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地盤改液状化対策技術

材料

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材料

施工管理・計測

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軟弱地盤を重機走行可能な土壌に改質
「泥CURE®

生態系に配慮した環境にやさしい改良材

軟弱地盤の改良には、これまで石灰やセメントなどの改良材が用いられてきました。これらは、固化性能が高い反面、改良材自体に重金属が含まれる場合があり、改質土が強アルカリを示す場合があります。改良土が強アルカリ性になると、有機物の分解によるアンモニアガスの発生や地盤中の自然由来重金属等の溶出、さらに水域に接する場所では、水生生物に悪影響を及ぼす恐れがあります。そこで、鹿島では固化性能と環境低負荷を両立した改良材「泥CURE(デイキュア)」を開発しました。泥CUREは重金属等を含有せず、改良土が水中に浸漬しても再泥化しません。また、改良土のpHは中性から弱アルカリ性となるため、石灰やセメントなどで起こるアンモニアガスの発生などのリスクを抑制できます。

特許登録済

図版:河床堆積物(軟弱地盤)の改良前後

河床堆積物(軟弱地盤)の改良前後

キーワード
固化、軟弱地盤、安定処理、低環境負荷
改ページ

施工事例

岩手県宮古市で施工中の閉伊川災害復旧水門工事では、河床に軟弱な有機質粘土(コーン指数200kN/m2以下)が堆積しており、建設重機の走行が困難な状況でした。河床堆積物を場外搬出するためには多大なコストを要すること、また、トラフィカビリティ確保のためにセメント系固化材により地盤改良を行った場合、pHの上昇により閉伊川に生息するサケ、サクラマスなどの水生生物に悪影響を及ぼす可能性があることが課題でした。そこで、環境負荷の小さい泥CUREを用いて、河床の表層部(深さ約50cm)の改良を行い、車両や重機のトラフィカビリティの向上を図りました。事前の試験施工により泥CUREの添加量と改良強度を確認し、その結果をもとに本施工を実施しました。

本施工では①「泥CURE」を計量後に散布し、②ミキシングバケット仕様のバックホウで混合・撹拌し、24時間養生します。③養生後、改良土のコーン指数を測定し、建設重機が走行できる強度を確認しました。

図版:河床堆積物(軟弱地盤)における施工例

河床堆積物(軟弱地盤)における施工例

閉伊川の河床堆積物の施工では泥CUREを100kg/m3添加して改良しました。その結果、改良前のコーン指数は115kN/m2でしたが改良直後には368 kN/m2、改良24時間後では646kN/m2になりました。これは、15t級の普通ブルドーザが走行できる強度に相当します。

図版:泥CUREにより改良した河床堆積物のコーン指数

泥CUREにより改良した河床堆積物のコーン指数

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特長・メリットココがポイント

強度・重金属不溶化・安全性

泥CUREは複数の無機材料を組み合わせた弱アルカリ性の材料で、有害な重金属等を含有していません。また、改良土は中性から弱アルカリ性になります。

  • 24時間養生で建設重機が走行可能。
  • 土壌中に含有する重金属類の不溶化。
  • アンモニアガスなどの有害ガスの発生抑制。

図版:泥CURE

泥CURE

水生生物への安全性も担保

河川に生息する水生生物の安全性を、ヤマメ(淡水魚)とマダイ(海水魚)を用いた魚類毒性試験で確認しました。

  • 行動観察中の稚魚生存率は100%。
  • 水域での生態系の影響は極めて低い。

図版:試験後のヤマメ(上)とマダイ(下)の様子

試験後のヤマメ(上)とマダイ(下)の様子

再泥化しない

泥CUREで改良した土壌をダンプで運搬するなど、振動を与えても再泥化は起こりませんでした。

  • 泥土区分(<200kN/m2)の原土を改良した後、ダンプで改良土を運搬した前後のコーン指数を測定した。その結果、運搬前後で再泥化することなく、223kN/m2(運搬前)→259kN/m2(運搬後)と、コーン指数に大きな変化はなかった。

図版:ダンプに積載された泥CURE改良土壌

ダンプに積載された泥CURE改良土壌

適用実績

図版:閉伊川災害復旧水門工事

閉伊川災害復旧水門工事

場所:岩手県宮古市

適用工事期間:2016年7月

発注者:岩手県

規模:工事対象面積6,840m2

学会論文発表実績

  • 「生態系に配慮した河床堆積物(軟弱地盤)の安定処理に関する検討」,第12回環境地盤工学シンポジウム,2017年
  • 「生態系に配慮した改良材による河床堆積物(軟弱地盤)の安定処理」,土木学会,第72回年次学術講演会,2017年

