[2025/01/28]
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自社保養所「KX-FOREST KARUIZAWA」でサーキュラーエコノミーを実現
~社有林材を資源循環 & CO2吸収コンクリートで橋を構築~
鹿島(社長:天野裕正)は、2050年に達成すべき環境ビジョンを「脱炭素」「資源循環」「自然再興」の3つの分野からなる「鹿島環境ビジョン2050plus」として策定し、環境保全と経済活動が両立する持続可能な社会の実現に向け、様々な取組みを推進しています。
2024年秋に完成した「KX-FOREST KARUIZAWA 鹿島軽井沢泉の里保養所」では、豊かな自然が残る自社所有地に周囲に溶け込んだヴィラタイプの宿泊棟をゆったりと配置し、静寂な森の中に佇む良質なリゾート空間を創出しました。また、社員の更なる余暇の充実や柔軟な働き方の実現、福利厚生の拡充などによるワークライフバランスやエンゲージメントの向上を目指した社有施設として整備しました。本施設は同ビジョンに基づき次の3つの取組みを行うことで、木材のサーキュラーエコノミーだけでなく、CO2-SUICOM®※1の適用拡大も実現しました。
1. 社有山林および現地伐採木を活用した木造宿泊施設の新築および既存木造施設の改修
2. 国内宿泊施設初の国際的な環境認証SITESの予備認証※2の取得(最高認証ランクであるプラチナ)
3. 金沢工業大学のセメント系3DプリンティングとCO2-SUICOMを組み合せた人道橋の構築
※1 当社らが開発した、固まる過程でCO2を吸収・固定化してCO2排出量を実質ゼロ以下にすることができる世界初のコンクリート
※2 ランドスケープにおける環境配慮に関する計画について米国のGreen Business Certification Inc.(GBCI)より認証を受けたもの
社有山林および現地伐採木の活用
当杜はグループ全体で全国約5,500haの山林を100年以上にわたり保有しており、その維持管理を含めた森林経営の一環として、木材を建材・家具等に使用するだけでなく、木造・木質建築の技術開発、木材サプライチェーン構築や新たな環境価値の創出に向けた取組みを行っています。今般、当社の社有施設の新築および改修を行うにあたり、当社所有の日影山山林(福島県)および建設地現地で伐採した樹木を建築資材や家具の材料として活用しました。なお、日影山山林は環境省の自然共生サイト※3の認証を受けています。
当社にとって自社施設に社有林を活用することは、木材サプライチェーンの上流(山主)から下流(建設)までを一貫して行うだけでなく、伐採後に再び造林して育てる循環型の取組みとなります。また、本計画では併せて既存木造建築物の効率的な改修による長寿命化も図っており、まさにこれらはサーキュラーエコノミーに資する取組みです。
※3 「民間の取組み等によって生物多様性の保全が図られている区域」を国が認定する区域
木材の入手場所と用途
木材加工の流れと活用例
環境認証SITESの予備認証の取得
環境認証SITES(サイツ)は国際的な環境評価認証プログラムで、ランドスケープにおける環境配慮のための取組みが周辺環境や利用者にどのように寄与するのかが評価されます。本社有施設は、敷地固有の課題抽出のための敷地調査から施工、その後の運営管理に至る一連の計画において、持続可能な開発アプローチや生態系保全ができていること、環境への負担軽減ができていること等が評価され、2024年9月に最高認証ランク「プラチナ」の予備認証を取得しました。これは宿泊部門では国内初のことであり、今後、各フェーズにおける計画を実現し、2025年に本認証の取得を目指します。
各フェーズにおける取組み
3Dプリンティング×CO2-SUICOMによる人道橋の構築
当社が金沢工業大学と共同研究を行っているCO2-SUICOMを3Dプリンティングで成形する技術を用いて、敷地内に長さ7.0m、幅1.86~1.92mの人道橋を構築しました。当社がこの技術を人が通行する構造物に適用したのは初めてで、3Dプリンティングによる自由度の高い造形の製造や生産性の向上を確認するとともに、CO2-SUICOMによる脱炭素社会の実現に向けた施工技術確立のための実証実験として取り組みました。人道橋の材料として、CO2-SUICOMを使用することで、環境負荷低減に貢献するとともに、3Dプリンティングを用いることで型枠を使用した一般的な工法では施工が難しい複雑な形状を実現しました。
3Dプリンティング×CO2-SUICOMによる人道橋の構築までの流れ
今後の展開
鹿島は、社有施設を活用したこれらの取組みから得られた知見をもとに、技術の高度化および深度化を図るとともに、顧客の様々なニーズに沿った提案を行い、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。物件概要
施 設 名 | : | KX-FOREST KARUIZAWA 鹿島軽井沢泉の里保養所 |
場 所 | : | 長野県北佐久郡軽井沢町 |
設 計 者 | : | 鹿島建設株式会社 |
施 工 者 | : | 鹿島建設株式会社 |
敷地面積 | : | 20,288m2 |
建 物 | : | 宿泊棟(新築)14棟、 共用棟(改修)1棟 |
構 造 | : | 木造 |
竣工年月 | : | 2024年10月 |
左上:宿泊棟、右上:共用棟、下:宿泊棟室内
GREEN KAJIMA みどりを創造し育む鹿島グループ

鹿島の脱炭素ソリューション

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