VOICE | 02

A⁴CSELで
現場を
工場化する

鹿島建設株式会社
技術研究所
プリンシパル・リサーチャー
兼 機械部自動化施工推進室長
三浦 悟 SATORU MIURA

A⁴CSELで実現する「現場の工場化」

A⁴CSELは鹿島が10年前から取り組んできた技術です。当時から建設業界は、人手不足などに加え、1990年代から横ばい状態という生産性の低さが問題になっていました。

一方他業種に目を向けると、たとえば製造業では50年ほど前から産業用ロボットを導入し、それから、ファクトリーオートメーションという自動化を全面に出した生産システムが作られてきました。作業の自動化は作業効率の向上やミスの軽減、さらには安全性の確保につながります。建設業界でも30年ほど前に建設ロボットなどが開発された時代もありました。しかし、製造工場の産業ロボットは基本的に固定されていて、作業の対象が運ばれてきて、同じ作業を繰り返せば良いのに対して、建設現場ではロボットが自分で作業場所に移動しなければならないし、作業も状況に合わせて変える必要がある。だから建設作業の自動化は無理だろうと言われてきました。そこで、まずは建設機械を「移動する加工装置」ととらえればよいのではないか。そう考え、製造業の生産システムを参考にしながらA⁴CSELの開発はスタートしました。

A⁴CSELの特徴は、汎用機械をベースに自動化していること、AI技術などを活用して自律的な自動運転を可能にしていることです。

そして、自動機械が稼働しやすいように作業を標準化、定型化するとともに、作業のやり方や手順、機械の組合せを最適化して、無駄なくスムーズに施工していく建設生産システム。それがA⁴CSELの目指す「現場の工場化」です。

現場に求められる新しい技術の力

数十年後には、日本の生産年齢人口は全人口の約半数にまで減少すると予想されています。またAI技術の発達によって、建設機械のオペレーターという仕事は将来なくなるだろうともいわれています。私たちはそれを何もせず待っている訳にはいきません。

もちろん自動化を進める上での課題はあります。工事の環境や土質条件などは、現場によってそれぞれ異なります。人が作業を行うなら状況に合わせたやり方を職人が判断しますが、機械の場合はそうはいきません。人に頼めば一言で済む作業も、全ての作業手順をデータ化し、指示をしなければ機械は動かないのです。

それらの問題をクリアするには、施工状況を即座に判断して運転方法を変えるなど機械自体を賢くしていく必要があります。また「どのように機械を動かせば最も生産性が上がるか」という施工計画は、施工者である私たちでなければ作ることができないでしょう。機械の自動化と同時に、その機械を効率よく稼働させるための仕組みを構築する。A⁴CSELによる「現場の工場化」には、土木や機械、電気、情報の専門分野とともに生産工学、管理工学、システムデザイン工学といった、分野を横断する技術の力が不可欠なのです。

開発を加速し自動化の先陣を切る

鹿島では2017年、A⁴CSELなどの開発技術を検証する実規模の実験フィールドを業界で初めて開設しました。それまで自動化の技術開発は施工中の現場で行われていたため、現場作業に支障を及ぼさないように実験内容が制限されていました。実規模実験フィールドの整備によって、自動化の対象となる作業や機種を広げた検証が可能になり、開発スピードが加速しています。

A⁴CSELによる「現場の工場化」は、まだ誰も成し遂げたことのない世界初の試みです。鹿島がこれまで長年積み上げてきた信頼と実績が、業界において大きなチャレンジを可能にする土壌となっています。今後はさまざまな工種において、自動化が導入されていくでしょう。その先陣を切っているという自負が、私たち技術者の大きなモチベーションになっています。

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