鉄道工事桁本設利用工法の実績
鉄道工事桁を補強し、SC構造の本設桁化
工期短縮、工事費削減、列車振動騒音の低減の実現
鉄道橋の架け替えや線路下構造物を構築する場合、仮設の「工事桁」で線路を仮受する工法が多く用いられますが、工事桁の架設と工事桁の撤去、本設桁の架設に多くの夜間線路内作業と一部の列車運行を停止させた夜間作業が必要となります。
「工事桁本設利用工法」は、工事桁を撤去せずその周囲をコンクリートで巻き立て、合成構造の本設桁として利用する工法です。本設桁の支間が工事桁の支間よりも長くなる場合など、工事桁の下面に補強桁を取り付けて桁の剛性を補う場合もあります。従来の工法と比較し、夜間線路内作業の工数低減と工期短縮、列車運行への影響低減、工事費削減を可能としました。
なお、本工法はJR東日本の技術であり、ここではその工法を用い当社で施工した実績をもとに得られた、特徴やメリットなどを紹介します。
特許登録済
- キーワード
- 工事桁、高流動コンクリート、補強桁、合成構造、SC造、本設利用、夜間作業低減、工期短縮、騒音、振動
短時間でのコンクリート一体化方法を確立
「工事桁本設利用工法」では、工事桁に型枠を取り付けてコンクリートを充填し、列車の振動を受けながら鋼とコンクリートを一体化させ本設構造物を構築します。適用にあたっては、時間の限られた夜間線路内作業での高流動コンクリートの品質確保、工事桁周囲への充てん性、狭隘箇所での施工効率、コンクリート硬化中の列車走行に伴う影響が懸念されましたが、実大試験体を用いた確認試験により一体化施工方法を確立し、実施工で安定した施工が可能なことを確認しました。
特長・メリットココがポイント
列車運行への影響低減、工期短縮と工事費削減
工事桁本設利用工法により列車運行への影響低減、工期短縮と工事費削減を実現します。
- 従来工法では多くの夜間線路内作業と長大間合いを要していた工事桁の撤去と本設桁の架設が不要です。
- コンクリート巻き立てに大型重機が不要です。
列車騒音、振動の低減
工事桁本設利用工法により列車騒音、振動が低減します。
- コンクリート桁となるため、鋼製桁と比較して列車走行時の騒音、振動を低減できます。
適用実績
東海道線 環状2号線交差部
場所:東京都港区
竣工年:2007年10月
発注者:東日本旅客鉄道
規模:SC桁20橋(橋長4.0~21.5m 総延長316m 幅員3.3~4.6m)
山手線 大塚駅
場所:東京都豊島区
竣工年:2010年2月
発注者:東日本旅客鉄道
規模:4橋(橋長42.7m 総延長171m)鋼製桁にカウンターウェイトを充填する簡易タイプ
学会論文発表実績
- 「営業線供用下における工事桁本設利用桁の施工」,コンクリート工学会誌Vol45,No7,2007年7月
- 「打込み時間に制約を受ける鉄道複合桁の高流動コンクリートの施工」,コンクリート工学年次論文集Vol29,No2,2007年
- 「工事桁を本設利用した鉄道複合桁の設計と施工」,橋梁と基礎Vol41,2007年10月
高耐久性踏切工事桁
「KCB工法®」
交通量の多い幹線道路における高耐久性踏切工事桁を実現
鉄道の踏切部の地下化工事において、交通量の多い幹線道路上に架設する踏切工事桁は、耐久性に問題がある場合がありました。
高耐久性踏切工事桁「KCB(Kajima・Continuing rail joint Block)工法」は、コンクリート製の連接軌道ブロックと鉄道工事桁を複合構造とすることで、交通量の多い踏切部でも優れた耐久性を確保する工法です。
また、2m間隔でレールを切断できる機能(格納ブロック)を配置したことにより、道路幅員が大きい道路でも小分割施工が可能となり、時間の制約がある夜間鉄道工事において工事の安全性を確保しました。
特許登録済
- キーワード
- 鉄道、営業線、連続立体交差工事、鉄道地下化、鉄道工事桁、連接軌道ブロック、踏切、夜間施工
KCB工法の適用事例
交通量の多い川崎市の産業道路と京浜急行大師線の踏切部工事では、コンクリート製の連接軌道ブロックと工事桁を複合構造とすることで、耐久性を確保した工事桁を実現しました。また、時間の制約がある夜間鉄道工事において、レール撤去・復旧のサイクルタイムを短縮することでき、工事の安全性を確保しました。
特長・メリットココがポイント
コンクリート製の連接軌道ブロックと工事桁の複合構造を実現
コンクリート製の連接軌道ブロックを受桁間に設置した主桁で仮受けする構造とすることで、交通量の多い踏切での工事桁を可能としました。
コンクリート製品を採用することで、高耐久性を確保
コンクリートブロックを採用することで耐久性が向上し、大型車両などが多く走る踏切においても、長期の使用が可能です。
最小2m単位でのレール切断工事が可能で、作業の効率化を実現
連接軌道ブロックの中央部に取り外し可能な格納ブロックを設置することで、レールの撤去・復旧延長を最小2mとすることができ、時間の制約がある夜間鉄道工事において、サイクルタイムを短縮することができます。
鉄道信号電流へ影響を与えずに工事が可能
連結軌道ブロックと工事桁との間に絶縁ゴムを設置することで、連接軌道ブロックの絶縁抵抗値を確保することができ、鉄道信号電流への影響が無いことを導通試験および実測定により証明しています。
適用実績
京浜急行大師線産業道路駅付近
連続立体交差
場所:神奈川県川崎市
KCB工法完了:2013年2月
発注者:京浜急行電鉄
規模:連接軌道ブロック21連