後施工せん断補強鉄筋
「セラミックキャップバー®(CCb)工法」
後施工セラミック定着型せん断補強鉄筋
セラミックキャップバー(CCb)工法は、地下構造物など、構造物の内側からしか補強できない構造物に対して、両端にセラミック製の定着体を取付けたせん断補強鉄筋を挿入・一体化してせん断耐力やじん性を向上させる工法です。耐食性に優れるセラミック製定着体をコンクリート部材の表面付近に配置できるため、定着部の耐久性を確保すると共に、従来工法に比べて優れたせん断補強効率を実現します。
補強鉄筋の径はD13、16、19、22、25、29、32に対応できます。
令和元年度土木学会賞 技術開発賞
建設技術審査証明 第0811号 (一財)土木研究センター
- キーワード
- 耐震補強、RC構造物、後施工せん断補強鉄筋、せん断補強、セラミック
施工手順
特長・メリットココがポイント
高いせん断補強効率
- 高耐久のセラミック製定着体により補強鉄筋を部材表面に配置できるため、従来工法と比較して補強効率が大きくなり、配置本数を減らしたり、配置間隔を大きくすることが可能です。
優れた施工性
- 定着体とねじ節鉄筋をそれぞれ現地に搬入し、現地で組立てを行います。そのため、工場における組立製作や工場から現地までの輸送は不要です。
- ハンチ部などで鉄筋長の現場調整が必要な場合でも、迅速・確実に対応が可能です。また、狭隘部においても大型機材を用いずに施工が可能です。
- 機械式継手を使用すれば、長い鉄筋も分割して挿入できます。
高い耐久性
- 定着体は耐久性に優れる高純度アルミナ製セラミックスを使用しており、酸・アルカリ・塩分に曝されるなどの過酷な環境下でも腐食することがありません。
- グラウト充塡用ホースなどの異物を削孔内に残さないため、構造物の品質を低下させません。
砂町水再生センター砂系
ポンプ場及び分水槽耐震補強
場所:東京都江東区
竣工年:2009年10月(CCb施工完了)
発注者:東京都下水道局
規模:D22 35本
加賀沿岸流域下水道
(大聖寺川処理区)ポンプ場
〔他社工事、カジマ・リノベイト(鹿島グループ)施工〕
場所:石川県加賀市
竣工年:2011年1月(CCb施工完了)
発注者:石川県南加賀土木総合事務所
規模:D16・D19・D22 913本
横枕汚水中継ポンプ場耐震補強
〔他社工事、カジマ・リノベイト(鹿島グループ)施工〕
場所:石川県金沢市
竣工年:2012年6月(CCb施工完了)
発注者:金沢市企業局
規模:D19 584本
鳥羽水環境保全センター
受泥施設機械設備
〔他社工事、カジマ・リノベイト材料販売、施工指導〕
場所:京都府京都市
竣工年:2011年10月(CCb施工完了)
発注者:京都市上下水道局
規模:D19・D22 4536本
金沢水再生センター
汚泥処理施設第一受泥棟整備
〔他社工事、カジマ・リノベイト材料販売、施工指導〕
場所:神奈川県横浜市
竣工年:2012年6月(CCb施工完了)
発注者:横浜市環境創造局
規模:D19・D22 416本
豊岩浄水場耐震補強
(サージタンク・薬品沈殿池)
〔他社工事、カジマ・リノベイト材料販売、施工指導〕
場所:秋田県秋田市
竣工年:2012年12月(CCb施工完了)
発注者:秋田市上下水道局
規模:D16 305本
成増〜和光市間 海側法面擁壁耐震補強工
場所:埼玉県和光市
竣工年:2018年4月(CCb施工完了)
発注者:東武鉄道
規模:D13 N=1620本 D22 N=779本
合計N=2683本
白子川橋梁 A1橋台耐震補強
場所:埼玉県和光市
竣工年:2019年5月(CCb施工完了)
発注者:東武鉄道
規模:D19 N=41本 D22 N=175本
合計N=216本
学会論文発表実績