草木類除去のための選別補助材
「泥DRY®

高含水・高粘性土壌を低粘性・細粒状に改質し、草木類を除去

東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故後の除染作業で発生した除去土壌等は、中間貯蔵施設内に保管されることから、有機物の分解に伴う盛土の不安定化を防止し、有機物の分解によるガスの発生を抑制することが重要です。そのためには、除去土壌から草木類を選別する必要がありますが、除去土壌の半分は農地などの高含水・高粘性土であり、土壌と草木類の選別は非常に困難です。そこで鹿島は、高含水・高粘性土壌を低粘性・細粒状に迅速に改質し、さらにpH中性の環境低負荷の選別補助材「泥DRY(デイドライ)」を開発しました。

また、本材料は、中間貯蔵施設に限らず一般工事における盛土や掘削土などからの草木類の選別にも活用できます。

特許登録済
平成29年度土木学会 環境賞
平成29年度地盤工学会 地盤環境賞

図版:高含水・高粘性除去土壌の改質前後

高含水・高粘性除去土壌の改質前後

キーワード
選別補助材、高含水・高粘性土、改質、低粘性、細粒状、中性

泥DRYの特性

材料:材料の90%以上が吸水性を有する天然鉱物であり、その他高分子材料などを配合。

改質原理:複数の材料の複合的な働きにより、土粒子周囲の自由水が急速に捕捉され、土粒子間の付着力が低下し、土粒子の小団粒化が促進される。

図版:泥DRY

泥DRY

図版:泥DRYの改質原理

泥DRYの改質原理

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施工事例

【施工例1】中間貯蔵施設受入・分別施設での除去土壌の改質

①除去土壌の入った大型土のうを破袋します。
②重機により容器残渣を分別・除去します。
③土壌の含水比に応じてコンベア上で改質材(泥DRY)を自動で添加します。
④添加された土壌を改質機に投入し改質します。
⑤分別機により、改質されサラサラとなった土壌から、草木や石を取り除きます。

図版:施工例1 中間貯蔵施設受入・分別施設での除染土壌の改質

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【施工例2】建設発生土の改質施工

①バックホウで高含水土を掘削します。
②泥DRYを20〜40kg/m3添加します。
③バックホウで数分間撹拌します。
④改質後の土壌はダンプトラックでの運搬が可能となりました。

図版:施工例2 建設発生土の改質施工

特長・メリットココがポイント

環境に配慮した材料、かつ迅速に施工が可能

  • 水和反応等がなく、養生時間はほぼ不要です。
  • 改質後の土壌のpHは中性域に保持されるため、重金属等の溶出が促進されず、有害ガスが発生しません。

埋立盛土として活用可能

泥DRYを添加した土壌(畑、水田)の盛土としての施工性や安定性を確認するため、建設重機の走行性能(トラフィカビリティ)の評価を行いました。

  • 原土の状態では重機走行は不可能でしたが、泥DRYの改質により締固め性能が向上し、転圧後、ブルドーザ(32t級)の走行が可能となりました。
  • ※除去土壌の盛土締固めは、中間貯蔵施設内の土壌貯蔵施設に限定した実績です。

図版:泥DRY改質土の転圧(試験施工の状況)

泥DRY改質土の転圧(試験施工の状況)

図版:コーン指数の比較

コーン指数の比較

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適用実績

図版:大熊1工区中間貯蔵施設受入・分別施設

大熊1工区中間貯蔵施設受入・分別施設

場所:福島県双葉郡大熊町 

適用工事期間:2018年7月~

発注者:環境省

図版:横浜環状南線公田笠間トンネル調整池造成

横浜環状南線公田笠間トンネル
調整池造成

場所:神奈川県横浜市

適用工事期間:2017年6月~7月

発注者:東日本高速道路

規模:対象土壌690m3

学会論文発表実績

  • 「無機改質材を用いた除去土壌の改質 その1 ─改質効果と草木選別─」,土木学会,第70回年次学術講演会,2016年
  • 「無機系改質材を用いた除去土壌の改質 その2 ─土壌の性状と改質効果の関係─」,土木学会,第70回年次学術講演会,2016年
  • 「無機改質材を用いた除去土壌の改質 その3 ─盛土材料としての性能評価─」,土木学会,第70回年次学術講演会,2016年
  • 「草木類選別補助材の適用性検討 ─細粒分含有率と含水率が選別能力に与える影響─」,第22回地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会,2016年
  • 「無機及び高分子系材料で構成される中性の改質材を用いた、高含水・高粘性除去土壌の改質、草木選別に関する実証」,第22回地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会,2016年

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