堤体はマスコンクリートとなるため、コンクリートが固まる際に生じるセメントの水和熱による温度ひび割れ※2の発生が懸念されます。これに対しECMコンクリートは、温度ひび割れ抵抗性に優れるため、ダム堤体の品質確保においてこの特長を最大限に活かすことができます。
※2 コンクリート構造物の部材寸法が大きいほど温度上昇量が大きくなり、温度降下過程でコンクリートが収縮することにより生じるひび割れ
ECMコンクリートの特長
またECMコンクリートは、ダムコンクリートと同様に発熱量が小さく、優れた温度ひび割れ抵抗性を有しています。
製造時のCO2排出量の比較
大規模なダムへの導入
成瀬ダムは、CSG※3を堤体の主な材料とする台形型のダムで、完成後は台形CSGダムとして国内最大規模となります。堤体内部はCSGで構成されていますが、堤体表層部やその他の構造物にはダムコンクリートが用いられます。今回、ECMコンクリート計1,526m3を、そのダムコンクリートと基礎岩盤を補強する造成岩盤コンクリートの一部に導入し、CO2排出量を73t削減しました。
ECMコンクリートとダムコンクリートを用いた場合を比較した結果、ECMコンクリートの強度特性に加え、堤体内のコンクリートのピーク温度もダムコンクリートと同程度であることを確認しました。ECMコンクリートは、ダムコンクリートと同等の高品質を確保できます。
※3 Cemented Sand and Gravel: 現地また発生材(石や砂れき)とセメント、水を混合してつくる材料
ECMコンクリートの打設箇所
コンクリート温度の比較
今後の展開
鹿島は今後も、ECMコンクリートをはじめとする環境配慮型コンクリートを、コンクリートダム等のさまざまな構造物へ積極的に展開し、2050年カーボンニュートラルの実現に貢献してまいります。工事概要
工事名 | : 成瀬ダム堤体打設工事(第2期) |
工事場所 | : 秋田県雄勝郡東成瀬村椿川地内 |
発注者 | : 国土交通省東北地方整備局 |
施工者 | : 鹿島・前田・竹中土木特定建設工事共同企業体 |
工事諸元 | : 台形CSGダム、堤高 114.5m、堤頂長 755m、堤体積 485万m3、貯水量 7,850万m3 コンクリート数量40万m3 |
工期 | : 2023年6月~2026年12月 |
(参考)
エネルギー消費とCO2排出を6割以上削減できるECMセメントを開発

(2014年8月5日プレスリリース)
低炭素型コンクリート「ECMコンクリート®」を土木構造物に初導入

(2018年10月11日プレスリリース)
大阪・関西万博にブロンズパートナーとして環境配慮型コンクリートドーム「CUCO®-SUICOMドーム」を建設

(2024年3月13日プレスリリース)
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