- 「セラミック定着型鉄筋によるRC構造物の一面せん断補強工法」,日本構造物診断技術協会,第22回技術・研究発表会,2010年10月
- 「セラミック定着体を用いた後施工型せん断補強工法のレベル1地震動に対する設計法」,日本コンクリート工学協会,コンクリート工学年次論文集,Vol.34,No.2,2012年7月
- 「セラミック定着型鉄筋を用いた地下構造物の耐震補強工法」,日本コンクリート工学協会,性能指向型耐震補強研究委員会報告書論文集,2010年12月
- 「セラミック定着型せん断補強筋による下水道施設の耐震補強」,日本構造物診断技術協会,第23回技術・研究発表会,2011年10月
- 「セラミック定着型せん断補強筋によるRC構造物の耐震補強工法」,電力土木,No.362,2012年11月
支柱横ぶれ抑制ダンパー
地震時の横ぶれ防止材の調整を自動化する安全装置
鉄道工事等で既存構造物を仮受けするアンダーピニング工法では、供用中の既存施設の使用性と耐震性を確保するために仮受け支柱に大きな剛性が必要となります。支柱の仕様低減のために、仮受け構造と土留め壁の間に「横ぶれ防止材」を設置することがありますが、この「横ぶれ防止材」は施工中には土留め壁からの反力を伝達せず、地震時には抵抗させるという相反する機能が求められ、従来は手動による調整作業を行っていました。
そこで鹿島は、汎用の山留用油圧ジャッキにチェック弁ユニットを外付けすることで、横ぶれ防止材の調整を自動化する「支柱横ぶれ抑制ダンパー」を開発しました。
本機構は、アンダーピニングだけでなく、変位制限が厳しく要求される重要構造物を支持する様々な支柱に活用することができます。
特許登録済
- キーワード
- アンダーピニング、仮受け、変位抑制
支柱横ぶれ抑制ダンパーの概要
横ぶれ防止材に求められる機能は、
①常時:土留め壁からの反力を既設構造物に伝達しない
②地震時:地震時には土留め壁と既設構造物との間で突っ張って(反力を伝達して)既設構造物の変位を制御する
であり、従来は土留め壁と既設構造物との間にゴム緩衝材を取り付けた油圧ジャッキを配置し、油圧ジャッキの調整を日々行いながら管理を行っていました。
支柱横ぶれ抑制ダンパーは、油圧ジャッキにスプリングとスチールボールによるチェック弁機能を有した外付けのユニットを取り付けることで、油圧ジャッキに流出入する油量を制御し横ぶれ防止材の機能調整を自動化することができます。
本装置は、東急日吉駅と相鉄・東急直通線接続工事で採用し、所定の機能を有することを確認しました。
特長・メリットココがポイント
横ぶれ防止材の調整を自動化
- 従来は手動で行っていた調整作業の手間が不要になっただけでなく、ヒューマンエラーの防止につながります。
既設構造物への影響低減
- 施工中は土留め壁変位による反力を既設構造物へ伝達しません。
- 地震時は油圧を止めてジャッキを突っ張り、横ぶれ防止機能が働き、既設構造物の地震による変位を低減します。
高所での点検作業低減による安全性向上
- 外付けユニットを仮設足場上に設置することで、足場上での定期点検が可能になります。(従来は油圧ジャッキ上での調整作業)
適用実績
東急日吉駅と相鉄・東急直通線接続工事
場所:神奈川県横浜市
竣工年:2020年11月
発注者:東急電鉄
規模:72箇所
学会論文発表実績
- 「調整不要な支柱横ぶれ防止機構の開発 ~チェック弁を外付けした汎用油圧ジャッキの性能確認試験~」,土木学会,第75回年次学術講演会,2020年7月
- 「連続した鉄道高架橋のアンダーピニング工事の計画と施工実績(その4) ~外付けチェック弁を用いた横ぶれ防止材の計画および実績~」,土木学会,第75回年次学術講演会,2020年7月