[2019/04/03]
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コンクリートの表層品質を向上させる「美(うつく)シール®工法」の生産性を向上
~高撥水性特殊シート「美(うつく)シート®」の貼付作業を大幅に効率化~
鹿島(社長:押味至一)は、2014年に積水成型工業株式会社(大阪市北区、社長:矢野英伸)、東京大学石田哲也教授と共同開発した、コンクリートの表層品質を向上させる「美シール工法」の生産性向上、ならびに品質確保を目的に、同工法で使用する高撥水性特殊シート「美シート」を、型枠材に自動で貼り付ける装置を開発しました。本装置を用いることで、1人で短時間に、シワや気泡のない高品質な貼付けができるようになり、同工法の大幅なコスト削減が可能となります。今後、これを契機に、同工法のより積極的な展開を図っていきます。
開発の背景
美シール工法は、コンクリートの表面を緻密にすることで高品質・高耐久化を実現する養生技術です。同工法では、あらかじめ美シートを貼り付けた型枠にコンクリートを打設することで、コンクリート表面の気泡が大幅に低減されます。また脱型後は、シートがコンクリート側に残置されるため、コンクリートの表面を一度も外気にさらすことなく長期間にわたり湿潤状態を保つことができ、コンクリート表面が平滑、かつ緻密な仕上がりになります。
これまで、美シートを型枠材に貼り付ける作業は2人以上の人員が必要で、さらにシワや気泡がないようきれいに貼り付けるためには一定の技量が求められていました。このため、美シール工法の普及には、型枠材にシートを貼り付ける作業の省人化と時間短縮、仕上がり状況のばらつきをなくすことが課題でした。
そこで鹿島は、「ひとりで」「早く」「きれいに」をコンセプトに自動貼付装置の開発に取り組みました。
自動貼付装置の概要
本装置は、主に門型フレーム、スクレーパ、シートカッター、型枠クランプで構成されます。作業手順は次のとおり非常に簡易です。
- 型枠材を所定の位置に設置し、クランプで固定
- PC画面上で貼付け長さを入力し、スタートボタンを押下
- 門型フレームが横移動しながらシートを引き出し、型枠材にスクレーパで貼付け
- 所定の位置まで貼り終わるとシートカッターにより自動的にカットされ、貼付け完了
自動貼付装置の特長
- 4tトラックによる運搬と屋外での使用が可能
- 1人で作業でき、作業手順も非常に簡易
- 準備・運搬・シート貼付け・カットまでの全工程の作業時間を、従来に比べ約6割削減し11分まで短縮
- シート貼付け後の仕上がり状況も、シワや気泡がなく、熟練技能者が貼り付けたものと同水準
- 対象の型枠材は幅600mmもしくは900mmの桟木加工された化粧合板で、最長3,600mmまでの型枠材に対し、任意の長さにシートを貼付け可能
- 万一に備え、機械を緊急停止させる安全装置(ライトカーテン)を装備
今後の展開
鹿島は、「ひとりで」「早く」「きれいに」美シートを貼り付けることができる本装置の導入により、美シール工法のより積極的な展開を図り、橋梁やボックスカルバートなど各種コンクリート構造物のさらなる品質向上と長寿命化に取り組んでいきます。
(参考)
コンクリート表層品質向上のための「美(うつく)シール®工法」を開発 (2014年4月24日プレスリリース)
コンクリート表層品質向上のための「美(うつく)シール®工法」を現場に大規模適用 (2016年6月21日プレスリリース)
コンクリートの表層品質を向上する「美(うつく)シール®工法」を港内工事に適用 (2018年12月20日プレスリリース)
動画でみる鹿島の土木技術「美シール工法」
プレスリリースに記載された内容(価格、仕様、サービス内容等)は、発表日現在のものです。
その後予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。