地下埋設物を包みこむための工夫
地下水が流れ込もうとする原子炉建屋の地下には、設備の配管などの多くの埋設物が存在しています。これらの埋設物の両脇に複数の凍結管を設置することで、埋設物の上下の地盤にも凍土壁を造成し、地下水の流入を防ぎます。

施工手順
作業空間の確保、試し掘りによる地下埋設物の確認などを経て、適切な位置に凍結管を設置していきます。凍結管に冷却液の配管をつなぎ、凍土壁造成の設備が整います。凍結管の削孔の施工については、1本ずつ垂直施工精度に基づいて行い、設置状況を確認しています。
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地中の削孔(孔を開ける)作業に邪魔ながれきなどを撤去します。
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削孔位置を深さ2mまで試し堀りし、地中埋設物の有無、位置や大きさなどを確認します。
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機械による削孔作業を深さ約30mまで管を継ぎ足しながら行います。
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凍結管を溶接で継ぎ足しながら、削孔した場所にクレーンで建て込み、設置します。
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予定したラインへの凍結管設置が完了です。
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冷却液(ブライン)の配管と凍結管をつなぎ、工事完了です。
凍結しにくい場所への補助工法の活用
地中には部分的に水が通りやすい場所があり、そこに地下水の流れが集中するため、凍結しにくいことがあらかじめ想定されていました。そのための対策として、地中に薬液を注入することにより隙間を減らし、地下水を通しにくくして凍結を促進する補助工法を鹿島が実施し、凍結を完了させました。
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当初の状況:透水性が高く、地下水の流れが集中する箇所で凍結が遅れています。
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薬液を注入:地下水の流れが速い箇所の隙間に薬液を注入し、地盤の透水性を低下させ、地下水の流れを遅くします。
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凍結が促進:地下水の流れが遅くなることで凍結しやすくなり、凍結範囲が拡大していきます。
