ホーム > KAJIMAダイジェスト > November 2020:concept

concept

三井不動産総合技術アカデミー

地域に馴染むシンボル性

図版:北側外観

北側外観

Photo:石黒写真研究所

全国のビルを縁の下で支えてきた「技術」の継承を行う研修所として計画された施設である。実機体験による臨場感のある研修の実現を目指し,超高層ビルに設置する設備機器の再現や,建物管理の要である防災センターを模した研修室などが計画された。

敷地周辺は区画整理事業で整備され,新しい高層マンションが立ち並ぶ。近隣配慮,性能・品質,施工性も考慮し構造はRC造とした。開口部を限定的とし,閉じた箱を計画することが最も合理的な選択肢であったが,求められたのは単なる箱ではなく,周辺地域と共生し賑わいをもたらす建築の実現だった。その一見相反する命題に対し,導き出したコンセプトは「地域に馴染むシンボル性」。

建物は,近隣とのバッファーを取るためにセットバックし,生まれた空地にヒューマンスケールな緑道を計画,住民の積極的な引き込みによる親和性の獲得を狙った。外装には大判テラコッタタイルを採用し,時に施設の顔として,時に地域の背景となるようなデザインとすることで,コンセプトの実現を図った。目指す色味や発色を考え酸化焼成を選択し,自然なムラを出すため窯内の温度差まで調整を行った。横基調の底目地とすることで,施設内への誘導効果も狙っている。

暖かみのある壁面が,プロフェッショナルとして成長した研修生共通の記憶となり,また,新しく移り住む人々の記憶の一部になることで,研修所が地域に馴染んでいくことを願っている。
(堀越英昭・松本隆)

改ページ
図版:北側緑道

北側緑道

図版:メインエントランス

メインエントランス

図版:各種設備機器を再現した設備研究室

各種設備機器を再現した設備研究室

改ページ

三井不動産総合技術アカデミー
(千葉県柏市)

オフィスビルのプロフェッショナルを育成する研修施設として2020年に開校した。

  • 発注者: 三井不動産
  • 設計: 当社建築設計本部
  • 規模: RC造 2F 延べ4,468m2
  • 工期: 2018年12月~2020年1月

(東京建築支店施工)

写真

堀越英昭
(ほりこし・ひであき)

建築設計本部
チーフ

主な作品:
  • 鹿島赤坂別館
  • 霞が関ビルディング リニューアル
  • 札幌三井JPビルディング
  • 東山ビルディング
  • 北ガスグループ本社ビル

写真

松本 隆
(まつもと・たかし)

九州支店建築設計部

主な作品:
  • 札幌三井JPビルディング
  • 小津本館ビル リニューアル
  • 渋谷S.野口bldg.
  • 北ガスグループ本社ビル

ContentsNovember 2020

ホーム > KAJIMAダイジェスト > November 2020:concept

ページの先頭へ