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KAJIMAダイジェスト

構造でまもる

真に快適なホテルであること――それは何よりも安全で安心できる建物であること。
当社は,どんな環境にも共存できる強い建築を追求し,日々進化を遂げている。

写真:ロイヤルパーク汐留タワー

HiDAX®&DUOX®で揺れに強い建物を ロイヤルパーク汐留タワー

新交通ゆりかもめ・汐留駅前に広がる街・汐留シオサイト。その中にある汐留タワーは,中・下層階がオフィス,上層階にホテル「ロイヤルパーク汐留タワー」が入居する複合ビルである。地上38階,地下4階,37.2m×25.6mの矩形断面からなる高さ172mの超スレンダーな建物は,2種類の制震システムを配備することによって,地震や風揺れから守られている。

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ビルの短辺方向には,風揺れから大地震まで対応できるオイルダンパ「HiDAX®」を,2~23階コア部の両側壁面にV字ブレースを介して計88台設置。屋上階には風揺れに威力を発揮し2方向の制御が可能な制震装置「DUOX®」を2台設置し,上層部のホテルエリアの居室性をさらに高めた。両制震装置ともに,制震技術のパイオニアである当社開発技術である。

写真:左:DUOX® 右:HiDAX®

DUOX®(写真左)
振り子原理を応用したアクティブ制震システム。高層・超高層ビル特有の周期の長い大きな揺れを抑えるため,上層階にホテルなどの質の高い居住性が求められる建物に適している
HiDAX®(写真右)
建物にオイルダンパ(2つの油圧室内をオイルが移動し揺れを吸収する)を組み込み,コンピュータ制御する。微細な風揺れから震度7クラスの大地震まで幅広く素早く対応する(電力不要のコンピュータ制御のないタイプもある。)

写真:ロイヤルパーク汐留タワー 東京都港区東新橋1-6-3

ロイヤルパーク汐留タワー
東京都港区東新橋1-6-3

中低層ホテルの構造に新たな可能性 スマートラーメン工法

ホテル単体で使用する建物は,中低層ビルが主流で,低層階にロビーや宴会場などの大空間を配し,客室階はパターン化された居室が壁によって小割されているのが通常だ。当社は,こうした中低層ホテルの特徴に最適な構造形式を開発した。柱と梁をグリッド状に剛結合して建物の自重を支える,最も一般的な構造形式として知られる「ラーメン構造」の進化・発展版だ。

「スマートラーメン工法」と名付けたこの構造形式は,扁平な壁柱と,扁平な床でラーメン架構を構成する。柱と梁が壁と床の機能を併せ持つというわけだ。ラーメン架構なので低層階の大空間を実現,客室階は柱・梁が扁平なので,壁と床に隠れて室内に出ないため,居室空間も有効活用できる。RC造のハウジング技術を応用し発案された,このシンプルでスマートな構造は,現在実用化を検討中だ。

図:従来ラーメン構造とスマートラーメン工法の比較図

Person 構造をささえるマルチプレイヤー

ハウジング・オフィス・ホテルと,様々なジャンルの構造設計を担当してきました。構造設計の仕事は,建築設計の要望を,安全性,快適性,コスト,現場の施工性などを考慮し,どのように落とし込むかが醍醐味。複雑なパズルを解くような感覚を楽しむことが,良質な建物をつくる秘訣だと思っています。

超高層の複合ビルだと,ある程度構造形式が決まってきますが,中低層のホテルの場合,RC造にするかS造にするかなど,諸条件によって色々な可能性が生まれます。スマートラーメン工法もそうですが,RC造のエキスパートであるハウジングの厳しい制約条件をホテルに転用することは非常に有効です。これまでの経験が,あらゆる場面で応用できてよかったと思います。耐震技術をはじめとする当社の豊富な開発技術も,構造設計をバックアップしてくれます。もっともっと,安全で快適な建物をつくっていきたいですね。

写真:建築設計本部・構造設計統括グループ 辻 泰一 グループリーダー

建築設計本部・
構造設計統括グループ
辻 泰一 グループリーダー

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