「明日を変えるために 今!考えよう!!」
昨年7月,「夢コンペ」の特設ページが社内イントラネットに立ち上がりました。
当社の環境ビジョンを実現していくための夢のアイデアを広く募ったものです。
全社的な社内コンペが開催されたのは,およそ20年ぶり。夢あふれる試みについて,担当者に聞きました。
トリプルZero2050 の実現に向けて
2013年に当社が策定した「鹿島環境ビジョン:トリプルZero2050」は,持続可能な社会を「低炭素」「資源循環」「自然共生」の3つの視点でとらえ,2050年までに鹿島が達成すべき将来像を,「ZERO CARBON」「ZERO WASTE」「ZERO IMPACT」として表現したものです。それぞれの「ゼロ」は,持続可能な社会を実現するための鹿島グループの役割を,「自らの事業活動で実現するもの」「社会に提供する商品・サービスを通じて実現するもの」の両面から提示しています。
特に「提供する商品・サービスによるもの」,言い換えれば“社会に残すもの”による取り組みは建設業本来の役割として社会の期待も大きく,同時に成長分野のひとつでもあります。しかしこれらの実現は今の技術の延長だけでは達成することが困難であり,技術のブレークスルーや新たなイノベーションが必要です。
夢の環境アイデアコンペ「夢コンペ」は,環境ビジョンの実現に向けた具体的な活動の第一歩として開催したものです。
環境ビジョン:トリプルZero2050の実現がテーマ
“未来を描けなければ今を変えられない”
夢コンペでは,「トリプルZero2050」の実現をテーマに,「未来×鹿島×環境」の観点から,鹿島グループで働くすべての人に対して,夢のアイデアを広く募りました。提案書は2~6枚の自由書式で,3つの「ゼロ」の視点に立った説明が必須条件です。イノベーションにつながるアイデアを重視し,実現の可能性は問わないこととしました。
「“未来を描けなければ今を変えられない”そんな想いで,未来の鹿島グループの仕事について考えてみてください」。開催概要に掲げられた金子副社長の呼びかけに,現場や関連会社,海外も含めた362件のアイデアが寄せられました。
一次選考を通過した30案はイントラネット上に掲載し,一般投票を行いました。応募した人もそうでない人も,他の人のアイデアに触れながら,様々な意見が交わされました。二次選考では部署横断的に組織された環境技術戦略策定WGのメンバーによって,一般投票の結果を参考としながら,最終審査の対象となる6案のアイデアを決定しました。最終審査会の審査員は,日本政策投資銀行環境・CSR部長の竹ヶ原啓介氏をはじめ,当社からは金子副社長と戸河里技術研究所長,新川環境本部長が務めました。6案のアイデア考案者には賞金のほか,当社社有林の木材でつくられた表彰状と置時計,鹿島でつくったハチミツや有機米が副賞として授与されました。
最終審査会でのプレゼンテーション
プレゼンテーションに聴き入る新川環境本部長
夢コンペの募集ポスター
夢のアイデア
昨年11月,二次選考を勝ち抜いた6件のアイデア提案者が集い,当社赤坂別館(東京都港区)で最終審査会が開催されました。多数の社員が聴講者として会場に詰めかけるなか,提案者は各々のアイデアについて5分間のプレゼンテーションを実施し,熱い想いを語りました。会場を訪れた聴講者はこれに真剣に聞き入り,審査員からは活発な質疑が行われました。
最終的に優秀賞2件と入賞4件が決定しました。優秀賞は,都心に多様な生物の回廊をつくる「首都コウサク」と建設発生土を利用した建築物「ツチビル 掘削土再利用によるトリプルゼロ建築」が選ばれました。いずれも「建設業ならでは」「夢のあるアイデア」などと高く評価されました。
選考を勝ち抜いた方もそうでない方も,考えはしたものの応募に至らなかった方も,鹿島の環境ビジョン:トリプルZero2050の内容を理解して,各個人の業務の延長線上に,鹿島の未来を環境の観点で考える機会となりました。普段技術開発に携わらないような人からの応募も多く,人材発掘の機会にもなったと考えています。今回集まった全てのアイデアは全社で共有し,今後の技術開発などに生かしていきます。
優秀賞
「首都コウサク」
環境本部 山田順之,曽根祐太,野中朋恵,青木忠尚
「ツチビル 掘削土再利用によるトリプルゼロ建築」
建築設計本部 高橋朋之,原嶋宏樹,岩崎庸浩,道越勇輔,飯島貴広,桝井亜沙美,野村恒司,黒田真悠,田持成輝,梯 誠
入賞
「建設発電 森と木造都市で
創るエネルギー循環」
建築設計本部 田持成輝
ほか8名
「環境配慮コンクリート」
技術研究所 百瀬晴基
ほか3名
「光合成都市
The photosynthesizing city」
中国支店 天野景一朗
「The Levitate ザ・レビ建て」
カジマ・デザイン・アジア
バンコク設計室
Peerapon Jamsirirojrart
ほか4名
夢コンペの構想は,環境ビジョンの実現に向けて,どのような技術開発に取り組んでいくべきかを模索している過程で持ち上がりました。限られた頭で考えるよりも,環境ビジョンの認知も兼ねて,全社員に投げかけてみようという結論に至ったのです。
念頭にあったのは,本社の一部の部署だけが関わるのではなく,できるだけ多くの方に参加していただきたいということ。忙しい現場の皆さんにも参加していただけるよう,簡易な応募様式としました。結果的に,応募者の約3割が現場の常駐社員だったことはうれしい限りです。
鹿島グループで働く方々の仕事の内容や専門分野は千差万別です。色々な立場の人が異分野に興味を持ち,考え,アイデアを膨らませて,提案シートに落とし込むという,この行為こそが鹿島の未来に向けてのイノベーションに繋がるものなのだと思います。
集まった一つひとつのアイデアは財産であり,鹿島の未来に向けて活用していかなければなりません。コンペというイベントは終了しましたが,取り組みは終わりません。
また,夢コンペには第1回と冠されていますが,これは全社員で夢を語る機会をまたつくりたいという事務局としての「想い」です。引き続き,環境ビジョンの推進・実現に向けて,広汎な活動を展開していきたいと考えています。
事務局を務めた地球環境室一同。左から小池勝則専任職,新田真純室員,塩山欣春室長,秋葉恵子課長代理,北田健介課長