国宝であり,世界遺産にも登録されている姫路城は,その白く華麗な姿から「白鷺城」とも呼ばれる。
江戸時代から幾度の修理を重ね,昭和の大修理では大天守の解体・建替えが行われた。
それから半世紀が経ち,現在施工されているのが“平成の保存修理工事”。
風雨から大天守を護る鉄骨の素屋根がかけられ,屋根や壁などの修理工事が続けられてきた。
工事開始から5年。いよいよ素屋根が外され,化粧直しを終えた大天守がお披露目される。
最新技術と伝統技法を駆使して行われた姫路城大天守保存修理。
ここでは,関係者の声を交えながら,工事の様子を紹介する。
化粧直しを終え,姿を現した姫路城の大天守。大天守を囲むように巡らされた鉄骨の素屋根と構台は,小天守や渡り櫓を避けながら縫うように組まれた。素屋根の建設・解体だけでも難しい工事である
【工事概要】
国宝姫路城大天守保存修理工事
- 場所:
- 兵庫県姫路市
- 発注者:
- 姫路市
- 設計・監理:
- 文化財建造物保存技術協会
- 規模:
- 大天守 ─ 木造 B1,5重6F
延べ2,409m2
素屋根 ─ S造 8F - 工期:
- 2009年6月~2015年3月
(関西支店JV施工)
【姫路城略年表】
- 1346年
- 赤松貞範が姫山に築城
- 1581年
- 羽柴秀吉が3重の天守を築く
- 1609年
- 池田輝政による大改築で大天守が完成
- 1951年
- 天守ほか7棟が国宝に指定
- 1964年
- 昭和の大修理工事完了
- 1993年
- 日本初の世界遺産に登録
- 2009年
- 国宝姫路城大天守保存修理工事着工