西面ファサード
(photo:川澄・小林研二写真事務所 / 浜田昌樹)
日本橋という都心立地における中規模テナントオフィスの計画は,事業性を重視した高効率なプランニングと共に,周辺街区に調和しつつも埋没しない顕示性の表現がテーマとなった。
地区計画による形態規制の緩和,バリアフリー認定による容積割増の特例を活用したテナントフロアの最大化と,近隣の街並みから読み取れる石のファサードへの新たな試みは,花崗岩と単層窓をリズミカルに配列するヴィジョン部と,各階の給排気や排煙機能を併せ持つ彫の深いスパンドレル部が積層するプロポーションにたどり着いた。
三方道路に囲まれた外装を取り巻く石とガラスによるパターンは,インテリアから求められる与条件と共に整理され,それらをフロア単位で強調するように大きく括れたスパンドレルとの立体的な表情は,日々の移ろいのなかで,建物に印象的な陰影を描き出す。
周辺エリアの大型再開発によって移りゆく街並みの中で,恒久的で凛とした佇まいを実現できたプロジェクトである。
(八木 佳・安村 茂)
南面エントランスポーチ
コーナーサッシの見上げ
日本橋TIビル(東京都中央区)
発注者:東京建物,浅川商事,
国産化学
設計:当社建築設計本部
規模:S造 9F,PH1F 延べ6,490m2
2012年7月竣工(東京建築支店施工)
八木 佳
(やぎ・このむ)
建築設計本部
統括グループリーダー
主な作品:
- 汐留メディアタワー
- 共同通信社
- 研修・交流センター
- 戸塚駅西口再開発事業
公益施設整備PFI
安村 茂
(やすむら・しげる)
建築設計本部
チーフ
主な作品:
- 岸和田徳洲会病院
- 岡山画像診断センター