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つながりを紡ぐ人づくり 臨海工事事務所

北海道支店臨海工事事務所は,
北海道随一の規模を誇る苫小牧臨海工業地域の発展とともに歩んできた。
半世紀近くかけて築き上げられてきたお客様との信頼と伝統を大切に引き継ぎ,
未来へとつないでいく。

図版:出光興産北海道製油所(1974年頃)

出光興産北海道製油所(1974年頃)

道内随一の大規模工業地帯

北海道の太平洋南西岸に位置する苫小牧市は,北海道にあっては比較的温和な気候風土で降雪量も少ない。豊富な水と木材資源に恵まれ,明治期から製紙業が発展してきた。1951(昭和26)年に苫小牧港の建設工事がはじまると周辺地域の開発が本格化。当社もこの地に進出する企業の工場建設を多数請け負い,苫小牧市の臨海部は現在の西部工業団地と東部地域という道内随一の大規模工業地帯へ成長を遂げた。

当社は1979年頃に「臨海工事事務所」を開設。現在は出光興産,トヨタ自動車北海道,北海道石油共同備蓄などの工場内やその周辺に拠点を設け,得意先と一緒に工場のメンテナンス対応を続けている。

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図版:当社が一連の工事を担い設置した10万kl原油タンク

当社が一連の工事を担い設置した10万kl原油タンク (1982年頃)

図版:1973年に完成した苫小牧シーバース

1973年に完成した苫小牧シーバース。
極寒,荒海の外洋での建設は,当時世界でも例のない難工事であった

図版:定期補修期間に行われたシーバース防舷材取替工事

定期補修期間に行われたシーバース防舷材取替工事。
天候のリスクを考慮しながら作業にあたった 

図版:埋設配管を傷つけないよう,重機を使わず原則すべて人力で掘削を行う

埋設配管を傷つけないよう,重機を使わず原則すべて人力で掘削を行う

代々受け継がれる役割

臨海工事事務所は現在,出光興産北海道製油所の構内に居を構える。北海道製油所と当社の関わりは深く,はじまりは1971年の製油所建設に遡る。装置や動力設備,タンクなどの基礎および付帯工事のほか,28万t級の大型タンカーが着桟できるシーバースの設計・施工を担当。以来,北日本への石油製品の安定供給の要となる製油所を,当工事事務所が建設の面から下支えしている。

図版:シーバース建設のため,当社は自己昇降海上作業台「SEP-KAJIMA」を開発・導入した

シーバース建設のため,当社は自己昇降海上作業台
「SEP-KAJIMA」を開発・導入した

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携わって約50年。長年かけて築き上げられた信頼関係は,「鹿島に任せることへの“安心”を日々積み重ねてきた結果であると思っています」。そう語るのは今井裕毅所長。現場は24時間運転の操業と並行しながら,主に製油所設備の安全対策工事や土木・建築施設のメンテナンスにあたる。一方で,構内設備の運転を一定期間休止し行われる定期補修工事では,その間にしか行えない工事を請け負う。工期遅延は構内全体の操業に波及する。「構内の状況を把握したうえであらゆるリスクを想定し,準備することが大切になります」。

構内での知識や心構えは,脈々と受け継がれてきた。今井所長の前任を務めた北村政幸専任部長は,「特に安全に対する危機管理について諸先輩から多くのことを教わりました」と振り返る。

入社して43年,そのうち約半分を苫小牧臨海地域での工事に従事してきた。現在は苫小牧・室蘭地域の営業を務める傍ら,北海道製油所で業務を行う30社以上の企業で構成される建設保全協力会の会長を務める。これまで培ってきた知識と経験で,企業間の連携を強化し安全活動を推進する。「建設保全協力会の会長は,1972年の発足当時から代々鹿島社員が歴任してきたものです。製油所の安全・安心・安定操業の実現に向けて,真摯な姿勢で取り組んでいます」。

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今井裕毅所長

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北村政幸専任部長

図版:当社が施工した重質油分解装置(1994年頃)

当社が施工した重質油分解装置(1994年頃)

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大現場に負けない事務所づくり

今井所長は現在,苫小牧市から約250km離れた函館エリアの土木現場も管轄する。2つの現場を合わせると所員数は16人。苫小牧市内にも拠点が点在していることから,所内の情報共有には常に物理的距離の問題がつきまとう。

昨年から,事務所は所内専用ポータルサイトの運用を開始した。マイクロソフトのSharePointでつくられたサイトには,担当現場ごとの新規入場者教育用の動画や,事務所のスケジュール,周知事項,所員の時間外労働の状況,行動予定表,安全書類などがリアルタイムで表示され,所員間で共有すべき情報が盛り込まれている。サイトの立ち上げから動画やフォーマットの作成などを行ったのは今井所長自身だ。「所員がいかに庶務的な手間を減らし,所定労働時間内での現場管理に力を注げるかが大事になります。鍵のひとつがIT化であるなら,その効果がプラスマイナスゼロ以上であれば,まず新しいことを試みると所員には伝えています」。

今はポータルサイトの改善と,これから土木現場への本格適用がはじまる施工管理支援サービス「Buildee」の導入に向け調整を進めている。今井所長が新しい試みを率先する理由はもうひとつ。「臨海工事事務所では華やかな超大型プロジェクトの出件は今のところありません。それでも,大現場に引けを取らないような事務所づくり,人づくりを目指すことが所員を率いる私の責務です」。

2016年から事務所を牽引する今井所長は今回が3回目の臨海工事事務所勤務。「ここは鹿島がずっとお付き合いをしてきた大切なお客様の仕事を担う事務所であり,縁も感じています。これからもお客様に信頼される事務所であり続けるために,できることをやっていきます」。

図版:集合写真

集合写真

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