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concept 横浜ポートサイドプレイス 建築とアートで創る“私たちの街”

写真:川沿いの公園へとつながる緑地帯に配された“ふきだしサイン” (作家:長谷川仁氏)

川沿いの公園へとつながる緑地帯に配された“ふきだしサイン” (作家:長谷川仁氏)

膨大なエンドユーザーが対象のハウジングの仕事は,住まい手との直接的コミュニケーションなしに,設計コンセプトを生み出さなくてはならない。独りよがりな住環境を押し付けてはいないか…。こうした設計者のフラストレーションを払拭してくれたのが,このプロジェクトだった。建物単体の設計を超越し,我々設計者が舵取り役となって,住民をはじめ関係者みんなで“私たちの街”を創りあげた。

計画地は横浜駅東口に隣接するヨコハマポートサイド地区。分譲マンションを核としたオフィス,商業,保育所などからなる複合施設だ。様々な目的をもって人はここに集い,やがてコミュニティが形成される。この地区では「アート&デザインの街」をコンセプトとした街づくりが推奨されており,事業主からも「良質な居住環境提供による街づくりと地域活性化の促進」が求められた。

“タテモノ”だけでなく“マチ”全体をデザインしたくなった――。アートを基調とした街は多々あるが,無関心に放置されたままのものも少なくない。きちんと呼吸した「アート&デザインの街」を創りたい。そのためには,アートをただ買ってきて置くだけでは意味がない。建築との融合,人々の生活に溶け込むものでなければならない。結果,アーティストとの協働,住民参加のアートワークという,手間と時間を掛けた試みへの挑戦となった。

選考した4名のアーティストには建築の意図を丁寧に説明し,好きな場所に好きなアートを制作してもらった。制作過程で各自住民とのワークショップを繰り返し,様々なアイディアを取り込んでいった。自由な発想から生まれたアートは,結果として,色々な人に色々な使い方をしてもらえる多義的空間を仕掛けることができた。我々設計者の思いの詰まった建築とみんなの思いの詰まったアートによって,“私たちの街”が生まれた。

そして――5月。街開きを兼ねたイベントで,アートワークの廻りに人々が集う。仕掛けた種が芽を出して,どのような使い方が発想されていくか。我々の「アート&デザインの街」は変化と創造に満ちている。(小林幹生・岡路明良)

写真:光の差し込むエントランスホールに飛び立つ“バードバレー”

光の差し込むエントランスホールに飛び立つ“バードバレー”
(作家:袴田京太朗氏/家具:藤森泰司氏)

写真:コロネード空間 のふきだし、保育所、コミュニティ・ ツリーの写真

左:コロネード空間のふきだしには,様々なメッセージが浮かぶ(作家:長谷川仁氏)
中央:保育所には,植物の姿をあしらった“みんな生きている”(作家:長谷川仁氏)
右:帷子川からの光と戯れる“コミュニティ・ツリー”
(作家:ジョセップ・マリア・マルティン氏)

写真:当社開発の超高層ハウジング技術「スーパーRCフレーム構法」を採用したタワー棟は,モダンな表情とシンプルなプロポーションで現代技術を表現

写真:水と緑,帷子川からの風を受ける低層部は,土壁やデッキなどを配し自然との調和を図る

左:当社開発の超高層ハウジング技術「スーパーRCフレーム構法」を採用したタワー棟は,モダンな表情とシンプルなプロポーションで現代技術を表現
右:水と緑,帷子川からの風を受ける低層部は,土壁やデッキなどを配し自然との調和を図る


横浜ポートサイドプレイス
(横浜市神奈川区)

ヨコハマポートサイド地区のウォーターフロントに,横浜市住宅供給公社が計画した,分譲住宅179戸,保育所,物販・飲食・クリニックなどの商業テナント,事務所テナントからなる複合施設。
発注者:横浜市住宅供給公社/設計:当社建築設計本部/規模:RC造一部S造(スーパーRCフレーム構法)B1,29F,PH2F 延べ27,582m2(横浜支店施工)

平面・立面図

小林幹生(こばやし・みきお)の写真

小林幹生(こばやし・みきお)

建築設計本部
専任マネージャー
主な作品:
パークシティ新川崎
ガーデンプラザ新検見川
目白ガーデンヒルズ
グランドミッドタワーズ大宮

岡路明良(おかじ・あきら)の写真

岡路明良(おかじ・あきら)

建築設計本部
グループリーダー
主な作品:
東京計器本社ビル
コーニンググラスアート美術館
(N.Y.)
横濱ディアタワー

発掘!旬の社員
鹿島の見える風景作品集

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